だいたい32×32で、麻生政権を振り返る。

麻生政権 2008年9月24日から2009年9月16日をドット絵で振り返っています。

20090222@自民党青森県連政経セミナー:われわれが戦う相手は、不安をつくりだしている、そういう可能性を秘めている政党


自由民主党青森県政経セミナー 自民党青森県支部連合会
http://www.jimin-aomori.jp/information/2009/20090222.html
2月22日、党所属国会議員、県議会議員、各種団体代表などの関係者や、来賓の三村申吾知事、市町村長・議長が出席のもと自由民主党青森県政経セミナーを開催。今回のセミナーでの講演のため、党本部から麻生太郎総裁、細田博之幹事長、保利耕輔政調会長の党幹部が来青した。

まず大島理森会長は、現在の世界的な不況について述べ「75兆円の予算を組み、経済危機を突破する。責任を持ち未来へ進める政党はわれわれしかいないという強い決意のもと全力で結果を出す」と挨拶、その後、来賓を代表し三村知事、佐々木誠青森市長、続いて地元選出の津島雄二衆議院議員木村太郎衆議院議員江渡聡徳衆議院議員がそれぞれ挨拶をした後、講演が行われた。

麻生総裁は講演の冒頭、現在の世界193カ国同時不況という厳しい経済情勢に触れ「今、国民にとって最大の関心は何か。たった一つ景気だ」と景気対策を進めることがわが国にとって最も重要なことであると説明。また、これまでに例がないような異様な経済には、異例な対策をとっていかなければならない。これまでには考えられない大胆な対策をもってあてるべきとして、その具体策である“景気の3段ロケット”の内容を詳細に解説したほか、官僚の天下り問題や、自衛隊アフガニスタン、インド洋での活動、ソマリア沖の海賊対策など、様々な分野について講演した。

最後に、年内に行われる衆議院総選挙について「われわれが戦う相手は混乱をつくり出す、そういう可能性を秘めた政党と戦わなければならない。わが党以外に経済対策をきちんとやる政党はどこにあるのか。われわれは他の政党に比べて経験がある。実行しうる能力がある。立ち向かっていくだけの決意も覚悟もある。そういう政党は自由民主党しかない」「この景気対策を確実に行い、日本という国が世界から、やはり頼りになる国として信頼される、そういう国にのし上がって行かなければならない。われわれの技術、思想哲学、それを裏付ける経済的余力を一番持っている国は日本だと確信し、われわれはこの国に生まれてよかったと思えるようにするのが自由民主党に与えられた責務だと思い、その先頭に立って戦う覚悟です」と決意を表した。


麻生首相民主党に政権を任せられるのか!」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090222-00000527-san-pol
麻生太郎首相は22日、青森市で開かれた自民党青森県連のセミナーで講演し、平成20年度第2次補正予算の関連法案が成立していないため、定額給付金や高速道路値下げが実現できないことを指摘し、「2次補正自体は成立したのに実行に移せない。(民主党は)何のための反対か分からない」と述べ、参院で関連法案の採決に応じない民主党の対応を強く批判した。

その上で、首相は「米国のオバマ大統領が『チェンジ』というから、こっちもチェンジだという人がいるが、民主党に政権を任せられるか」と強調。「9月までに間違いなく衆院選を迎えるが、こういう政党に政権を渡したら不安だと思わないか」とまくしたてた。

さらに、将来の消費税率引き上げについて「おれたちの将来は財源もはっきりしていて、年金もなくならないと明確にしなければならない」と述べ、改めて意欲を示した。


予算成立こそ景気対策麻生首相
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2009/20090222232739.asp?fsn=eb33f76037153e93cde084f7e7644d6f
麻生太郎首相は二十二日、青森市で開かれた自民党県連政経セミナーで講演し、「予算の早期成立と実行こそが、景気を良くする最も手っ取り早い方法だ」と強調した。

また、民主党の政策や国会対応を批判し「(アメリカのように)こっちもチェンジと言う人もいるが、果たして民主党に任せられるか。不安をつくり出す可能性を秘めた政党とは戦わねばならない」と述べた。

麻生首相は「世界同時不況から最初に抜け出る国は、日本でなければならない」とし、二〇〇八年度第一次・第二次補正予算と〇九年度当初予算案を合わせ、生活支援、中小企業支援、地方活性化を軸にした総額七十五兆円の経済対策を説明。「この段階で国を混乱の中に放り出すことははなはだ無責任だ」と述べた。

民主党に対しては「補正予算が通ったのに参院民主党が関連法案を通そうとしないから実行に移せない」「ソマリアの海賊対策を民主党はどうするのか、よく分からない」などと批判。

「(次期衆院選は)政権選択の選挙と言われるが、こういう政党に政権を渡したら不安だと思いませんか」と話した。

また、教育基本法改正に触れながら「われわれはいいかげんな教科書を変えた」「相手は日教組。そういうところとは断固戦っていく。教育など根幹にかかわるものをきちんとやりきれる政党が自民党だ」と述べた。


民主の国会対応批判=自民青森県連で講演−麻生首相
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009022200065
麻生太郎首相は22日、青森市で開かれた自民党青森県政経セミナーで講演し、2008年度第2次補正予算や09年度予算案に盛り込まれた景気対策を速やかに実行に移す必要性を訴えるとともに、「(2次補正)予算が成立したのに、実行させないと言って(参院で)関連法案を通そうとしないのが民主党だ」と述べ、民主党の対応を厳しく批判した。

首相は、「参院民主党が反対しているから、定額給付金は配れないし、高速道路は(休日に値下げして)1000円にできない」と指摘。「9月までには間違いなく衆院選を迎えるが、こういった政党に政権を渡すのは不安だ」と強調した。

一方首相は、内閣支持率の低下に歯止めが掛からないことに関し「心配を掛けている。反省しなければいけないことがわたし自身にある」などと述べた。


麻生首相「いい加減な教科書変えた」「日教組と戦う」
http://www.asahi.com/politics/update/0222/TKY200902220097.html
麻生首相は22日、青森市で講演し、民主党批判を展開するなかで「我々は教育基本法を変え、いい加減な教科書を変えた。相手の方はご存じ日教組。私どもは断固戦っていく。それが自民党だ」と述べた。麻生政権発足直後の昨年9月に、中山成彬国土交通相(当時)が「日教組が強いところは学力が低い」などと発言して閣僚を辞任。その後、自民党内に日教組批判の議員連盟ができ、中山氏が顧問に就いている。

記述を変更させたという教科書については、首相は「おじいちゃん、おばあちゃんと一緒の写真、こっちは犬と子どもと一緒の写真。両方家族ですって。おばあちゃんと犬は同じか。こんなふざけた話がどこにあるんだと言って、やり合ったことがある」と説明した。

05年度の教科書検定で「ペットを家族の一員と考える人もいる」との表現が「家族の一員のように親密に思っている人もいる」と変更され、その前年度の検定では「Aさんの家族(母、父、弟、犬)」が削除された。同時期の国会質疑で自民党議員がペットを家族に含めることを批判しており、首相発言はこうした経緯を指したとみられる。


麻生太郎首相の講演全文/自民党県連の政経セミナー
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2009/20090222.html
麻生太郎首相(自民党総裁
きょうは自由民主党県連主催のセミナーに大勢ご参加いただきまして、まことにありがとうございます。自民党総裁として厚く御礼申し上げます。常日頃、私ども国会議員にはもちろんのこと、県会議員、その他大勢のわれわれ関係者が皆さま方の変わらぬご支援の下で政治に専心できますことを心から厚く御礼申し上げるところです。

また、先日は暴風雨等々、停電などの被害に遭われた方が多かったと先ほど三村知事からお話がございましたが、皆様方に心からお見舞い申し上げる次第です。

2年前でしたか、私は青森県政経セミナー、平成19年2月にもうかがったことがある。その後も何度か青森にうかがいました、去年は八戸でやるときは大島先生に言われてきたが、新幹線が暴風雨、強風で動かなくなり、浦和の駅で2時間ぐらい座っていた記憶がありますが、きょうもまた、何となく怪しい雰囲気になって上空待機となったら大変だという感じがあったが、いずれにしても天候というのは非常に大きな要素でもありますので。

このたび、新幹線が少し前倒しで出来上がることが伝えられておりますけれども、青森まで開通して、それから青函トンネルを抜けて、やがて向こう側、北海道まで、カムチャツカに行くわけではないですが、北海道まで既にトンネルはあるわけですから。青函トンネルを抜けて函館、やがて札幌と、そういうものが、日本の大きな中に、きちんとした鹿児島、長崎を含めまして、大きな、国鉄といわれた時代から作りあげてきた鉄道というものはやはり日本の大きな財産と思っております。

鉄道は確かにイギリス人がつくりましたが、鉄道網というものは日本がつくったんです。東京の交通網を見てもらっても、東京で鉄道による通勤をしている人が56%だか58%だかいます。大阪は四十数%、世界で一番鉄道を利用しているのはイギリスで、8%ですから。それに対して日本は、東京は58%は鉄道で通勤しているんですから。だから、東京はあれだけ人口密集地でも、くちゃくちゃな交通網ではない。この鉄道網こそが日本のつくりあげてきた最大の財産の一つなんだと、いうことをぜひ理解していただかなければならないと。私はそう思っています。いずれにしてもこういう鉄道がきちんと通っていくことでどんどん便利になる。青森にさらなる観光客を、いろんな人がここに訪れるようになる。新幹線をつくるまではわれわれの仕事ですが、そこに呼べるようにするのは皆様方の仕事です。ぜひ、そういうことを期待しております。

また、今、攻めの農業という言葉がいわれますが、青森県のリンゴ、いま確か中国ではリンゴ1つが25円から26円ぐらい。中国産のリンゴです。中国産のリンゴが1個で25、26円。日本のリンゴは800円ぐらい。青森県のリンゴはちょっとよくなると1000円。リンゴ1個が1000円だと冗談だとお思いでしょうが、福岡県のイチゴが1粒400円。1箱の間違いではないです。それぐらいで売れる。なぜか。うまいから、きれいだから、そして安心だから。メラミンなどは入っていないから。だから安心してみんな高いお金を払う。皆さん方がつくりあげてきた、大事な大事な付加価値という立派な現実です。

何となく農産物が高い、としか言わない人がいっぱいいる。しかしそれが非常に安心だというところに大いなる付加価値がついている。うまいプラス安心。これが大きな価値になって、世界中で評価されている。攻めの農業といわれるその背景にはこれらのことがあるんです。農産物は昨年、この青森でもひょうとか霜とかで、ずいぶんとリンゴの被害を受けている。そういった自然の影響を非常に受けるものであるのは確かですが、そういった対策につきましても予算、農政、いろんな意味できちんとやっていかないといけないと思う。

本題に入る前にもう1点だけ。昨年9月22日ですが、今からちょうど5カ月前になりますが、青森県自民党からもたくさんの票をいただきまして、おかげさまで自民党第23代総裁になることができました。皆さんのおかげで自民党総裁になりましたことをあらためて感謝申し上げます。ありがとうございました。

慌ただしく仕事させていただいておりますが、相変わらずマスコミに非難されて、いろいろご心配を掛けているところでありますけれども。われわれとしては反省しなければならないところも私自身としてはあると思いますが、誠心誠意やっていかなければ、申し上げていかなければならないと思っています。

私どもはぜひ今、国民にとって最大の関心は何か。今、私はたった1つ、景気だと思っております。景気というものがこれだけ急激に悪くなるということを去年の段階で言っていた人はいません。経済学者、政治学者でもほとんどいません。しかし8月に幹事長になってこの方、ずっと景気対策の必要性を訴えてきたのですが、われわれの政策というものが、今、自民党としてどのようなことをやろうとしているのか、ということに関して明らかに違っておりますけれども、残念ながらそれを正確にマスコミは比較対照して言ってくれることもありません。従って、きょうはこういった機会をいただきましたので、ぜひ自分たちの考え方を限られた時間ですが、申し述べたいと思います。

去年の9月15日、たぶん歴史に残る日になると思いますが、リーマンブラザースという会社がアメリカで倒産をしたことに端を発して、世界中が金融不況に突入しました。しかも、これが波及効果が極めて大きく、世界中が一斉に、いわゆる世界同時デフレ不況にということになります。この戦後60年間、デフレという状況下で不況に陥ったのは1990年代の日本以外にはありません。しかも、これまで不況といえば、アメリカが不況でもヨーロッパが良いとか、ヨーロッパが悪くてもアメリカがいいとか、いろいろどこかいい国がありました。今回は世界同時不況で例外なく193国みんな不況。こういうことも過去に例は1回もありません。

われわれはそういった中で日本に取りましても先日発表されましたGDPの四半期ごとの名目成長率で年6.6%マイナスの予想がでております。これは去年の10−12月をベースにした予想であり、1−3月も同様に悪いであろうということになりますので、景気は極めて悪い、ということで予想をはるかに超えるこういった状況というのは、われわれが想像したよりはるかに高い。そこで、われわれは取り組まねばならないのは、どう考えても景気対策が一番。この景気対策がない限りは、その他のものもよくはなりませんから。

そういった意味で、これまでに例がないような異様な経済には、われわれは異例な対策をもって当てなければならない。これまで考えられないような大胆な対策をもって当てるべきだということで、この大胆な対策を打つことによって、世界で最初にこの世界同時不況から抜け出る国が日本でなければならない。そう思って私どもは、改革をいたしましたのが、通常、三段ロケットと申し上げている、第1次の補正予算、これは11兆円のものを補正予算につくらさせていただいた。そして第2段階が、第2次の補正予算で27兆円になります。そして今、審議いただいております平成21年度の予算、これで37兆円。合計で75兆円になります経済対策を打ち出しております。予算と減税だけで国内総生産の約2%になりますが、この2%のGDP、2%の経済対策をうっている国、これは世界でほぼ最大の経済対策を打ち出したのが日本だと思っております。

テレビなどの報道では2兆円の定額給付金の話しか出ないが、現実は75兆円のうちの2兆円の話で、この73兆円の話をしてもらわないといけない。こちらのほうが大きいですから。この話をしないで、政府の経済対策は定額給付金だけかみたいな話をされるのは明らかに間違っていると私はそう思っております。

したがって、この内容につきましては、これまでのように公共工事に50%以上頼っているということはなく、生活者、中小企業、そして地方というこの3つのキーワードをしてやらせていただくのが今回の予算の内容です。

生活者、これはポイントは何と言っても家計を支援する。個人の家計。雇用を安定させる。雇用が生活の糧ですから。職を失った人、急に職を失った人は、住居もなくなるという人に対しては雇用促進住宅の中に、いろいろ住居を提供させていただいております。また派遣労働者、派遣切り、年長フリーターという方を正式に採用していただいた会社に対しては1人当たり50万円から100万円の助成をします。雇用保険料を払っておられる標準的な所帯ではそれを引き下げて標準家庭で約2万円ぐらい安くします。また、地方自治体には雇用促進のために4000億円のいわゆる基金を作って新たな雇用をつくっていただく。高齢者の介護とか、また、いわゆる求職者の配食をサービスしますとか、いろいろな形で将来につなげる事業にしていただければと思っております。

家計の支援につきましては、今話題の定額給付金は、子供2人の標準家庭で合計6万4000円ということになる。ぜひ、使っていただく。今、知事のお話を聞いても地方でいろいろ商店会で一緒になってやろうとしておられる。それに対して県も支援をしておられる。こういったのは全国各地で出てきている。はやく、いつ来るんだという話をよくされるようになりましたが、これまでの間にずいぶん変わってきたことと思います。

少子化対策を受けまして、いわゆる妊婦健診というのをみながやることになっている。通常14回に妊婦健診とよく言われますが、これは全額ただにします。そして出産、育児についても、確か4万円上げて42万円に引き上げたところです。子どもを生むに当たって現金を必要としないということを考えております。

そして減税です。住宅ローン減税の控除枠は、津島先生には大変お世話になりましたが、過去最大の600万円の減税です。ローンでなく自己資金で省エネ改修やバリアフリー改修する方も減税します。ローンを借りなくても減税します。そして、環境に優しいというハイブリッドなどの車を古い車から買い換えていただく。200万円ぐらいするハイブリッド車を買えば14万円5千円減税します。それだけ安く売るということで、税金としてはゼロ円ということになります。

次に中小企業です。ここに経営者の方がいっぱいおられると思いますが、中小企業に関しましては資金繰りです。資金繰りという言葉は役所にない言葉ですからなかなか理解していただけない方も多いですが、少なくとも経営者の方はご承知と思います。年末緊急保証、また特別貸付枠などをやらせてもらいます。経産省と一緒にやる仕事ですが、これに9兆円の予算を組みましたら、現在までに35万社を超える会社がこれに是非と言うことで申し込みいただき、総額7兆円の実績が上がっております。これだけの企業が倒産しなくて済んだ。黒字でも資金繰りがつかないために倒産するというのが最も避けねばならないことだと思います。したがって、どれだけ倒産しなくて済んだかということです。

(1社に)10人おられたとして、どれだけの企業が雇用維持のために力になったのかということだと思っております。ここで働く人の雇用が守られたということ大きいと思っております。新聞などはこの点、報道してもらえないが、われわれとしては最も効果が大きかったのは、この金融支援だったとそのように思っております。

また、今回、どういうわけだか知りませんが、野党のおかげでなかなか通らないで大島先生に苦労していただいておるところですが、第2次補正関連の予算が通ると、先ほど申し上げた本年度末対策用に約30兆の資金繰り対策をやらせていただくということを考えています。こういうことをぜひ商工会、商工会議所などに相談に行っていただければ窓口できちんと対応してくれると思います。

税制改正もやらなければならないと思って、ここ2年間に限って、中小企業の法人税を18%まで引き下げることもやらせていただきます。また、中小企業が資金繰りができないために、収益がないために、長く育ててきた技術を持った従業員を解雇しなければならないということがないように、具体的には雇用調整助成金というものをご用意させていただいているところです。同時にこういう中小企業の親父さんが自分の息子に仕事を、商店街の親父さんが自分の商売を維持するために、これは商売を、工場を閉鎖しないで続けていただけることを条件に、相続税が課税されないように、ということにしております。ものすごく意味が違います。土地代払って、土地の税金を払ったらあとは仕事ができないというような状況がなくなるということです。われわれは地方の商店街にとりましても非常に大きなものだと思っております。

3番目、地方というものは、これは3つ目のキーワードです。やっぱり、地方が元気にならないと日本は元気にならない。何となく日本では東京の話ばかり。あれは新聞記者が東京に住んでいるからです。だから地方が分からない。議員は地方にいるから、週末は地方に帰るから、だから地方が分かるんですよ。僕はそう思う。したがって地方というものを今回考えるときに、雇用創出を言うのは、雇用が地方で起きないと。東京だけで起きても駄目なんです。雇用が地方で起きるためには、雇用創出のために、地方公共団体に4000億円で基金をつくってと。また、地方活性化緊急基盤整備交付金も6000億円創設している。また、高速道路も、民主党がとめているあの法案が通れば、高速道路は休日はどこまで走っても1日1000円になる。東京まで行っても1000円、こういった形になる。

平成21年度の予算におきましては、地方が自由に使えるお金、自分の裁量で自由に使える、交付税が1割だが、これは1兆円新たに地方に増額しました。また、道路特定財源一般財源化に伴って、ソフトな事業にも使えるように、地域活力基盤創造交付金9400億円を創造している。これまでより使い勝手がよくなる。これらによって地方公共団体が知恵を出して、知恵が大事ですよ、これは、研究するんだから。あの人は人がいいからと知事にしてはダメ。首長に、という時代ではない。地域を経営してもらう。地域の首長さんは自分の才覚で経営するためには、権限とそれを裏付ける財源がいる。その財源を今、申し上げたような形で地方に大きく振っていくわけです。それで地方公共団体が市場間を通して競争が起きるようになる。また、しなければいけない。

同じような条件、同じような地域構成なのにあっちは良くて、こっちはおかしいのか、それは経営者が悪いんですよ。それを選んだ住民が悪いんですよ。自己責任をそういう具合に考えていただかないと。強い権限がいくということは、地域に主権がいくということですから。主権を裏付けるお金も、いろいろな形で今、地方に振っております。いろいろ抵抗がありますが、振っております。もらってどうしていいか分からないという人は、分かる人に変わってもらった方がいいです。ここだけははっきりしておこう。会社と同じことですから。やる気ある市町村からは大変喜ばれている。当然のこととしてこういうことをいろいろやっていただくには、われわれは、行政改革などいろいろなことをやらなければいけない。

今、国会内では官僚の天下り、わたり、なんていう話も、これはいろいろな意見が言われましたけれども、私はこれを今年度でやめさせていただきますということを申し上げます。少なくとも予算配分をつけてあげるからとか、役所の権限をにおわせながら、天下るのは、これは、明らかに別の意味でも無駄をつくっていることにもなります。そういった意味で大きな批判を受けているわけですが、歴代内閣がやろうとしてなかなかできずにこれまできましたが、これをやめさせていただきます。

今、これらの予算というものを早期成立させて実行することが、今、景気にとっては最大の関心だと思っております。

最も景気を良くする、もっとも手っ取り早い方法は、今お願いしている予算を成立させて実行することです。これに勝るものはほとんどないと思っております。

今年は大島先生をはじめいろんな方から知恵を出していただき、異例ですが1月5日から国会を開会させていただきました。普通の会社で1月5日からやっているのだから、国会もやっておかしくないじゃないか、と、言ったことが始まりですが、これはあまりこれまで例がありません。普通みんな新年会とかいろいろ予定を組んでいたのが、国会が急きょ始まったので予定が狂ってしまい、ぶつぶつ言われた方もいっぱいいるが、しかしこれは異常な事態なのだから、われわれとしても異例の対応をするべきということで、1月5日に通常国会を召集した。おかげさまで補正予算に関しては1月27日に成立いたしました。

しかし関連法案はいまだ参議院で審議中です。通っているんですよ。通ったにもかかわらず実行に移せない。参議院民主党が反対しているから。定額給付金、配れません。高速道路1000円の話につきましてもできません。これは今、大島委員長に非常にご苦労いただいているところですが。

われわれはぜひ申し上げたいのは、よくアメリカのほうで民主党がチェンジをといって成功したから、ということでこっちもチェンジだとか言っているような人もおりますが、果たして民主党に任せることができますかね。何となく不安に覚えている方もずいぶんいらっしゃるのではありませんか。

私は少なくともアメリカで大統領が変わった。それによってただちに予算を組み上げていった。今、実行に移させようとしている。日本では予算が成立したんですよ。成立したにもかかわらずそれを実行させないといって関連法案を通そうとしないのがわがほうの民主党です。何のためかなのかよく分かりません。

次に経済対策というのをやっておりますが、財源というものの裏打ちがないと何となく心配になりませんか。当たり前だと思います。お父さんそんなにばんばん使って、誰からお金が出てくるのと。奥さんもみんな心配になるのは当たり前です。

いろいろ耳障りのよいことをいうが、高速道路は自民党は1000円だが、こちらはタダ、全部タダだと。そうすると、高速道路の収入はだいたい2兆円ぐらいあるのですが、2兆円の収入が入ってこなくなる。そうすると補修するのは、だれが補修するのですか。また、今借金がありますが、その借金の返済は誰がするのですか、と言ったら、高速道路に乗っていないほかの方がそれを払うことになる。それは、おかしくないですか、というのがわれわれの正直なところです。従いまして、私どもは、こういったことはきちんとやらなければ。

また、今、われわれとしていろいろやっていることの中に、やっぱり福祉というものに関してはいろいろと時代が変わって、昔は勤労者の8人で1人の高齢者、今は3人で1人、もうしばらくすると2人で1人、高齢者が高齢者の面倒をみるということになるでしょう。このままいってしまうと。明らかにおられると思います。

私も90歳の祖母をずっと最後まで我が家で介護しましたから、よく分かります。私はそういったものはきちんとやります。そのためには、中福祉をやるのであれば負担も中負担をお願いします。負担は少で、福祉は中で、はできません。従って福祉を小であるならば、負担も小で。今程度を最低というのであれば、中福祉なのですが、これは津島先生がお詳しいのですが、負担のほうも中ぐらい負担をしていただきたいということをお願いしている。それが国民に最も安心して、これなら将来はきちんと財源もはっきりしているんだなと、だから安心して今のお金、貯金は使っても大丈夫だ、なぜなら年金はなくならないから、と。

今のマスコミの話を聞いていると、年金が将来なくなるみたいに聞こえるが、そんなことはありませんよ。年金は間違いなくきちんとわれわれは対応していきます。そういったようなことを明確にしておかなければならないと思います。

私は現在のような時代に増税なんて言うのはおかしいと言われます。増税です。景気が悪いときに増税なんて言う人はおかしいと。したがって、景気が3年たってよくなったら、という話をしているんであって。良くならない前にやればさらに悪くなる。当然のことながら、景気回復に全力を傾けると申し上げている。

同時にわれわれは今、国際的にはすごく期待をされている国になっています。間違いなく、世界の中で今、最も経済の内容が、少なくとも銀行は潰れておりません。世界中、先進国で、アメリカでイギリスでヨーロッパで、多くの銀行がつぶれた。1997年−98年にかけて、みなさんもご記憶でしょう。不動産銀行がつぶれたよ、長銀山一証券、三洋証券、北海道拓殖銀行がつぶれたと。あれよりもっとも規模の大きい倒産が欧米で起きています。

しかし、日本で銀行が倒産しているところはありません。向こうはゼネラルモーターがつぶれるだろう、フォード、クライスラーが倒産するだろうと言っていますが、こちらは売り上げは減っていますが、しかし倒産するような状況ではありません。あきらかに内容は日本のほうがはるかにいい。しかし、比較の問題です。どのみち、われわれにとって極めて戦後、最も厳しい状況になっているのは確かです。しかし、それは他国に比べてはまだいい。海外はもっと悪い。アメリカは毎月50万人ずつ失業者が増えている。単純計算ではそうなりますから。10ケ月で500万人職を失っているのがアメリカで起きている今の状況です。われわれはそういう状況ではない。しかし厳しいことは間違いない。

そういった中でも、われわれは少なくともきちんと世界の中でもやるべきことはやらないといけない。その意味では、アフガニスタンのテロ(問題)に対しても支援します。また、インド洋で確約している海上自衛隊の補給艦に対し、世界中の期待を担って、絶賛されていることも事実です。自衛隊員が最も今、活躍している。20歳代前半の若い隊員が世界の中で日本のブランドとして日本を代表する人たちとして若い自衛隊員たちが絶賛されているということをわれわれはもっと誇りに思ってしかるべきだと、私はそう思っている。

いずれにしてもこういったもので、今、ソマリアというアフリカの東の端のソマリアアフリカの角と言われていますが、そこで今、海賊が出る。日本の船はここで約2000隻、1年間で通っている。365日で割ると1日5はいから6はい通る。その船が襲われる。相手は海賊、強盗です。海の上の強盗。こういったものに対して、われわれはこれを守る。日本の船ですから、そういったものを守るのは当然です。

これもわれわれは3月にはこの法案をきちんとして海上自衛隊を送り出したい。そういったものを含めまして、民主党は、どうされるのかよく分からない、今のところ。だって国連で決めたことはやるといったじゃないですか。これは国連で決めているんです。なんでやらないんですか。私にはよく分かりません。

いずれにしてもわれわれは、サービスというものを増やすためには財源が必要だろうと。テロとの戦いには自衛隊が必要なんだから。私はそう思っています。

ぜひ、そういった意味で今、国民生活を考えていったときに、われわれはどう考えても国民生活というものを守るというのは、これは誰がどう考えたって自民党が一番の能力があるとそう確信しています。自民党以外に経済対策をきちんとやる政党がどこにありますか。そう思っております。

われわれは、批判というものは、政権与党である以上、常に批判を受ける可能性がある。それは当然で、その批判を乗り越えて、それでも今、どうしてもやらなければならないことは、覚悟するべきである。それが責任政党としてのあるべき姿だと、わたしはそう思っています。どう考えても、われわれは今、他の政党と比べて、われわれは明らかに他の政党より経験もあり、また、そういうものを実行しうるだけの能力もあり、われわれはそれに立ち向かっていくだけの決意も覚悟もある。そういう政党は自民党しかない。私はそう思っている。

この9月までには間違いなくわれわれは衆議院の総選挙を迎えようとしている。政権選択の選挙と言われますが、私が今いくつか申し上げましたが、明らかにこういった政党に政権を渡したら不安だと思いませんか。どういうことをするんですかね。

教育基本法の話でも、また、今のソマリアの話1つにしてもちゃんとまとまって答えてくれない。そいういった所は、われわれにとってあのいい加減な教科書をわれわれは教育基本法を変えてあのいいかげんな教科書を変えました。

覚えていない人もいるかもしれませんが、おじいちゃんとおばあちゃんと一緒の写真、こちらは犬と子供と一緒の写真で、両方家族ですと。うまいように書いてあるように見えるでしょう。犬と子供もおじいちゃんとおばあちゃんも一緒の扱い。おばあちゃんは犬と同じか、こんなふざけた話がどこにあるのか、と言って当時やりあったことがあります。

相手はご存じ日教組です。私はそういうところとは断固戦っていく。そういった教育というのは根幹でしょうが。日本という国の。こういったものをきちんとやりきれる政党、それが自民党なんだと私はそう思っています。

したがって今回、いろいろな経済政策の話だけをさせていただきましたけれども、私は日本という国をこの段階において無責任な混乱の中に放り出すということは、はなはだ、それこそ無責任だと、私はそう思います。ぜひとも、自民党はまなじりを決して戦わねばならない。われわれが戦う相手は、不安をつくりだしている、そういう可能性を秘めている政党と戦わねばならない。

われわれは今、この景気対策を確実にやっていって、その上で、日本という国はやはり世界からやっぱり頼りになる国として、世界から信頼される国にそういった国にのし上がっていかねばならない。技術も思想、哲学、それを裏付ける経済的余力も一番持っている国が日本だと確信し、われわれがこの国に生まれてよかった、日本人として生まれて良かったと思えるようにしていく、それがわれわれ自民党に与えられた責務だと思い、その先頭に立って戦う覚悟です。皆様方の変わらぬご理解とご支援を自民党に賜りますよう重ねてお願い申し上げてごあいさつにかえたい。ありがとうございました。



<関連>
20081206@日本に生まれてよかったと思える国にしたい
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100425#p1

20090309@船底のネズミ
http://d.hatena.ne.jp/beber/20120312#p1

20090808@街頭演説:烏山区民センター前
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100415#p2

20090131@ピンチはチャンスである


Japan announces Asia aid package
http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/davos/7862424.stm
Japan's PM Taro Aso has announced a 1.5 trillion yen ($17bn;£11.6bn) aid package to help Asian countries weather the economic downturn.

The money will be spent over three years on infrastructure projects and promoting trade.

It is hoped the proposed funding, which will be finalised at a summit later this year, will boost regional growth.

Mr Aso called on wealthy nations to help smaller countries and warned against protectionism.

Asia's banks have weathered the financial crisis better than their European and US counterparts.

But the region's export-dependent economies have been hit as the global downturn saps demand for consumer goods.

"Japan is ready to provide ODA (overseas development assistance) of not less than 1.5 trillion yen or about $17bn in total," Mr Aso told the World Economic Forum in Davos.

"It will be necessary to strengthen regional cooperation towards strengthening Asia's growth potential and expanding domestic demand," Mr Aso said.

Mr Aso also said that Japan's development assistance would be on the precondition "that the flow of trade and investment not be prohibited".

"We will resolutely fight all protectionism," he said.


麻生首相、アジア支援に1兆5000億円 ダボス会議で表明
http://www.afpbb.com/article/politics/2566351/3742727
【1月31日 AFP】麻生太郎(Taro Aso)首相は31日、スイス・ダボス(Davos)で開かれている世界経済フォーラム(World Economic Forum)年次総会(ダボス会議)で講演し、アジア諸国の成長強化に向けインフラ整備計画などで1兆5000億円を支援すると表明した。

麻生首相は、メコン(Mekong)地域およびインドのデリー(Delhi)とムンバイ(Mumbai)を結ぶ産業回廊計画への日本の関与を強調し、政府開発援助(ODA)予算は20%増の総額1兆5000億円になると述べた。

また、首相は新たな温室効果ガス排出量の削減計画を発表し、温室効果ガス排出削減の中期目標については、科学的な分析に基づいて検討中であり、6月までに発表すると表明した。

国際通貨基金International Monetary FundIMF)への1000億ドル(約9兆円)の融資についても再度確約した。

さらに麻生首相は、国内の需要拡大に向けた総額75兆円規模の景気刺激策を取り上げ、各国に同様の景気対策の実施を求めた。世界的な金融危機の克服に向け、国際協力の強化を呼びかけた。

また首相は、インド洋での海上自衛隊による補給活動に加え、ソマリア沖の海賊対策に自衛艦を派遣することを明言した。(c)AFP 


ダボス会議 ビジネスリーダーとの昼食会における麻生総理冒頭挨拶
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/21/easo_0131c.html
ご列席の皆様、

本日は、錚々たる世界のビジネス界のリーダーの皆様と懇談する機会をアレンジいただき、シュワブ会長はじめWEFの方々に厚く御礼申し上げます。

私も約30年前に政界入りする前、ビジネスに身を置いていました。競争力を失った石炭鉱業の会社を、セメントを中心とするビジネスに変革・多角化する指揮をとりました。その時代から、一貫して「ピンチはチャンスである」との信念を持ってきました。いま世界は100年に一度といわれる経済危機にあります。私の問題意識は、この危機を次の飛躍につなげることです。

日本は、この半世紀で、2つの大きな経済的危機を乗り越えました。

一度目は、73年と79年に起きた石油ショックです。2回の危機を通じて、国際石油価格は約13.5倍になりました。原油の海外依存率約99%にある日本の経済や生活は大きな打撃を受けました。しかし、我が国はこの困難を官民挙げての努力で克服し、今日、世界で最もエネルギー効率の高い社会を実現しました。例えば、日本の発展の中で、石油への依存度は、石油ショック前は73%もありましたが、原子力天然ガスの導入により現在ではわずか11%にすぎません。

二度目の危機は90年代の金融危機です。バブル経済崩壊の結果、90年から約15年間で日本の市街地における不動産価格は87%下落し、GDPの約3倍の資産が帳簿から消えました。しかし、我が国は、金融面では資本注入、預金の全額保護、不良債権買取り、実体面では積極的な財政出動を通じて、GDP約5兆ドルを維持し、この金融危機を克服しました。

今日、日本は、世界的な経済危機、地球温暖化、高齢化問題といった3つの挑戦に直面しています。このようななかにあっても日本は技術革新を通じて新しい市場と雇用を創出することにより、世界のモデルとなるような活力のある社会と市場を実現させたいと考えています。

私は、本日ダボスにおいて、世界的な経済危機及び地球環境の解決への鍵は制度や技術を革新し、その成果を途上国を含めた世界に普及させるメカニズムを構築していくことであると訴えました。また、そのための精神的エネルギーと情熱を持つために、楽観主義を保つことが重要であることを申しました。これは過去半世紀の日本そして私自身の経験によるものです。

ピーター・ドラッカーは、「未来を予測する最良の方法は、未来を創ることだ(The best way to predict the future is to create it)」と言っています。未来を創るのは私たち自身です。この言葉を胸に、それぞれの国、それぞれの企業が直面する課題に打ち勝っていきましょう。


麻生首相ダボス会議(気候変動セッション)演説全文を公表 オバマ米大統領に温暖化対策で連携を呼びかけ(外務省)
http://www.ecool.jp/news/2009/02/post-90.html
外務省は1日、世界経済フォーラム年次総会:ダボス会議(気候変動セッション)での麻生首相の演説全文を公表した。

演説文は以下のとおり

議長、どうもありがとうございます。

今年、2009年は、成功の年か、もの別れの年になるでしょう。我々はうまくやれるでしょうか、それとももの別れの結果になるのでしょうか。どちらの側にいるのでしょうか。我々は、そのような非常に歴史的な分岐点にいるのです。ですから皆さん、お互いに強いプレッシャーをかけ合い、コペンハーゲンへのプロセスを完成させましょう。

京都議定書について述べましょう。それは中間点の、そして実際の効果が十分でないものなのです。なぜなら、京都議定書では世界全体の温室効果ガス排出量の30%しかカバーしていないからです。私にとって、京都とは、洗練された、永遠の美の古都です。しかし京都プロセスは、今までそのブランド・ネームにかなうものではなかったのです。

なぜでしょう。その不十分な点はどこにあったのでしょうか。それは、団結の精神が無かったからなのです。そこで本日、私はここにいる皆様とともに、まず米国のオバマ大統領に対して我々に加わるよう呼びかけたいと思います。私は、「ようこそアメリカ!長いこと待っていました」と呼びかけるでしょう。私としても、オバマ大統領と気候変動その他の問題についてあらゆる協力を緊密に行っていきます。また、中国の胡錦濤国家主席に対しても、先進国・途上国を問わずすべての主要排出国が責任あるパートナーとして参加するようなポスト京都の枠組みの構築に加わるよう、皆様とともに呼びかけたいと思います。そして、欧州は引き続きこの問題にコミットしていくと確信しています。

昨年の北海道洞爺湖サミットで、我々は画期的な成果を得ました。本当に重要なものです。2050年までに世界全体の排出量を少なくとも半減させるという目標をたて、これを国連気候変動枠組条約の締約国と共有していくことに合意しました。これは決して小さな出来事ではありません。しかし、その成果からさらに進まなければなりません。先進国は率先して排出量の削減を約束すべきです。また公平性の観点から、排出量を大きく増大させている一部の途上国は、その伸びを相当抑制することを約束すべきです。

非常に重要なことは、この問題が我々の問題であるという原則を再認識することです。我々はみな、その能力と責任に応じてできる限りの、しかし衡平な形での取組を進めなければなりません。そして私自身も、環境、経済、エネルギーを総合的に捉え、科学的な分析に基づき、6月までに中期目標を発表する考えです。コペンハーゲンに向けた交渉を進展させるために我々が持っている力を使うことができれば、世界はより良い方向に向かうでしょう。

例として、日本のイニシアティブ、「クールアース・パートナーシップ」について述べます。このプログラムの下、我々は、途上国のグッド・ガバナンスの構築とともに気候変動問題への対応を支援しています。太平洋で海面上昇の影響にさらされている偉大な島国ツバルに対して、日本政府は既に支援を開始しています。太平洋をとりまく諸国は力を合わせるべきです。

今、私たちは悲観主義の時代にいます。経済が下り坂のなかで、国際社会が気候変動に取り組むのは難しい、気候変動対策では経済を浮揚させることができないと主張する人もいるでしょう。しかし、これほど真実と異なる主張はありません。日本はその良い例です。例えば、充電池とガソリンで動くハイブリッド・カーは最も売れているもののひとつです。また、エアコンのエネルギー効率は技術の発展により今や非常に高くなりました。日本は、このような技術を発展させることにより経済を発展させていくことができます。既にこうした技術により日本を炭素効率の最も高い国にしてきました。私は、新たな技術やまだ活用されていない技術によって、経済成長と排出削減の両方を達成できると強く信じています。現在、日本は、新たな戦略的に重要な技術がどこにあるかを示す新たな海図を描こうとしているところです。太陽光発電技術、新たな電池技術、ナノテクノロジー技術、これら新しい重要な技術について、今後20年から25年、日本はイノベーションに取り組んでいきます。

私は、日本が優秀な頭脳が集まる場所となったことを、自ら誇りに思うべきだと考えます。同盟国たる米国や、近い隣国の中国、その両国といっしょに協力できるのです。日本と米国が、燃料電池超電導などの最先端技術について協力していくよう、あらためてオバマ大統領に呼びかけたいと思います。また中国の方々に対しては、どうか日本に来て、我々が有害廃棄物や環境破壊対策について、いったいどのようにして成功を収めたか、実際に見てみて欲しいと申し上げてきました。日本と中国は共同でできることがまだまだ多くあることは明らかです。

以上の前向きな話で、私の挨拶を終わらせて頂きます。

ともに前に進んでいきましょう。

ご清聴ありがとうございました。


ダボス会議における麻生総理特別講演-平成21年1月31日(動画)
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg2386.html

ダボス会議非公開会合(気候変動セッション)麻生総理冒頭挨拶
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/21/easo_0131b.html



Japanese Prime Minister Taro Aso (C) shakes hands with Renault Nissan CEO Carlos Ghosn (L) and WEF founder Klaus Schwab (R) after his special adress to the World Economic Forum during the fourth day of the in Davos January 31, 2009. Japan will give 1.5 trillion yen (17billion dollars) in development aid to other Asian countries for infratructure projects to battle the economic crisis. AFP PHOTO PIERRE VERDY (Phto credit should read PIERRE VERDY/AFP/GettyImages)


<関連>
20090131@世界経済復活に向けて
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100324#p1

20090131@ダボス会議
http://d.hatena.ne.jp/beber/20091206#p2

0090131@寒い[1] ダボス会議ぶらさがり会見
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100110#p1

20090515@Japanese PM smiles shyly


Japanese PM smiles shyly in front of Miss Universe Japan
http://english.people.com.cn/90001/90783/91321/6659513.html
Miss Universe Japan Emiri Miyasaka chats with Japanese Prime Minister Taro Aso during her visit to the premier's official residence on May 15, 2009 in Tokyo, Japan.

Emiri won the Miss Universe Japan crown on May 11, 2009 and will now go on to represent Japan at the Miss Universe final on August 23, 2009 in Nassau, Bahamas.


<関連>
20090515@ミス・ユニバース表敬
http://d.hatena.ne.jp/beber/20091218#p2

20090409@あぁ、先輩を見習っただけなんだと思って、ちょいと正直、残念な気持ちがしました


日本記者クラブで講演
http://www.kantei.go.jp/jp/asophoto/2009/04/09speech.html
平成21年4月9日、麻生総理は都内の日本記者クラブで、「新たな成長に向けて」と題して講演を行いました。この講演では、今日の日本経済が2020年までに目指す未来像について、日本経済の未来〜「未来開拓戦略」を示し、その3つの柱として「低炭素革命で、世界をリードする国」、「安心・元気な健康長寿社会」、「日本の魅力発揮」を掲げ、説明を行いました。また、新たな成長フロンティアは国内だけではないとして、「アジアの成長〜『アジア経済倍増へ向けた成長構想』」についても説明を行いました。

麻生総理は講演の中で、「額に汗して働く。そして、チーム全体として、高い成果をあげていく組織力。日本の『ものづくり』というのを支えてきたのは、この組織力です。この伝統なんだと私は思っておりますが、その強みを活かし続ければ、日本経済には、まだまだ大きな可能性があります。自らの強みを失うのではなく、その土台の上につくりあげたもの、それが今回の『成長戦略』であります。この戦略、目標のもとに、みんなの考えというものを巻き込みながら、しっかり実現したいと考えております。従って日本とアジアの未来は明るい。この成長戦略を通して、皆さんにそのように感じていただければ何よりであります。」と述べました。


麻生総理スピーチ 新たな成長に向けて-平成21年4月9日(動画)
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg2519.html

【麻生総理冒頭発言】
1 はじめに
麻生太郎です。

通常こういうのは、これまで1月に開かれておりましたが、今年は1月早々5日から国会が始まりましたし、また、外遊等々で重なっておりましたので、総理就任から、ほぼ半年ぐらい経ったと思いますけれども、こういった時期に開催させていただくことになり、設営いただきまして、カゲヤマさん、ありがとうございました。

振り返ってみますと、グリーンスパンの言葉を借りれば、百年に一度と言われるような経済危機。この対応に追われた半年だったと思います。大きな危機の前に、国民も企業も、勿論先行きへの不透明感とか閉塞感というものにあふれた。

一方で、今回の経済危機、経済有事というものは、世界の経済や産業をめぐる競争の構図というものを一変させる可能性をはらんでいる、そういう具合にも思っております。

この世界的な転換期に、ピンチと言われますものをチャンスに変えることができた国が、将来大きな繁栄をつかめると思います。その意味でも、我々はまさに百年に一度と言われるような分かれ道、岐路に立たされていると考えた方がいいと思っております。

今日は、日本の経済というものを、目先のいわゆる景気対策というのとは別に、日本の経済がどのような未来をこれから先切り開いていくのか。新たな成長戦略というものを私なりに考えたものをお示しさせていただきたいと思います。未来開拓の戦略と思っております。

対象は、2020年まで。伸ばすべき産業分野の姿と、その実現の道筋であります。詳細を詰めた上で、来週中に最終的にとりまとめることにしたいと思っております。

また、新たな成長フロンティア、未来というものは、国内だけに限らず、アジア経済の倍増を目指す、そういったアジアワイドの成長戦略についてもお話をしたいと思っております。


2 日本経済の未来 〜 新たな成長戦略
最初に、日本経済の未来について話してみます。

世界的な大きな経済の調整が避けられない中で、ひとり日本だけが、旧来型品目の輸出に依存した、そういう成長軌道に復帰することは、もはや現実的ではないと思います。新たな成長モデルに向けて、いち早く行動をするためには、私なりに3つの柱というものを提示させていただきたいと存じます。

それは、

  1. 低炭素革命で世界をリードできる国。
  2. 安心・元気な健康長寿社会。
  3. 日本の魅力の発揮。

この3つです。この3つの柱は、日本の強みや特徴を生かせる分野だと思っています。

この3つを柱に、官民による集中的な投資と、それを促す大胆な制度改革を実行しなければなりません。

こうした官民の果敢な行動によって、2020年には、実質GDPを120兆円押し上げ、400万人の雇用機会を創出することが可能になるのではないかと考えています。

特に当面3年間で、累計約40兆円〜60兆円の需要の創出。そして、140万人〜200万人の雇用の創出を実現したいと思っています。


(1)低炭素革命で、世界をリードする国
まず第一に、低炭素革命であります。

地球温暖化といわれる話は、21世紀、我々が乗り越えなければならない、克服しなければならない最大の課題の1つだと思います。これを、新たな技術と社会システムの変革で克服するのが低炭素革命であります。

戦後の高度成長というもの、経済成長というものは、日本のありようを大きく変えたのは、御年配の方ならよく御存じのところだと存じます。三種の神器、覚えていますか、三種の神器、神様の器と書く、洗濯機、テレビ、冷蔵庫、これが今、神器と思っている子どもはいませんよ。しかし、これは神器だったんです。カゲヤマさん、我々と同じ世代だからよく御存じでしょうけれども。

しかし、これは極端に家電製品が普及して、間違いなく家事の負担を軽減して、家族の団らんをもたらした間違いない現実であります。また、自動車の普及というものも我々のライフスタイルを恐ろしく変えました。

低炭素革命と言われるものの実現には、このライフスタイルからまちづくりまで、これに匹敵する大きな変革が必要だろうと思っています。

21世紀の低炭素社会において、多分、太陽電池、電気自動車、省エネ家電、こういったものが新たな三種の神器になっていく。そして、高度成長時代と同じように、我々に低炭素社会というもののすばらしさを実感させ、そして夢を与えてくれると思っております。

日本のエネルギーというものは、ちなみに効率でいきますと、アメリカの2倍、ヨーロッパの1.7倍、中国の8倍、ロシアの18.5倍、これはIEEAが出した資料です。我々は、これに象徴されるような世界最高水準の省エネ技術を始め、そうした変革を可能とする十分な基礎がある。

2020年には、エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの比率を今より倍増して、世界最高水準の20%まで引き上げたいと思っております。

この低炭素革命の分野において、2020年に新たに約50兆円の市場と、140万人の雇用の創出を考えております。


《(1)太陽光世界一プラン》
その第一として、最も力点を置きたいプロジェクトの一つが、太陽光世界一プランであります。太陽光発電の規模を、2020年までに今より20倍にします。

太陽光発電は、世界的な普及段階に入ろうといたしております。今後数年間が、世界一の座の奪還に向けた正念場であろうと存じます。では、いかにして太陽光世界一を獲得するか。

そのためには、

  1. 現在、需要がないから製品のコストが高い、
  2. コストが高いから需要が増えない、この悪循環を断ち切らなければなりません。

何よりも政策的に需要を掘り起こすという強い政治的な意志が必要だと思っております。

このため、家庭で生まれる太陽光の電力を、電力会社が現在の2倍程度の価格で買い取る新たな電力買取制度を創設します。この制度により、太陽光パネルをつけた御家庭は、国や地方自治体の支援を合わせますと、約10年程度で利益が出ることになります。

また、全国3万6,000の公立の小・中・高校に、今後3年間集中的に太陽光を設置し、太陽のエネルギーで子どもが育つ緑の学校に転換します。

これらの対策によって、今後3年間から5年間で、太陽光システムの製品の価格の半減を目指したいと思っております。日の丸太陽パネルが世界中の家の屋根や砂漠を覆う。そんな夢を持って大胆に取り組みたいと思っております。


《(2)エコカー世界最速普及プラン》
もう一つは、エコカーの世界最速普及プランであります。世界で最初に電気自動車やハイブリッドカーなど、いわゆるエコカーを本格的に普及させます。3年後に電気自動車の量産・量販を開始し、2020年には新車の2台に1台をエコカーにしたいと存じます。

このために、今月から自動車重量税自動車取得税の免除を開始しております。更に今後、新たな補助制度を導入し、エコカーへの買い替えを支援したいと思っております。これらにより、1年間で100万台程度、需要を増やせます。国民が環境性能で車を選ぶ時代を築きたいものだと考えております。

また、最先端モデル都市を10か所選定して、未来の車社会の姿を先取りした実証プロジェクトを実施します。得られた知見を基に、世界最大の自動車市場であるアメリカと連携して、世界標準を構築したいと思います。

併せて、テレビなど省エネ家電というものを購入した方にはエコポイントを還元する制度を活用して、1年間で3,000万台程度の省エネ家電の普及を支援します。


(2)安心・元気な健康長寿社会
成長戦略の第2は、安心して元気な健康長寿社会であります。

日本は、世界で比類のないスピードで高齢化が進んでおります。

しかし、御存じのように、日本の高齢者はとにかく就業意欲が高い。ここにいらっしゃる、前の方におられる新聞記者の方を見られてもよくおわかりいただけるところだと思います。明らかに高い。私どもは高齢者ですよ。

65歳以上の男性のうち、働いている人の割合は、日本はほぼ3割、アメリカが2割、欧州では1割前後です。

日本では、60歳以上の高齢者と言われる方々の8割以上は、少なくとも70歳までは仕事をしたいと考えておられる。こういう統計があります。

しっかりした医療・介護サービスというものを提供できれば、暗く貧しい高齢化社会ではありません。世界に冠たる、活力ある高齢化社会がつくれるはずです。

世界に先駆けて健康長寿社会を構築することは、すそ野の広い内需型の産業の創出につながります。

この分野において、2020年に新たに35兆円の市場と、210万人の雇用を創出します。


《(1)30万人介護雇用創出プラン》
まず、30万人の介護雇用創出プランに取り組みます。現在、130万人の介護職員の方々を、当面、3年間で30万人に増やす。2020年には220万人にすることを目指します。

多くの方々が職を失っている現在でも、介護分野は大変な人手不足であります。

現状では、介護分野の待遇というものは、勤めている人ですよ。全産業の平均年収と比較して100万円以上低い。しかも、就職後のキャリアアップの展望というものも開けておりません。よりよい介護サービスというものをつくっていこうとするならば、介護の職場にも夢と希望がなければならないと考えています。

まず、緊急に介護現場での処遇を改善していかなければなりません。

このため、介護のための基金を充実させます。そして、当面3年間、介護報酬とは別に、このお金で介護に従事される方への給与を上積みし、待遇改善を行います。

その上で、会社や工場で働く人と同じように、キャリアと経験に応じて給与や処遇が上がっていくというような仕組みに変えていきたいと考えています。

更に、都市部に目を転ずれば、最大の課題は介護施設の不足です。今後3年間で介護施設を集中的に整備します。


《(2)地域医療再生プラン》
もう一つの重点的なプロジェクトは、地域医療の再生プランです。

地域の医療というものは、医師不足や患者さんの「たらい回し」など、深刻な状況にあります。その一方で、昼夜・休日を問わず、一生懸命働く勤務医と看護師の方々が大勢おられます。

この状況を打開し、地域医療を立て直す必要があります。

この問題は、一つひとつの市町村や病院の力では解決できません。隣の市町村と協力し、地域にある病院、開業医、介護施設が連携して、そして、全体として住民に1つのサービスを提供するという発想に転換していくことが必要です。

また、患者の視点に立って役割分担することが重要になる。例えば救急や産科の中核拠点をつくることで、「たらい回し」というものはなくせるはずなんです。

こうした地域一体となった医療・介護体制をつくることに思い切って資金を投下したいと思います。

具体的には、複数の市町村から成る広い範囲で病院間、あるいは病院と診療所の間で役割分担を行っていただきたいものだと考えています。

そうした合意が整ったところには、

  1. 医師をサポートする医療事務補助員の増員。
  2. また、より高度な医療施設やIT施設の整備。
  3. また、住民の皆さんが通院するために必要なバスの運行などで我々としてはバックアップをしたいと思います。

まず、各都道府県で地域を選んで先行的に実施します。その後、成功例を10年以内に、全国350程度の地域に展開したいと考えています。10年がかりの大事業として、地域医療の再生に取り組みたいと思います。


(3)日本の魅力発揮
成長の第3の柱は、日本の魅力の発揮です。

日本には長く培ってきた文化や感性に根ざしたソフトパワーがあります。外国人旅行者を魅了する田園風景や、世界で注目されるアニメーション、ファッションなどです。
 このソフトパワーを活用して、すそ野の広い新たな産業を創出します。地域に活力を与え、若者の雇用につなげます。


《(1)キラリと光る観光大国》
まずは、きらりと光る観光大国を目指します。2020年、現在の約2倍以上に当たる年間2,000万人の外国人が旅行者として訪日することを実現したいと思います。現在、800万人ぐらいあると思います。これは4.3兆円の消費市場をつくることになると思われます。

現状では、残念ながら日本を訪れる外国人旅行者の数は、世界のランクでは28位にとどまっているのが現状なんです。きちんと魅力をアピールし、そして、必要な整備を行えば、外国人旅行者の数は必ず増えるはずです。

政府としては、まず日本へのアクセス改善に取り組みます。御存じかと思いますが、成田空港の場合、外国人の入国審査の待ち時間は最長28分。これを半減させて15分。成田空港から羽田空港の国内線への乗り継ぎ時間を、現在の100分程度から50分台へと半減させます。

また、観光地の景観、町並みを徹底的に改善したいと思っております。

その地域の人々が誇りに思える伝統ある町並みを再生するということです。日本のどこでも、魅力ある観光圏に生まれ変わる可能性があります。

御存じかと思いますが、福島県会津若松の大内宿に行ったことのある方はいらっしゃいますか。

新聞記者というのは、意外と歩いていないんですね。いましたね。偉いです。さすがに朝日新聞、意外と歩いておる。

この大内宿は、無電柱化したんです。電柱を全部なくした。これで観光客が急増しております。

こうした観点から、今後3年間で30か所程度を選んで、無電柱化などの景観工事を進め、魅力的な町並み風景をつくります。


《(2)日本のソフトパワー発信》
もう一つは、日本のソフトパワーの発信です。

日本には、アニメやゲームなどのコンテンツ、ファッションなどがジャパンクールとして、これは世界の消費者から注目をされる素材があります。

漫画は、今、フランス語にもなりましたし、世界語になりました。中国の女性向けファッション誌の中でも、多くの日本発の雑誌が人気の上位を占めております。

この顔を見て、1列目で名前と顔の言える人はいらっしゃいますか。後の若い人は言えるんです。

これは、中国で「あゆ」と呼ばれている浜崎あゆみの写真です。これは中国の雑誌です。

これはだれですか。言えますね。言えない年になってしまいましたか。香里奈という人です。これは台湾の雑誌です。これは日本人ですよ。

これは日本のあれですけれども、これは知っているでしょう。知らないですか。こんなことを言っていたら、ほとんど、今の時代には生きておられない方だと言われますよ。現場の新聞記者だったら、いよいよアウトになります。これが「エビちゃん」と言われる「エビちゃん」ブームと言われた蛯原友里という人です。

こういった表紙のモデルというものが、今の時代というものでアジアのOLたちの読む、いわゆる雑誌、テレビコマーシャルに並ぶ時代なんです。何となく昔のアメリカ人とか、そういったイメージは、今はないんです。ここが是非わかってほしいところなんですけれども、何となく我々の世代より上の方は、ほとんど、この感覚にはついていっていないんだと私は思っています。アニメとかファッションの聖地と言われれば、これは秋葉原とか原宿、裏原宿というところなんですが、これは今や東京観光の定番コースですよ。銀座、赤坂、六本木などと言っちゃだめですよ。

しかし、残念ながらこうしたソフトパワーというものは、海外でのビジネスにはつながっていないんです。日本のコンテンツというものは大したものなんですが、コンテンツが産業になっていないんです。そういったもので、コンテンツ産業の売上げというものを調べてみると、海外での売上げは全売上高のたったの2%です。米国などは約20%売りますから、これで10分の1です。

日本のソフトパワーの人気というものをビジネスにつなげるということで、2020年には20兆円から30兆円規模の一大産業に育成し、50万人の新規雇用を創出したいと思っております。
 コンテンツのつくり手、クリエーター作品、才能、ウェブ、また、携帯などによってビジネスとして花開かせることが重要なんだと思っております。

このため、人気クリエーターの脚本などのライセンスというものを一括購入して、海外での作品化のための販路開拓とか、また、資金提供を一体的に行う組織というものを創設したいと思っております。

以上、3つの柱に沿って、主なプロジェクトを絞って、私の考えを申し上げました。このほかにも重点プロジェクトがありますので、お手元に資料を配らせていただいておりますので、それに細かく書いてあると思いますので、参考にしていただきたいと存じます。


3 アジアの成長 〜 「アジア経済倍増へ向けた成長構想」
次に、もう一つのテーマであるアジアの成長に話を進めたいと思います。

アジアは、21世紀の成長センターであります。日本の大きな強みは、このアジアに日本という国が位置していることです。これからの日本の新しい成長戦略を考える上で、この地理的強みを最大限に生かしていく。こういう発想が重要です。

日本は、間違いなく人口減少に直面をいたしております。欧米市場と比べても、今後、大きく市場が伸びるのはアジアです。東アジアだけでも約32億人の人口、世界人口の約半分が東アジア。これはアジアの定義が難しいところですが、インドから東と思ってください。そういうぐらいのところです。パキスタンぐらいまで入る。そういった地域だと思っていただければと思います。

東アジアだけでも32億人。最近4年間で、1億3,000万人の人口が増加をしております。たった4年間で日本1国分が増えたということです。しかも、アジアでは膨大な経済所得の中間層というものが成長しつつあります。1人当たりのGDPが3,000ドルを超えると、耐久消費財ブームが起きると言われております。

今、中国は約3,000ドル。ASEANの平均で2,200ドルを超えました。

日本は、国境を越えてアジア全体で成長するという視点に立つことが大事です。

  1. 成長するアジア全体で富を生み出し、
  2. それを経済連携や、また人的交流というものを通じて、日本の雇用やイノベーションにつなげる。
  3. それをアジアのさらなる発展につなげるというような好循環をつくることが重要なんだと考えております。

国内の生産というものを拡大することに固執するという発想よりも、国民の富が増大することを重視する。いわゆる国内総生産、GDP、Gross Domestic Productという発想から、国民の総所得、Gross National Incomeといった発想の転換が今後必要なんだと思っております。

私は、昨年11月に総理特使というものを任命しております。アジア各国の声をよく聞いて、具体策を協議するように指示しました。各国の要人と協議を重ねてきた特使の報告というものを踏まえて、私は次の2つを提案したいと考えております。


(1)アジアの成長力強化
第1に、アジアの成長力の強化です。広域インフラの整備、産業開発、制度改善、こういったものを一体的かつ計画的に進めることで、周辺地域や幅広い産業の飛躍的な発展が期待できると思っております。そのようなプロジェクトを支援します。お手元の資料に5ページがあろうと思いますが、資料の5ページを御参考ください。


《(1)具体例》
例えば現在、ベトナムホーチミンからインドのチェンナイまでマラッカ海峡を経由して海を使い、海路で約2週間かかります。

これをホーチミンからアンダマン海まで陸路を整備して、タイから海路でチェンナイへ運べば10日。更に、これは国を横切りますので、通関など国境通過にかかる時間というものが膨大にかかっておりますが、これは日本の通関技術、ワンストップサービス、シングルウィンドー、こういった技術を入れますと、8日で運ぶことができます。

このようなルートを建設し、周辺に工業団地など関連インフラを整備します。これによりメコン地域は、はるかインドや中東を視野に入れた自動車やエレクトロニクス、そういった製品の供給拠点として大きく発展することができます。

また、マラッカ海峡というものが果たす、海上交通の役割は不可欠です。マラッカ海峡沿岸の発展を支えることで、日中韓と中東をつなぐエネルギー輸送の大動脈を安定させることができます。インドネシア、マレーシア、フィリピンに至るまで、東南アジアの発展にも大きく寄与するのは当然です。

こういったプロジェクトの候補は、幾つもあります。


《(2)アジア総合開発計画の策定》
構想を具体化するには、

  • 鉄道や陸路などの基幹的なインフラ、
  • 発電所、工業団地などの関連インフラ、
  • そして、産業開発の計画、
  • 資金調達の仕組み、
  • そして、通関などの改善すべき制度

などについて、総合開発計画というものを策定することが必要です。

今、東アジア・ASEAN経済研究センター、ERIAというものがありますが、また、ADB、アジア開発銀行。また、ASEANの事務局が中心となって、各国と協力しながらアジア総合開発を策定することを、今、提案したいと思っております。

ASEAN、インドを中心に、5年間で70兆円のインフラ需要があると予測されております。そのうち、既に構想・計画段階にあるものが10兆円あります。

日本は、提案するだけではなくて、ODAやその他の公的資金、勿論、民間資金まで総動員して、こうした取組みを後押しします。

日本は今回、新たにアジアのインフラ整備へ民間投資を振り向けていくために、官民連携案件を中心に、2兆円の貿易保険枠を設けます。先般表明した、最大2兆円規模のODAや国際協力銀行による5,000億円程度の環境投資支援イニシアティブも活用して、アジアのインフラ整備というものに貢献したいと思っております。

また、アジアの持続的成長には環境問題への対応も忘れてはなりません。日本の優れた環境技術、新エネ、省エネ技術を活用して、アジアワイドでの資源循環システムや高度な水の循環システムの普及などの事業を進めます。


(2)アジアの内需拡大
第二に、アジアの内需拡大が重要になります。広域開発構想による投資の刺激に加えて、アジアにおいて消費を増やすことが極めて重要です。

今後、アジアの中間層が安心して消費を拡大するためには、社会保障などのセーフティーネットを整備する必要があります。また、教育の充実によって中間層を増やしていく必要があります。

こうした課題は各国が自主的に取り組むべき課題ではあります。ベストプラクティスというものの共有や共通指標の整備などの面で、アジア全体が協力することが重要なんだと考えております。ERIAが政策提言することを提案したいと思っております。

御記憶だと思いますが、日本は昭和35年に池田内閣によります国民所得倍増計画、いわゆる所得倍増というものを策定して、高度経済成長時代へ入っていきました。

今やアジア全体で中間層が存在し、内需主導で大きく成長する新しい時代を迎えつつあります。

本日、私の申し上げた構想は、アジア経済倍増へ向けた成長構想というべきものだと思っております。アジアの経済規模というものを2020年に倍増することを目指して、お互いの立場を尊重しながら、対等の立場で取り組んでいきたいと考えております。

4月12日に予定されております東アジア首脳会議の場で、私から提案し、アジアの国々と共に前進したいと思います。


4 さいごに
最後になりますが、高度経済成長を続けた成長モデルが崩壊して、新たな均衡を模索する大調整と言われるものは歴史上何度もありました。

遠くは中世イタリアの都市国家、また16世紀のオランダ、19世紀のイギリス、いずれも世界経済を支配した国々であります。なぜこれらの国々は成功し、その後、ほかの国にその地位を譲ったのか。

私の主観ですけれども、1つの共通点は、当初はものづくりと貿易で栄え、その後は行き過ぎた金融資本主義に陥ったというのが共通点だと私は思っております。

額に汗して働く、そしてチーム全体として高い成果を上げていく組織力。日本のものづくりというのを支えてきたのは、この組織力です。この伝統なんだと私は思っているんですが、その強みを生かし続ければ、日本経済にはまだまだ大きな可能性があります。

最近、家庭を見ても学校を見てもよく言われる個人主義化、アトム化。この結果、日本の組織力を衰えてきているという印象があります。

しかし、もう一回日本が持っているこの組織力というものの強みというものを再認識する必要がある。

よく例に引きますが、例えば鉄道。これは御存じのように蒸気機関車はイギリス人が発明した。しかし、鉄道網というシステムは日本が圧倒的になりました。これは日本がつくった。

ちなみに東京23区内を見ていただければ、通勤しておられる方の76%が鉄道、地下鉄といった鉄の道路というものを使っておられる。一番進んでいると言われている外国のロンドンで19%ですから、圧倒的に日本は時間どおりに動かせる。しかも壊れず、正確に動く。これができなければ鉄道網はできないんです。

私は日本でラッシュアワーとか大気汚染というものを回避できた大きな元の理由はここにあるんだと。どなたもおっしゃいませんけれども、私自身はそう思っております。これを可能にしているのが日本の人であり、その組織力なんだと思っております。

したがって、自らの強みというものを失うのではなくて、その土台の上につくり上げたもの。それが今回の成長戦略であります。この戦略目標を基に、みんなの考えというものを巻き込みながら、しっかり実現したいと考えております。

したがって、日本とアジアの未来は明るい。
この成長戦略を通じて、皆さんにそのように感じていただければ何よりであります。


麻生首相が日本記者クラブで講演 講演後の質疑応答 第2日本テレビノーカット工房(動画)
http://blog.dai2ntv.jp/nocut/2009/04/post_548.html

<質疑応答>
読売新聞 橋本「読売新聞の橋本でございます。麻生さん、ずいぶん余裕がでてきたなあという認識です」


麻生総理「ありがとうございます。もう橋本さんともつき合って長くなりますから、段々人間も老けてきて、こちらも余裕が(笑)」


読売 橋本「目の前の課題に精一杯だったっていうのが。中期的なビジョンを出されたっていうのは、それはそれで素直に評価してよろしいんだと思うんですけれども、しかし、それもですね、ちゃんと選挙に勝たなければ全く絵に描いた餅になるわけですから、一体、これはいつ、選挙おやりになるつもりか、当然、問題になるわけです。

明日、15兆円のこれまでにない規模の追加経済対策を決めることになるということですけども、これは当然、成立しなければですね、実行に移せないわけですから、恐らく、60日を使ってでも、必ず関連法案を成立させた上で、解散と。ということになると思うんですけども、先日は、野党の抵抗があれば、とかいうようなことを仰ったようですけども、野党の抵抗があっても、それは60日を使えばいいわけですから、当然、解散は成立させた後、ということで確認、理解をしてよろしいか、ということが最初の質問です。よろしくお願いします」


麻生総理「先ほど、会長さんといっしょに(話していて)、総理大臣のぶらさがり会見っていうのを毎日やっとるんですけど、その質問のレベルというものは、経済の話しをしても、国際金融の話しをしても、マクロ経済の話しをしても、最初の質問は『解散はいつですか』。このレベルです、と。

『まさか、経験豊かな方はそんなことないでしょうねぇ』と言ったら、最初にそれが出ましたんで、やっぱり先輩がこれなら、現役もやむを得ないかなぁと思って、あらためて今現役の諸君に、あぁ、先輩を見習っただけなんだと思って、ちょいと正直、残念な気持ちがしましたけれども。

今のお答えに対しては、私が昨日、ぶらさがりで答えた質問と同じ答えしか申し上げられませんね。こういうものに関して、どういう対応を野党がしてくるのか。これは今からの話しであります。しかし、私共としては、経済政策というものが目下、国民の最大の関心事、景気対策というものは、焦眉の急なんだと、私自身はそう思っております。従って、この話しは、どういう対応をなさるかによって、私共の対応は変わってくるのは当然なんであって、解散権というものは、最後まで内閣総理大臣の専権事項なんだと思っております。昨日と同じ答えですいません」


司会「ありがとうございました。それでは次の質問を受けますが、時間が短いもので、質問内容を簡潔にお願いします。じゃ、次のベテラン記者どうぞ」


麻生総理「(笑)」


NHK 影山「NHKの影山でございます。また同じレベルかと言われると悔しいのでありますけども」


麻生総理「(笑)」


NHK 影山「ただ、これだけの大規模な経済危機の時代ですので、そのための経済成長路線を引くためにはやはり、強力な政治力がいるということは、当然のことであると思います。2つございます。

1つは、先ほどの質問とも関連しますが、麻生総理にとって、これは推測ですが、ベストのシナリオはこの景気対策の有無、是非というものを争点に、小沢民主党と闘うということが国民にとって最もわかりやすい選択であるというお考えがあるんではないかという気がするんですが、重ねての質問になりますが、もし野党が強く反対したときに、それを仮に、解散に持ち込むという選択肢は排除されないと言うお答えであったと理解してよろしいかということ。

もう1つは、先ほどお述べになったような経済の成長戦略、あるいは、社会保障の制度改革を含めた問題がないとですね、やっぱり、当面の補正予算だけでは将来の安心・安全、あるいは、新たな成長分野への移行というはむずかしいと思います。それから選挙ということを考えますと、政党のマニフェストという形で国民に示して信を問うというのが筋道であると思います。報道では、総裁直属のマニフェスト策定機関を作って検討すると伝えられておりますけれども、これはいつ頃スタートされるおつもりでしょうか」


麻生総理「今の質問は、一部重なるという前提で質問されておりますんで、こちらの答えも一部重なるところもあろうと存じます。

ただ、今言われましたように、この対策にもし、仮に、丸々賛成されちゃったら。どうすんです?(笑) 対立軸がなくなっちゃったら、影山さん、何を争点に選挙するの?ってことに成りかねませんから、これは実に、選挙というものは、わかりやすく対応を示さなければならんということが、むずかしいとこなんだと思います。

従って、いつの時期を選んで、解散という手を打つかと言えば、期間は9月10日までしか残っていませんから、残り5ヶ月、その間で然るべき時期を考えねばならぬとしかお答えのしようがないんであって、今の問題点は、賛成したから両方で話し合って解散ということを言っておられる方もいらっしゃいます。実にいろんな方がいろんなことを言われてますんで、楽しく伺わさせていただいております。

2つ目の経済対策というものは、これは所謂、中長期的な成長というものを見据えた、所謂、成長戦略の第一歩というものが、所謂、この経済対策というものであります。で、基本的には景気の底割れっていうのを断固防がにゃいかんと。そのために今我々としては、経済対策というものを作らにゃいかんということで、いろいろ党やら政府やらで、今、検討させていただいてるんですが、雇用とか、失業、そういったもの対して、金融対策など、こういった短期的な経済危機というものが、これは今、いちよう、年末年度末を越えたことになってますけれども、これは、所謂、決算を控える5月、6月というものは、もう1回、こういった問題を抱える。これはもう、経営者やってりゃ、みんなご存知のとこなんですが、ここらのとこを考えて、きちんとやって行かねばならんと思っております。

おかげさまで、少なくとも、雇用調整助成金とか、また、経産省によります、所謂、保障・融資というようなものに効果が上がっておりまして、40何万社の方々が対応しておられますんで、6.5人雇用しておられるとよく言われますんで、約300万人ぐらいの方々の、単純計算すれば、そういったことになろうと思いますが。

そういったものがありますが、その次。その先。日本ってのはどうなんだ、というのに対して、私共としては、日本の将来というものを考えていけば、きちんとした、がんばれば、こういった先行きのものがありますということを示すと。全治3年と申し上げましたけれども、そういったことを示さないと、企業経営者としては、今投資をすべきか、今新しく機械を買うべきか、新しくどうすべきかということに関する判断が極めて難しい。

従って、そういう意味では、日本の将来というものは、決して暗くないのだ、と。こういった方法を取れば、ということを知っといていただかないと、なんとなーく、新聞だけ読んでたら、明日は真っ暗みたいな話ししか載ってませんから。

そう言ったことではないんです、と。実は明るいところもあるんです、と。儲かってる会社もあるんです、と、世の中には。儲かってる会社の方々は、決して儲かってるとは言われないもんなんですよ。儲からない方々が永田町に来られるわけですから。儲かってる人たちは来ない。それぐらいに割り切って考えておかないと、政策判断を間違えると。私は政調会長をやった2年半、つくづくそう思ってましたんで。今歩いて、ずーっと調べなければ、自分で歩いて調べない限りは、わからんのです。そこが自分なりにいろいろこの1年間、あちこち歩き回ったおかげで、ずいぶん自由時間もありましたんで、調べさせていただいた結果を申し上げておりますんで、成長の先としては、決してそんなに、影山さん、暗いものではないということを知っていただきたいというのが私の本来の目的です」


NHK 影山「マニフェストについては」


麻生総理「マニフェスト、これはすでにスタートしております。新聞社にわからないようにやるのが大事がところです」


司会「はい、どうぞ」


日経 原田「日本経済新聞の原田です。経済政策について伺います。

明日発表する追加経済対策で、短期の、総理がずっと仰ってた短期はとにかく景気対策であると、この部分については一定のメドが立てられたと思うんですけど、問題は今日発表になった長期のビジョン、それと短期のこの景気対策の間を埋めるのに、今しがた、話しも出ていましたが、ここでも安心・健康社会って出てるんですけど、社会保障と財政のこの問題をどう考えるかってところを伺いたいと思います。

金目があればいいんですけれど、先ほどの話しを伺ってても、やっぱり我々、お金が儲かってない人のことが心配になるので、どうしてもそういう紙面を作ってしまう、と。そういう意味で、骨太2006っていうがございました。社会保障費2200億円ずつ削減するという旗が掲げられて、今年の予算を作るときも、相当ボロボロになっていると、新聞紙上でも書きましたが、今度6月も、もう1回その旗を掲げられるのかどうか、これが1点です。

2点目は、社会保障費が高齢社会の中で増えていくのは、これはやむを得ない。とすれば、歳入を増やすしかなくて、その歳入を増やすのが、活力のある経済を守るには、法人税の実行税率の引き下げと共に、消費税を増税するしかないと言うのが、これまでの自民党の議論だと思います。総理が現職のままで、景気が回復する局面があった場合、総理ご自身が消費税を引き上げるという、実行するという意志がおありかどうか。2つ目はこれです」


麻生総理「2つ目の方から、お答えをさせていただきます。

消費税は、今回の中期プログラムの中で書かせていただいた通りです。従って、景気が回復というのを前提にして、もしその通りになった場合は、消費税は上げさせていただきたい、そう申し上げた通りです。最初の方の質問の件に関しましては、これはすごく大事なところなんですが、基本的に、我々は2200億を毎年5年間で、ずっと1兆何千億、ここまで減らしてきたんですが、私は限度に来ていると前から申し上げておりました。限度に、事実来ていると私自身はそう思っておりますんで、今回それを大幅にやめさせていただくという形になりました。その中でじゃあ、なんで手当をしたのかと言えば、所謂、道路特定財源から600億とかそういった形で、いろいろやってきたのは事実です。で、こういった形で我々はしばらくは繋げるとは思ってますよ。いろんな形で。

ただ、こういったものをずっとやり続けていくためには、財源がいります。その財源というものは、私共は基本的には、高齢者、所謂、高齢化、少子高齢化していく、世界最速で高齢化していく国になりますんで、その中にあっては、やっぱり間接税と言われるものの比率を増やしていく以外に、私は方法はないし、そうしないと若い人に対して、どんどん負担が先送りされていくということになりかねませんので、その意味では、高齢者と言われる方々にも、生活しておられる中から、数%、何%か払っていただく。しかしその分のほとんどを社会保障費にあてる。仮に5%上げると、12兆5千億から13兆ぐらいになろうと思いますが、それは社会保障費にあてるというような形で、その他のものにあてない。そういった形でこの状況をくぐり抜けて行く。向こう2年間はどうするかというところは、今回はいろいろなことをやらせていただきました」


日経 原田「骨太自体は、2006をやめちゃうということでしょうか」


麻生総理「今、2009年をどうするかということを、この段階でこうしますと言えるほど決めてるわけではありません。

ただ、2006年をそのままやるというのは極めてむずかしくなってきたというのははっきりしております。ただ、よく、プライマリーバランスって、かなりいい加減な言葉がありますけど、所謂、基礎財政収支と、基本財政収支という、あのものの立てております旗というものは、いちよう立てておりますんで。

これはボロボロになった旗ではありますけど、今それをやめちゃって、全然あれはもうやめちゃうというつもりはありません。3年間は景気対策、そして中期的には財政再建ということを申し上げておりますんで、中期的には財政再建はきっちりやって行く方向で考えなければ、これは日本という国のお金の信用がなくなりますんで、きちんとさせていただきたいと思っています」


司会「はい、どうぞ」


朝日 宮田「朝日新聞の宮田と申します。せっかく総理に質問できる機会ですんで、今日のお話から離れた質問をさせていただきたいと思います。北朝鮮のミサイルの問題です」


麻生総理「はい」


朝日 宮田「ミサイルが発射された後、総理は一致したメッセージを迅速に出さねばならない、と言う風に言われました。で、日本の求めに応じまして、国連安保理で決議作りという交渉が今進んでいるわけですが、残念なことにですね、中国・ロシアがその決議には反対している。日米は一生懸命説得はされてるようですけども、で、最近の報道を見てますとですね、決議よりも緩やかな議長声明、あるいは、さらに緩やかな、記録にも残らない報道発表という手法も浮上しているやに聞いています。この状況を総理はどうご覧になっているのか。日本政府としてどういう方針で進んでいくつもりなのか。

つまり、一致点にこだわったり、あるいは、迅速にという風にという点にこだわりますとですね、ある程度の妥協は仕方がないのかなあと思うわけで、そういう声も実際政府首脳の中から聞かれるわけですけども、その辺の考えをお聞かせください」


麻生総理「安保理において、今、日本という国は非常任理事国をしております。

ご記憶かと思いますが、前回、このテポドンの騒ぎがありました時には外務大臣をしておりましたが、そのときにも日本は安保理非常任理事国でありました。少なくとも、安保理議会に出席できるメンバーであったが故に、あの時はいろいろな状況で我々としては活躍ができた。たぶん、戦後、日本の中で、安保理を日本がリードしたというのは、たぶん、あれが最初だと思います。結果として、11日間かかって、おかげさまで、あの時は全会一致ということになりました。今回はそれと同じことができるであろうかと言えば、状況は今仰った通りです。

しかし今この段階で、安保理決議をどうするかというのは、目下、交渉中ですから、内容がこうなりますと言えるわけではありません。ただ、アメリカが出してきております提案、他の国が出しております提案は、前回より激しい。こういったようなものが出て来ておりますことも事実なんです。

で、そういったところで、今後どうなっていくかというのを、今の段階から、こちらの手の内晒すなんて、そんな愚かなことはしませんから。

今の段階では、我々は所謂、議長声明とかそういうのじゃなくて、安保理の決議というものをきっちり出すべきだというのが、今我々が申し上げている立場であります。で、これを今後どうやって実を取るのかということにつきましては、これからいろいろな交渉の段階になろうと存じますんで、まだ先のある、時間のかかる話しだと思っていただいて結構だと思います」


朝日 宮田「今週内の決着というのは」


麻生総理「今週内の決着、なかなかむずかしいと思います」


高揚感…落とし穴も? 
tp://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2009/04/r00014949/
大切なのは客観的な事実よりも気持ちの持ちようだ。そんなことを実感した会見だった。内閣支持率は上がったとはいえ、20%台をさまよっている。危険ラインの30%を下回っているにもかかわらず、首相は高揚していた。

この日打ち出した「未来開拓の戦略」は評価していいものだった。目の前の課題に対応することに精一杯だったが、「低炭素革命」「安心、元気な健康長寿社会」などをキーワードに、2020年までに日本が目指す姿を示した。今後の議論のたたき台には十分なり得るだろう。

高揚感を背景に「麻生らしさ」復活を思わせる会見でもあった。中国の女性向けの雑誌をかざし、「これ、誰?言えない年になっちゃった?香里奈って人です」「これ、知らない?ほとんど今の時代に生きておられない方ですね。エビちゃんです」。  私自身は、一国の宰相であることとあゆや香里奈エビちゃんを知っていることに強い相関関係があるとは思わないが、このあたりに、いい意味でも悪い意味でも「麻生らしさ」があることは事実だ。

どんな中期構想を出そうが、選挙に勝たなければ「絵に描いた餅」にすぎないということで、冒頭で衆院解散の時期を質問したが、これがまた例の如く麻生流。現場記者の総理大臣への質問の質が低いことを嘆きながら、「現役の諸君も、あぁ、先輩を見習っただけなんだと思って、残念な気持ちがしました」ときた。  私自身が言い返されたから言うのではない。支持率が少しずつ戻っているのは、目立った失言がないからだと思うだけに、今の程度で高揚していると、落とし穴が待っているようにも思ってしまう。

読売新聞特別編集委員 橋本 五郎



Japan's Prime Minister Taro Aso smiles at a new conference in Tokyo April 9, 2009. Aso said on Thursday the government aims to create 1.4 to 2 million jobs in the next three years as part of a new long-term policy to boost economic growth. REUTERS/Kim Kyung-Hoon(JAPAN POLITICS BUSINESS)


<関連>
20090409@新たな成長に向けて
http://d.hatena.ne.jp/beber/20091128#p1

20090409@百花開天下春
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100418#p2

20090619@海賊対処法 衆院で再可決



海賊対処法が衆院本会議で再可決、成立し拍手する麻生太郎首相(右端)ら)=2009年6月19日、国会内【時事】 年金など重要3法が成立


海賊対処法、衆院再可決で成立
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2613106/4282680
アフリカのソマリア沖で活動する自衛隊の護衛対象に外国船舶も含めることなどを盛り込んだ海賊対処法が、19日成立した。同日午前の参院本会議で、野党の反対多数で法案が否決された後、午後の衆院本会議で議席の3分の2以上を占める与党の賛成で再可決した。(c)AFP


海賊対処など重要3法成立 年金、税制法も、衆院で再可決
http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009061901000041.html
延長国会の焦点だった海賊対処法、改正国民年金法、税制改正法の3法は19日、衆院本会議で、自民、公明両党など出席議員の3分の2以上の賛成多数で再可決、成立した。

政府、与党は残る会期中に、北朝鮮を出入りする船舶の貨物検査を可能にする新法成立にも意欲を見せるが、衆院解散のタイミングを控え情勢は不透明だ。

3法はこれに先立ち、参院本会議で野党の反対多数で否決された。参院で否決された法案が衆院再可決で成立したのは、3月の2009年度予算関連4法以来で、今国会では計8本となった。

政府、与党が成立を目指す09年度補正予算関連5法案は、税制改正法のほか改正日本学術振興会法も19日成立。改正商工組合中央金庫法は成立しており、残る日本政策投資銀行法改正案など2法案も26日成立の見通しだ。

海賊対処法はソマリア沖などの海賊に対処するため自衛隊の随時派遣を可能にする。護衛対象を日本に関係のない外国船にまで拡大し、武器使用基準も一部緩和。成立で、政府は自衛隊法に基づきソマリア沖で活動している海上自衛隊護衛艦などの派遣根拠を切り替える方針だ。

改正国民年金法は、基礎年金の国庫負担割合を現行の3分の1強から2分の1に引き上げる。09、10両年度は財源を財政投融資特別会計の「埋蔵金」で賄う。

税制改正法は、住宅投資資金を対象に10年末まで贈与税の非課税枠を500万円上乗せする。


海賊対処法案の要旨
http://www.47news.jp/CN/200903/CN2009031301000085.html
海賊対処法案の要旨は次の通り。

一、この法律は海上輸送の安全確保のため海賊行為の処罰を規定し、海賊行為に効果的に対処することを目的とする。

一、海賊行為とは、船舶に乗り組み、または乗船した者が公海またはわが国の領海・内水で行う次の行為をいう。

  1. 暴行などをして、航行中の船舶を強取したり、船内の財物を強取したり、船内の者を人質にし、第三者に対し財物などを要求する行為。
  2. (1)の目的で航行中の船舶に侵入するなどの行為。
  3. (1)の目的で航行中の船舶に著しく接近するなどの行為。
  4. (1)の目的で、凶器を準備して船舶を航行させる行為。

一、(1)の行為をした者は無期か5年以上の懲役。(2)か(3)の行為をした者は5年以下の懲役。(4)の行為をした者は3年以下の懲役。(1)を犯した者が人を負傷させたときは無期か6年以上の懲役、死亡させたときは死刑か無期懲役

一、海賊行為への対処は海上保安庁が実施。

一、海上保安官または保安官補は警察官職務執行法7条(正当防衛、緊急避難)の規定により武器を使用する場合のほか、海賊行為を行っている者が制止措置に従わず海賊行為を継続しようとする場合に、船舶の進行を停止させるために他に手段がないと信じるに足りる相当な理由のあるときには、合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。

一、防衛相は、海賊行為に対処するため特別の必要がある場合には、首相の承認を得て、自衛隊に海賊行為への対処を命じることができる。

一、首相は

  1. 自衛隊派遣の)承認
  2. 自衛隊の海賊対処行動が終了−したときは国会に報告しなければならない。

一、武器使用の規定は自衛官に準用する。


麻生内閣総理大臣の談話(海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律の成立)
http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2009/06/19danwa.html
本日、海賊対処法が成立しました。

本法律により、日本は、日本関係船舶のみならず、あらゆる国々の船舶を海賊行為からの保護対象とするとともに、海賊行為を日本の犯罪行為として処罰することが可能となりました。これにより、日本は、各国と連携して、海賊行為に対し、より適切かつ効果的に対処することができます。

日本は、海に囲まれ、かつ、主要な資源の大部分を輸入に依存するなど外国貿易の重要度が高く、船舶航行の安全確保は、日本の経済社会及び国民生活にとって極めて重要です。

このような状況のなか、ソマリア沖・アデン湾において、昨今、多発急増している海賊は、日本のみならず、国際社会にとっての脅威であり、日本が国際社会の一員としての責務を当然に果たすべく、積極的に対応すべき課題です。

政府は、海賊に対処するため、3月に海上警備行動を発令し、海上保安官が同乗する護衛艦2隻をソマリア沖・アデン湾に派遣しました。これまでに28回、延べ87隻の日本関係船舶の護衛を行っています。

また、今月からは、P−3C2機も、上空からの警戒監視活動を行っています。これまでに4回飛行を実施いたしました。

こうした活動は、着実に成果につながっています。護衛艦が護衛を開始して以来、護衛を受けた日本関係船舶が海賊から襲撃を受けたことは一度もありません。また、護衛を受けた船舶の船長からは、数々の感謝の言葉が寄せられています。

こうした成果は、過酷な気象条件と緊張感の下、船舶航行の安全確保という重要な任務に従事している自衛官海上保安官の諸君の地道な努力に支えられていることを忘れてはなりません。私は、派遣された諸君を誇りに思うとともに、改めて、彼らとご家族に敬意と感謝の意を表します。

ソマリア沖・アデン湾の海賊については、国連安保理決議1816号などの一連の決議により、各国に軍艦の派遣などの要請がなされ、欧米・アジア等の国々や機関が、これに応えて、軍艦等を派遣し、国際的な海賊対策が既に開始されています。

政府としては、今後、一日も早く、本法律に基づく海賊対処を実施に移し、各国等と連携して、海上における公共の安全と秩序の維持を図ってまいります。   

最後になりましたが、国民の皆様の一層のご理解とご協力を心からお願いいたします。


海賊対処法案の閣議決定について
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/21/dnk_0313.html

海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律について
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kaiyou/kaizoku/index.html


<関連>
20090619@好きだねぇ、その話しばっかり
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100610#p1

20090314@ソマリア沖・アデン湾派遣艦艇出港行事
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100618#p2

20090314@寒い[2] 海自ソマリア出港行事後のぶらさがり会見
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100110#p2

20090423@海賊対処法案 衆院で可決


海賊対処法案 衆院で可決 首相「緊急且つ重要な課題」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090423-00000149-san-pol
ソマリア沖などの海賊対策で自衛隊派遣を随時可能にする海賊対処法案が23日午後、衆院本会議で与党などの賛成多数で可決された。これに先立つ衆院海賊対処特別委員会でも可決した。法案は野党が多数を占める参院では否決されるものの、衆院再議決により今国会中に成立する見通し。

麻生太郎首相は23日の特別委で同法案について「海賊行為によって被害が起きる前に対応するのは政府の仕事であり、緊急かつ重要な課題だ」と述べ、早期成立の必要性を強調。民主党が求める法案修正について「合理的な理由は見いだせない」と否定した。

法案は海上警備行動では日本関係船舶に限られている警護対象をすべての船舶に拡大。海賊行為抑止のため、停船目的での危害射撃を認める。民主党は同法案に反対し、自衛隊派遣後の国会報告を国会事前承認に改める修正案を提出したが、与党などの反対多数で否決された。


海賊対処法案、衆院特別委で可決
http://www.news24.jp/articles/2009/04/23/04133744.html
ソマリア沖の海賊対処で自衛隊を派遣する根拠となる海賊対処法案が23日午後、衆議院の海賊・テロ特別委員会で可決された。この後の本会議で衆議院を通過する見通し。

民主党平岡秀夫議員「武力紛争に巻き込まれる恐れがあるということを国民は心配している。国会の承認なりを得て、出ていくのが本来あるべき姿だと」

麻生首相「公海上において、日本の関係する船舶を海賊行為から防護するための目的。海外派兵に当たるというのは全く関係ない」

この法案は、海上保安庁が対応できない場合に限って自衛隊が出動すると定め、現行法にない外国船の護衛と海賊船を停止させるための射撃を可能にする内容。民主党自衛隊の海外派遣である以上、国会の事前承認を義務付けるなどの修正を求めていたが折り合わず、採決の結果、与党の賛成多数で可決された。

法案は23日午後の本会議で衆議院を通過する見通しで、政府は今国会中に成立させる方針。


衆院本会議:海賊対処法案を可決、国籍問わずに保護可能に
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-KIJER11A74E901.html
4月23日(ブルームバーグ):衆院本会議は23日午後、アフリカ・ソマリア沖での海上自衛隊による海賊対策の新たな根拠となる海賊対処法案を与党の賛成多数で可決した。野党が過半数を握る参院で否決された後、衆院での再議決により成立する可能性が高い。

ソマリア沖の海賊対策では、自衛隊法の海上警備行動により、海上自衛隊護衛艦2隻が3月末から、日本関連船舶の警護任務に当たっている。

新法案では、船舶の国籍を問わずに海賊からの保護活動が行えるようになる一方、海賊船を停戦させるための武器使用も可能となる。また、首相は艦艇派遣の承認時と活動終了後に国会報告する。



衆院海賊対処・テロ防止特別委員会で海賊対処法案が可決され、与党議員と握手する中曽根弘文外相(右端)、中央奥は浜田靖一防衛相、その左隣は金子一義国土交通相(23日午後)


<関連>
20090618@ルーラーとかわいそうな海賊とお守り
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100819#p1

20090208@海賊は強盗
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100423#p1

20090330・20090410@「久しぶりに江沢民みてえなの見たな」「タンカ切るのはうめえから、任しとけ」



タイのパタヤ(Pattaya)で、日中韓首脳会談を前に握手する麻生太郎(Taro Aso)首相(右)と韓国の李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)大統領(左)、中国の温家宝(Wen Jiabao)首相(中央、2009年4月11日撮影)。(c)AFP/DONG-A ILBO


経済・漢字オンチでも外交センスは第一級:麻生首相の訪中
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090501-00000128-scn-cn
[2009年5月1日配信 サーチナ]
麻生太郎首相は、経済オンチ、漢字オンチなどと散々に叩かれているが、外交センスだけは、第一級のものを持っている。そしてそれは、対中国外交に関しても如何なく発揮されている。

そんな麻生首相が、4月29日、30日と、北京を訪問した。実は、麻生首相には、この1ヵ月の間に、中国に関して二つの’思い出’がある。

一つ目は、3月30日に首相官邸で行われた中国共産党ナンバー5の李長春常務委員との会見だ。

李氏は会談の間、官僚の用意した紙を広げながら、中国当局の公式見解を、トレードマークになっているダミ声で主張し続けた。麻生首相は、ニヤニヤしながら、「ふうん、そうですねえ」などと、時折相槌を打つだけ。 30分言いたいことを言って、すっかり満足して会見室を後にした李長春氏を見送りながら、麻生首相は余裕綽々の表情で呟いた。

「久しぶりに、江沢民みてえなのを見たな」

自民党の政治家が「江沢民みたい」という表現を使う時は、「ゴリゴリの共産党員」という侮蔑が込められているのは、言うまでもない。歴史問題で日中が’ガチンコ対決’した1998年の江沢民主席の訪日は、自民党の政治家たちの脳裏に、いまだにシコリとなって残っている。

麻生首相の二つ目の思い出は、4月10日にタイで行われた日中韓の三ヵ国首脳会談での一コマだ。

その5日前に北朝鮮テポドンミサイルの発射実験を行ったことで、日本国民の北朝鮮に対する怒りは、頂点に達していた。麻生首相はこの首脳会談直前の日本側の事前打ち合わせで、「オレはタンカを切るのはうめえから、任しとけ」と言って、’リング’に上がった。

冒頭の温家宝首相「日中韓の三ヵ国首脳会談も、10年の年月を重ね、ますます幹は太くなって美しい花を咲かせている」
麻生首相「外ではデモが激しく、そんな’雑談’を交わしているヒマは我々にはない。今日は北朝鮮テポドン問題一本を話そうではないか。国連での北朝鮮非難決議に、安保理アジア代表の中国が及び腰なのは、日本として看過できない。韓国も同じ思いだろう」

麻生首相の迫力に、思わず李明大統領が頷く。こうして麻生首相は李大統領とともに、温首相を’包囲’していった。温首相は結局、その場から国連の張大使に電話をかけ、中国は大きく譲歩したのだった。

さて、そんな麻生首相が今回、北京に乗り込んだ。今度は温首相と胡錦濤主席が、’ダブルパンチ’を繰り出してきた。29日と30日の両日にわたって、麻生首相靖国参拝をしないと‘踏み絵‘を踏ませようとしたのだ。だが麻生首相は2回とも、1995年の村山談話を引き合いに出し、イエスともノーとも言わず、スルリとかわした。このあたりの‘身のこなし‘は絶妙である。

9月までに行われる総選挙で自民党が敗北すれば、麻生政権は崩壊する。だがどんな政権が生まれようが、麻生首相を外相に”抜擢”してはどうだろうか?(執筆者:近藤大介 明治大学講師)


首相、「非難」明記を中国に要求 安保理議長声明で
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_aso_ministry2__20090411_2/story/11kyodo2009041101000465/
[2009年4月11日]
麻生首相は11日、中国の温家宝首相、韓国の李明博大統領とタイ・パタヤ市内で会談。麻生首相は3カ国首脳会談の席で、北朝鮮ミサイル発射を受けた国連安保理協議に関し決議より格下げの議長声明でも容認する考えを表明した上で「非難」の文言を盛り込むよう中国側に強く申し入れた。
3首脳は「北朝鮮に対し強力な声を速やかに送るべきだ」との認識で一致した。


安保理声明に北ミサイル「違反」を…日中韓会談で首相戦う
http://news.www.infoseek.co.jp/world/story/20090414_yol_oyt1t00011/
[ 2009年4月14日]
麻生首相が11日の日中首脳会談で、ミサイルを発射した北朝鮮に国連安全保障理事会が出す文書に厳しい表現を盛り込むよう、強く迫っていたことがわかった。

「秋田や岩手をはじめ、ミサイルが頭上を越えていった日本国民の気持ちを政治家として考えてほしい」

タイ・パタヤのホテルで行われた会談で、麻生首相温家宝首相に「決議」の採択を求めた。予定を上回る約50分に及んだ会談では温首相は折れず、この後の日中韓首脳会談で再度、話し合うことになった。

3か国会談では、麻生首相は一転、「議長声明」を受け入れる考えを示したうえで、「violation(違反)とかそういう言葉がなければダメだ」と迫った。「形式」で妥協したことを武器に「内容」を厳しいものにする“条件闘争”を展開したわけだ。

この直前に麻生首相と会い、腹合わせをしていた韓国の李明博 ( イミョンバク ) 大統領も同調した。温首相もついに、「文言は専門家に任せよう」と折り合った。

この後、麻生首相は帰国する政府専用機で、外務省から「『contravention』という言葉が取れた」と説明を受けた。首相が「どういう意味か」と聞くと、同省幹部は「条約などで『違反』という文脈で使われる言葉です」と説明した。「violation」よりは弱い表現だったが、首相は「それならいい」と答えた。

首相は13日夜、首相官邸で記者団を前に、安保理がミサイル発射を非難する議長声明案に基本合意したことを、「(決議)違反、それに対する非難、そして(制裁を盛り込んだ安保理決議の)履行、この三つがきちんとした形でまとまって出せるのはいいことだ。決議にするために言葉の内容を弱めるんだったら、この方がいい」と評価した。


中国に核軍縮求める 日中首脳会談 温首相は靖国に言及
http://www.asahi.com/politics/update/0429/TKY200904290164.html
[2009年4月30日]
麻生首相は29日、中国を訪れ、北京の人民大会堂温家宝(ウェン・チアパオ)首相と約2時間20分、会談した。

両首脳は世界的な経済危機や豚インフルエンザ北朝鮮問題などで連携を確認した。

一方で、麻生首相は中国に核軍縮への協力を要請。温首相は麻生首相靖国神社に供え物をしたことを受け、歴史認識問題で日本にクギをさした。

豚インフルエンザ問題をめぐっては、温首相が「地球規模で問題が広がり、金融危機に加えて新たな困難になっている」との認識を表明。麻生首相も「国民の冷静な対応が非常に大事だ」と応じ、水際対策や防疫面での情報共有を目指すことになった。

北朝鮮が離脱を表明した6者協議については、麻生首相が「北朝鮮の非核化を進める上で最も現実的な枠組みだ」とし、議長国中国の役割に期待を表明。温首相は「粘り強く困難を克服することが大事だ」と述べた。経済危機対応では、両国が内需拡大に全力を挙げることで合意した。

一方、温首相は「歴史問題は非常に重要だ。特に靖国問題国民感情にかかわる敏感な問題で、適切な処理を希望する」と懸念を表明。麻生首相は、日本の植民地支配と侵略への反省とおわびを表明した95年の村山首相談話と、05年の小泉首相談話を踏襲する考えを示し、「日本の立場に変更はない」と応じた。

核問題では、麻生首相が「米国ではオバマ政権が誕生し、従来と異なる対応をしている。核兵器を削減していくため、中国にも協力してほしい」と求めたが、温首相は「中国は一貫して核兵器の全面禁止を唱えている。核の先制不使用も約束している」と従来通りの見解を示した。

両首脳はまた、日本が中国の環境汚染や廃棄物対策に協力する「日中環境・省エネルギー総合協力プラン」で合意したほか、今年10月から羽田―北京間の定期チャーター便を開設することや、閣僚級による日中ハイレベル経済対話を6月7日に東京で開催することを決めた。 【北京=蔵前勝久】


<関連>
20090421@朝日新聞に説明する必要は感じません
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100509#p1

20090810@靖国はもっと静かに祈る場所
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100624#p1


20090326@ナメタこと言ってるけど、安保理決議は大きい
http://d.hatena.ne.jp/beber/20120317#p2

20090411@日中韓首脳会談
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100422#p2

20090411@押しかけ首脳会談→ホテルのお土産(タイ ASEAN首脳会議)
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100117#p1

20090429@中国訪問
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100412#p1

20090430@日中首脳会談
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100416#p1

20090430@北京内外記者会見
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100412#p2