だいたい32×32で、麻生政権を振り返る。

麻生政権 2008年9月24日から2009年9月16日をドット絵で振り返っています。

20090409@あぁ、先輩を見習っただけなんだと思って、ちょいと正直、残念な気持ちがしました


日本記者クラブで講演
http://www.kantei.go.jp/jp/asophoto/2009/04/09speech.html
平成21年4月9日、麻生総理は都内の日本記者クラブで、「新たな成長に向けて」と題して講演を行いました。この講演では、今日の日本経済が2020年までに目指す未来像について、日本経済の未来〜「未来開拓戦略」を示し、その3つの柱として「低炭素革命で、世界をリードする国」、「安心・元気な健康長寿社会」、「日本の魅力発揮」を掲げ、説明を行いました。また、新たな成長フロンティアは国内だけではないとして、「アジアの成長〜『アジア経済倍増へ向けた成長構想』」についても説明を行いました。

麻生総理は講演の中で、「額に汗して働く。そして、チーム全体として、高い成果をあげていく組織力。日本の『ものづくり』というのを支えてきたのは、この組織力です。この伝統なんだと私は思っておりますが、その強みを活かし続ければ、日本経済には、まだまだ大きな可能性があります。自らの強みを失うのではなく、その土台の上につくりあげたもの、それが今回の『成長戦略』であります。この戦略、目標のもとに、みんなの考えというものを巻き込みながら、しっかり実現したいと考えております。従って日本とアジアの未来は明るい。この成長戦略を通して、皆さんにそのように感じていただければ何よりであります。」と述べました。


麻生総理スピーチ 新たな成長に向けて-平成21年4月9日(動画)
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg2519.html

【麻生総理冒頭発言】
1 はじめに
麻生太郎です。

通常こういうのは、これまで1月に開かれておりましたが、今年は1月早々5日から国会が始まりましたし、また、外遊等々で重なっておりましたので、総理就任から、ほぼ半年ぐらい経ったと思いますけれども、こういった時期に開催させていただくことになり、設営いただきまして、カゲヤマさん、ありがとうございました。

振り返ってみますと、グリーンスパンの言葉を借りれば、百年に一度と言われるような経済危機。この対応に追われた半年だったと思います。大きな危機の前に、国民も企業も、勿論先行きへの不透明感とか閉塞感というものにあふれた。

一方で、今回の経済危機、経済有事というものは、世界の経済や産業をめぐる競争の構図というものを一変させる可能性をはらんでいる、そういう具合にも思っております。

この世界的な転換期に、ピンチと言われますものをチャンスに変えることができた国が、将来大きな繁栄をつかめると思います。その意味でも、我々はまさに百年に一度と言われるような分かれ道、岐路に立たされていると考えた方がいいと思っております。

今日は、日本の経済というものを、目先のいわゆる景気対策というのとは別に、日本の経済がどのような未来をこれから先切り開いていくのか。新たな成長戦略というものを私なりに考えたものをお示しさせていただきたいと思います。未来開拓の戦略と思っております。

対象は、2020年まで。伸ばすべき産業分野の姿と、その実現の道筋であります。詳細を詰めた上で、来週中に最終的にとりまとめることにしたいと思っております。

また、新たな成長フロンティア、未来というものは、国内だけに限らず、アジア経済の倍増を目指す、そういったアジアワイドの成長戦略についてもお話をしたいと思っております。


2 日本経済の未来 〜 新たな成長戦略
最初に、日本経済の未来について話してみます。

世界的な大きな経済の調整が避けられない中で、ひとり日本だけが、旧来型品目の輸出に依存した、そういう成長軌道に復帰することは、もはや現実的ではないと思います。新たな成長モデルに向けて、いち早く行動をするためには、私なりに3つの柱というものを提示させていただきたいと存じます。

それは、

  1. 低炭素革命で世界をリードできる国。
  2. 安心・元気な健康長寿社会。
  3. 日本の魅力の発揮。

この3つです。この3つの柱は、日本の強みや特徴を生かせる分野だと思っています。

この3つを柱に、官民による集中的な投資と、それを促す大胆な制度改革を実行しなければなりません。

こうした官民の果敢な行動によって、2020年には、実質GDPを120兆円押し上げ、400万人の雇用機会を創出することが可能になるのではないかと考えています。

特に当面3年間で、累計約40兆円〜60兆円の需要の創出。そして、140万人〜200万人の雇用の創出を実現したいと思っています。


(1)低炭素革命で、世界をリードする国
まず第一に、低炭素革命であります。

地球温暖化といわれる話は、21世紀、我々が乗り越えなければならない、克服しなければならない最大の課題の1つだと思います。これを、新たな技術と社会システムの変革で克服するのが低炭素革命であります。

戦後の高度成長というもの、経済成長というものは、日本のありようを大きく変えたのは、御年配の方ならよく御存じのところだと存じます。三種の神器、覚えていますか、三種の神器、神様の器と書く、洗濯機、テレビ、冷蔵庫、これが今、神器と思っている子どもはいませんよ。しかし、これは神器だったんです。カゲヤマさん、我々と同じ世代だからよく御存じでしょうけれども。

しかし、これは極端に家電製品が普及して、間違いなく家事の負担を軽減して、家族の団らんをもたらした間違いない現実であります。また、自動車の普及というものも我々のライフスタイルを恐ろしく変えました。

低炭素革命と言われるものの実現には、このライフスタイルからまちづくりまで、これに匹敵する大きな変革が必要だろうと思っています。

21世紀の低炭素社会において、多分、太陽電池、電気自動車、省エネ家電、こういったものが新たな三種の神器になっていく。そして、高度成長時代と同じように、我々に低炭素社会というもののすばらしさを実感させ、そして夢を与えてくれると思っております。

日本のエネルギーというものは、ちなみに効率でいきますと、アメリカの2倍、ヨーロッパの1.7倍、中国の8倍、ロシアの18.5倍、これはIEEAが出した資料です。我々は、これに象徴されるような世界最高水準の省エネ技術を始め、そうした変革を可能とする十分な基礎がある。

2020年には、エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの比率を今より倍増して、世界最高水準の20%まで引き上げたいと思っております。

この低炭素革命の分野において、2020年に新たに約50兆円の市場と、140万人の雇用の創出を考えております。


《(1)太陽光世界一プラン》
その第一として、最も力点を置きたいプロジェクトの一つが、太陽光世界一プランであります。太陽光発電の規模を、2020年までに今より20倍にします。

太陽光発電は、世界的な普及段階に入ろうといたしております。今後数年間が、世界一の座の奪還に向けた正念場であろうと存じます。では、いかにして太陽光世界一を獲得するか。

そのためには、

  1. 現在、需要がないから製品のコストが高い、
  2. コストが高いから需要が増えない、この悪循環を断ち切らなければなりません。

何よりも政策的に需要を掘り起こすという強い政治的な意志が必要だと思っております。

このため、家庭で生まれる太陽光の電力を、電力会社が現在の2倍程度の価格で買い取る新たな電力買取制度を創設します。この制度により、太陽光パネルをつけた御家庭は、国や地方自治体の支援を合わせますと、約10年程度で利益が出ることになります。

また、全国3万6,000の公立の小・中・高校に、今後3年間集中的に太陽光を設置し、太陽のエネルギーで子どもが育つ緑の学校に転換します。

これらの対策によって、今後3年間から5年間で、太陽光システムの製品の価格の半減を目指したいと思っております。日の丸太陽パネルが世界中の家の屋根や砂漠を覆う。そんな夢を持って大胆に取り組みたいと思っております。


《(2)エコカー世界最速普及プラン》
もう一つは、エコカーの世界最速普及プランであります。世界で最初に電気自動車やハイブリッドカーなど、いわゆるエコカーを本格的に普及させます。3年後に電気自動車の量産・量販を開始し、2020年には新車の2台に1台をエコカーにしたいと存じます。

このために、今月から自動車重量税自動車取得税の免除を開始しております。更に今後、新たな補助制度を導入し、エコカーへの買い替えを支援したいと思っております。これらにより、1年間で100万台程度、需要を増やせます。国民が環境性能で車を選ぶ時代を築きたいものだと考えております。

また、最先端モデル都市を10か所選定して、未来の車社会の姿を先取りした実証プロジェクトを実施します。得られた知見を基に、世界最大の自動車市場であるアメリカと連携して、世界標準を構築したいと思います。

併せて、テレビなど省エネ家電というものを購入した方にはエコポイントを還元する制度を活用して、1年間で3,000万台程度の省エネ家電の普及を支援します。


(2)安心・元気な健康長寿社会
成長戦略の第2は、安心して元気な健康長寿社会であります。

日本は、世界で比類のないスピードで高齢化が進んでおります。

しかし、御存じのように、日本の高齢者はとにかく就業意欲が高い。ここにいらっしゃる、前の方におられる新聞記者の方を見られてもよくおわかりいただけるところだと思います。明らかに高い。私どもは高齢者ですよ。

65歳以上の男性のうち、働いている人の割合は、日本はほぼ3割、アメリカが2割、欧州では1割前後です。

日本では、60歳以上の高齢者と言われる方々の8割以上は、少なくとも70歳までは仕事をしたいと考えておられる。こういう統計があります。

しっかりした医療・介護サービスというものを提供できれば、暗く貧しい高齢化社会ではありません。世界に冠たる、活力ある高齢化社会がつくれるはずです。

世界に先駆けて健康長寿社会を構築することは、すそ野の広い内需型の産業の創出につながります。

この分野において、2020年に新たに35兆円の市場と、210万人の雇用を創出します。


《(1)30万人介護雇用創出プラン》
まず、30万人の介護雇用創出プランに取り組みます。現在、130万人の介護職員の方々を、当面、3年間で30万人に増やす。2020年には220万人にすることを目指します。

多くの方々が職を失っている現在でも、介護分野は大変な人手不足であります。

現状では、介護分野の待遇というものは、勤めている人ですよ。全産業の平均年収と比較して100万円以上低い。しかも、就職後のキャリアアップの展望というものも開けておりません。よりよい介護サービスというものをつくっていこうとするならば、介護の職場にも夢と希望がなければならないと考えています。

まず、緊急に介護現場での処遇を改善していかなければなりません。

このため、介護のための基金を充実させます。そして、当面3年間、介護報酬とは別に、このお金で介護に従事される方への給与を上積みし、待遇改善を行います。

その上で、会社や工場で働く人と同じように、キャリアと経験に応じて給与や処遇が上がっていくというような仕組みに変えていきたいと考えています。

更に、都市部に目を転ずれば、最大の課題は介護施設の不足です。今後3年間で介護施設を集中的に整備します。


《(2)地域医療再生プラン》
もう一つの重点的なプロジェクトは、地域医療の再生プランです。

地域の医療というものは、医師不足や患者さんの「たらい回し」など、深刻な状況にあります。その一方で、昼夜・休日を問わず、一生懸命働く勤務医と看護師の方々が大勢おられます。

この状況を打開し、地域医療を立て直す必要があります。

この問題は、一つひとつの市町村や病院の力では解決できません。隣の市町村と協力し、地域にある病院、開業医、介護施設が連携して、そして、全体として住民に1つのサービスを提供するという発想に転換していくことが必要です。

また、患者の視点に立って役割分担することが重要になる。例えば救急や産科の中核拠点をつくることで、「たらい回し」というものはなくせるはずなんです。

こうした地域一体となった医療・介護体制をつくることに思い切って資金を投下したいと思います。

具体的には、複数の市町村から成る広い範囲で病院間、あるいは病院と診療所の間で役割分担を行っていただきたいものだと考えています。

そうした合意が整ったところには、

  1. 医師をサポートする医療事務補助員の増員。
  2. また、より高度な医療施設やIT施設の整備。
  3. また、住民の皆さんが通院するために必要なバスの運行などで我々としてはバックアップをしたいと思います。

まず、各都道府県で地域を選んで先行的に実施します。その後、成功例を10年以内に、全国350程度の地域に展開したいと考えています。10年がかりの大事業として、地域医療の再生に取り組みたいと思います。


(3)日本の魅力発揮
成長の第3の柱は、日本の魅力の発揮です。

日本には長く培ってきた文化や感性に根ざしたソフトパワーがあります。外国人旅行者を魅了する田園風景や、世界で注目されるアニメーション、ファッションなどです。
 このソフトパワーを活用して、すそ野の広い新たな産業を創出します。地域に活力を与え、若者の雇用につなげます。


《(1)キラリと光る観光大国》
まずは、きらりと光る観光大国を目指します。2020年、現在の約2倍以上に当たる年間2,000万人の外国人が旅行者として訪日することを実現したいと思います。現在、800万人ぐらいあると思います。これは4.3兆円の消費市場をつくることになると思われます。

現状では、残念ながら日本を訪れる外国人旅行者の数は、世界のランクでは28位にとどまっているのが現状なんです。きちんと魅力をアピールし、そして、必要な整備を行えば、外国人旅行者の数は必ず増えるはずです。

政府としては、まず日本へのアクセス改善に取り組みます。御存じかと思いますが、成田空港の場合、外国人の入国審査の待ち時間は最長28分。これを半減させて15分。成田空港から羽田空港の国内線への乗り継ぎ時間を、現在の100分程度から50分台へと半減させます。

また、観光地の景観、町並みを徹底的に改善したいと思っております。

その地域の人々が誇りに思える伝統ある町並みを再生するということです。日本のどこでも、魅力ある観光圏に生まれ変わる可能性があります。

御存じかと思いますが、福島県会津若松の大内宿に行ったことのある方はいらっしゃいますか。

新聞記者というのは、意外と歩いていないんですね。いましたね。偉いです。さすがに朝日新聞、意外と歩いておる。

この大内宿は、無電柱化したんです。電柱を全部なくした。これで観光客が急増しております。

こうした観点から、今後3年間で30か所程度を選んで、無電柱化などの景観工事を進め、魅力的な町並み風景をつくります。


《(2)日本のソフトパワー発信》
もう一つは、日本のソフトパワーの発信です。

日本には、アニメやゲームなどのコンテンツ、ファッションなどがジャパンクールとして、これは世界の消費者から注目をされる素材があります。

漫画は、今、フランス語にもなりましたし、世界語になりました。中国の女性向けファッション誌の中でも、多くの日本発の雑誌が人気の上位を占めております。

この顔を見て、1列目で名前と顔の言える人はいらっしゃいますか。後の若い人は言えるんです。

これは、中国で「あゆ」と呼ばれている浜崎あゆみの写真です。これは中国の雑誌です。

これはだれですか。言えますね。言えない年になってしまいましたか。香里奈という人です。これは台湾の雑誌です。これは日本人ですよ。

これは日本のあれですけれども、これは知っているでしょう。知らないですか。こんなことを言っていたら、ほとんど、今の時代には生きておられない方だと言われますよ。現場の新聞記者だったら、いよいよアウトになります。これが「エビちゃん」と言われる「エビちゃん」ブームと言われた蛯原友里という人です。

こういった表紙のモデルというものが、今の時代というものでアジアのOLたちの読む、いわゆる雑誌、テレビコマーシャルに並ぶ時代なんです。何となく昔のアメリカ人とか、そういったイメージは、今はないんです。ここが是非わかってほしいところなんですけれども、何となく我々の世代より上の方は、ほとんど、この感覚にはついていっていないんだと私は思っています。アニメとかファッションの聖地と言われれば、これは秋葉原とか原宿、裏原宿というところなんですが、これは今や東京観光の定番コースですよ。銀座、赤坂、六本木などと言っちゃだめですよ。

しかし、残念ながらこうしたソフトパワーというものは、海外でのビジネスにはつながっていないんです。日本のコンテンツというものは大したものなんですが、コンテンツが産業になっていないんです。そういったもので、コンテンツ産業の売上げというものを調べてみると、海外での売上げは全売上高のたったの2%です。米国などは約20%売りますから、これで10分の1です。

日本のソフトパワーの人気というものをビジネスにつなげるということで、2020年には20兆円から30兆円規模の一大産業に育成し、50万人の新規雇用を創出したいと思っております。
 コンテンツのつくり手、クリエーター作品、才能、ウェブ、また、携帯などによってビジネスとして花開かせることが重要なんだと思っております。

このため、人気クリエーターの脚本などのライセンスというものを一括購入して、海外での作品化のための販路開拓とか、また、資金提供を一体的に行う組織というものを創設したいと思っております。

以上、3つの柱に沿って、主なプロジェクトを絞って、私の考えを申し上げました。このほかにも重点プロジェクトがありますので、お手元に資料を配らせていただいておりますので、それに細かく書いてあると思いますので、参考にしていただきたいと存じます。


3 アジアの成長 〜 「アジア経済倍増へ向けた成長構想」
次に、もう一つのテーマであるアジアの成長に話を進めたいと思います。

アジアは、21世紀の成長センターであります。日本の大きな強みは、このアジアに日本という国が位置していることです。これからの日本の新しい成長戦略を考える上で、この地理的強みを最大限に生かしていく。こういう発想が重要です。

日本は、間違いなく人口減少に直面をいたしております。欧米市場と比べても、今後、大きく市場が伸びるのはアジアです。東アジアだけでも約32億人の人口、世界人口の約半分が東アジア。これはアジアの定義が難しいところですが、インドから東と思ってください。そういうぐらいのところです。パキスタンぐらいまで入る。そういった地域だと思っていただければと思います。

東アジアだけでも32億人。最近4年間で、1億3,000万人の人口が増加をしております。たった4年間で日本1国分が増えたということです。しかも、アジアでは膨大な経済所得の中間層というものが成長しつつあります。1人当たりのGDPが3,000ドルを超えると、耐久消費財ブームが起きると言われております。

今、中国は約3,000ドル。ASEANの平均で2,200ドルを超えました。

日本は、国境を越えてアジア全体で成長するという視点に立つことが大事です。

  1. 成長するアジア全体で富を生み出し、
  2. それを経済連携や、また人的交流というものを通じて、日本の雇用やイノベーションにつなげる。
  3. それをアジアのさらなる発展につなげるというような好循環をつくることが重要なんだと考えております。

国内の生産というものを拡大することに固執するという発想よりも、国民の富が増大することを重視する。いわゆる国内総生産、GDP、Gross Domestic Productという発想から、国民の総所得、Gross National Incomeといった発想の転換が今後必要なんだと思っております。

私は、昨年11月に総理特使というものを任命しております。アジア各国の声をよく聞いて、具体策を協議するように指示しました。各国の要人と協議を重ねてきた特使の報告というものを踏まえて、私は次の2つを提案したいと考えております。


(1)アジアの成長力強化
第1に、アジアの成長力の強化です。広域インフラの整備、産業開発、制度改善、こういったものを一体的かつ計画的に進めることで、周辺地域や幅広い産業の飛躍的な発展が期待できると思っております。そのようなプロジェクトを支援します。お手元の資料に5ページがあろうと思いますが、資料の5ページを御参考ください。


《(1)具体例》
例えば現在、ベトナムホーチミンからインドのチェンナイまでマラッカ海峡を経由して海を使い、海路で約2週間かかります。

これをホーチミンからアンダマン海まで陸路を整備して、タイから海路でチェンナイへ運べば10日。更に、これは国を横切りますので、通関など国境通過にかかる時間というものが膨大にかかっておりますが、これは日本の通関技術、ワンストップサービス、シングルウィンドー、こういった技術を入れますと、8日で運ぶことができます。

このようなルートを建設し、周辺に工業団地など関連インフラを整備します。これによりメコン地域は、はるかインドや中東を視野に入れた自動車やエレクトロニクス、そういった製品の供給拠点として大きく発展することができます。

また、マラッカ海峡というものが果たす、海上交通の役割は不可欠です。マラッカ海峡沿岸の発展を支えることで、日中韓と中東をつなぐエネルギー輸送の大動脈を安定させることができます。インドネシア、マレーシア、フィリピンに至るまで、東南アジアの発展にも大きく寄与するのは当然です。

こういったプロジェクトの候補は、幾つもあります。


《(2)アジア総合開発計画の策定》
構想を具体化するには、

  • 鉄道や陸路などの基幹的なインフラ、
  • 発電所、工業団地などの関連インフラ、
  • そして、産業開発の計画、
  • 資金調達の仕組み、
  • そして、通関などの改善すべき制度

などについて、総合開発計画というものを策定することが必要です。

今、東アジア・ASEAN経済研究センター、ERIAというものがありますが、また、ADB、アジア開発銀行。また、ASEANの事務局が中心となって、各国と協力しながらアジア総合開発を策定することを、今、提案したいと思っております。

ASEAN、インドを中心に、5年間で70兆円のインフラ需要があると予測されております。そのうち、既に構想・計画段階にあるものが10兆円あります。

日本は、提案するだけではなくて、ODAやその他の公的資金、勿論、民間資金まで総動員して、こうした取組みを後押しします。

日本は今回、新たにアジアのインフラ整備へ民間投資を振り向けていくために、官民連携案件を中心に、2兆円の貿易保険枠を設けます。先般表明した、最大2兆円規模のODAや国際協力銀行による5,000億円程度の環境投資支援イニシアティブも活用して、アジアのインフラ整備というものに貢献したいと思っております。

また、アジアの持続的成長には環境問題への対応も忘れてはなりません。日本の優れた環境技術、新エネ、省エネ技術を活用して、アジアワイドでの資源循環システムや高度な水の循環システムの普及などの事業を進めます。


(2)アジアの内需拡大
第二に、アジアの内需拡大が重要になります。広域開発構想による投資の刺激に加えて、アジアにおいて消費を増やすことが極めて重要です。

今後、アジアの中間層が安心して消費を拡大するためには、社会保障などのセーフティーネットを整備する必要があります。また、教育の充実によって中間層を増やしていく必要があります。

こうした課題は各国が自主的に取り組むべき課題ではあります。ベストプラクティスというものの共有や共通指標の整備などの面で、アジア全体が協力することが重要なんだと考えております。ERIAが政策提言することを提案したいと思っております。

御記憶だと思いますが、日本は昭和35年に池田内閣によります国民所得倍増計画、いわゆる所得倍増というものを策定して、高度経済成長時代へ入っていきました。

今やアジア全体で中間層が存在し、内需主導で大きく成長する新しい時代を迎えつつあります。

本日、私の申し上げた構想は、アジア経済倍増へ向けた成長構想というべきものだと思っております。アジアの経済規模というものを2020年に倍増することを目指して、お互いの立場を尊重しながら、対等の立場で取り組んでいきたいと考えております。

4月12日に予定されております東アジア首脳会議の場で、私から提案し、アジアの国々と共に前進したいと思います。


4 さいごに
最後になりますが、高度経済成長を続けた成長モデルが崩壊して、新たな均衡を模索する大調整と言われるものは歴史上何度もありました。

遠くは中世イタリアの都市国家、また16世紀のオランダ、19世紀のイギリス、いずれも世界経済を支配した国々であります。なぜこれらの国々は成功し、その後、ほかの国にその地位を譲ったのか。

私の主観ですけれども、1つの共通点は、当初はものづくりと貿易で栄え、その後は行き過ぎた金融資本主義に陥ったというのが共通点だと私は思っております。

額に汗して働く、そしてチーム全体として高い成果を上げていく組織力。日本のものづくりというのを支えてきたのは、この組織力です。この伝統なんだと私は思っているんですが、その強みを生かし続ければ、日本経済にはまだまだ大きな可能性があります。

最近、家庭を見ても学校を見てもよく言われる個人主義化、アトム化。この結果、日本の組織力を衰えてきているという印象があります。

しかし、もう一回日本が持っているこの組織力というものの強みというものを再認識する必要がある。

よく例に引きますが、例えば鉄道。これは御存じのように蒸気機関車はイギリス人が発明した。しかし、鉄道網というシステムは日本が圧倒的になりました。これは日本がつくった。

ちなみに東京23区内を見ていただければ、通勤しておられる方の76%が鉄道、地下鉄といった鉄の道路というものを使っておられる。一番進んでいると言われている外国のロンドンで19%ですから、圧倒的に日本は時間どおりに動かせる。しかも壊れず、正確に動く。これができなければ鉄道網はできないんです。

私は日本でラッシュアワーとか大気汚染というものを回避できた大きな元の理由はここにあるんだと。どなたもおっしゃいませんけれども、私自身はそう思っております。これを可能にしているのが日本の人であり、その組織力なんだと思っております。

したがって、自らの強みというものを失うのではなくて、その土台の上につくり上げたもの。それが今回の成長戦略であります。この戦略目標を基に、みんなの考えというものを巻き込みながら、しっかり実現したいと考えております。

したがって、日本とアジアの未来は明るい。
この成長戦略を通じて、皆さんにそのように感じていただければ何よりであります。


麻生首相が日本記者クラブで講演 講演後の質疑応答 第2日本テレビノーカット工房(動画)
http://blog.dai2ntv.jp/nocut/2009/04/post_548.html

<質疑応答>
読売新聞 橋本「読売新聞の橋本でございます。麻生さん、ずいぶん余裕がでてきたなあという認識です」


麻生総理「ありがとうございます。もう橋本さんともつき合って長くなりますから、段々人間も老けてきて、こちらも余裕が(笑)」


読売 橋本「目の前の課題に精一杯だったっていうのが。中期的なビジョンを出されたっていうのは、それはそれで素直に評価してよろしいんだと思うんですけれども、しかし、それもですね、ちゃんと選挙に勝たなければ全く絵に描いた餅になるわけですから、一体、これはいつ、選挙おやりになるつもりか、当然、問題になるわけです。

明日、15兆円のこれまでにない規模の追加経済対策を決めることになるということですけども、これは当然、成立しなければですね、実行に移せないわけですから、恐らく、60日を使ってでも、必ず関連法案を成立させた上で、解散と。ということになると思うんですけども、先日は、野党の抵抗があれば、とかいうようなことを仰ったようですけども、野党の抵抗があっても、それは60日を使えばいいわけですから、当然、解散は成立させた後、ということで確認、理解をしてよろしいか、ということが最初の質問です。よろしくお願いします」


麻生総理「先ほど、会長さんといっしょに(話していて)、総理大臣のぶらさがり会見っていうのを毎日やっとるんですけど、その質問のレベルというものは、経済の話しをしても、国際金融の話しをしても、マクロ経済の話しをしても、最初の質問は『解散はいつですか』。このレベルです、と。

『まさか、経験豊かな方はそんなことないでしょうねぇ』と言ったら、最初にそれが出ましたんで、やっぱり先輩がこれなら、現役もやむを得ないかなぁと思って、あらためて今現役の諸君に、あぁ、先輩を見習っただけなんだと思って、ちょいと正直、残念な気持ちがしましたけれども。

今のお答えに対しては、私が昨日、ぶらさがりで答えた質問と同じ答えしか申し上げられませんね。こういうものに関して、どういう対応を野党がしてくるのか。これは今からの話しであります。しかし、私共としては、経済政策というものが目下、国民の最大の関心事、景気対策というものは、焦眉の急なんだと、私自身はそう思っております。従って、この話しは、どういう対応をなさるかによって、私共の対応は変わってくるのは当然なんであって、解散権というものは、最後まで内閣総理大臣の専権事項なんだと思っております。昨日と同じ答えですいません」


司会「ありがとうございました。それでは次の質問を受けますが、時間が短いもので、質問内容を簡潔にお願いします。じゃ、次のベテラン記者どうぞ」


麻生総理「(笑)」


NHK 影山「NHKの影山でございます。また同じレベルかと言われると悔しいのでありますけども」


麻生総理「(笑)」


NHK 影山「ただ、これだけの大規模な経済危機の時代ですので、そのための経済成長路線を引くためにはやはり、強力な政治力がいるということは、当然のことであると思います。2つございます。

1つは、先ほどの質問とも関連しますが、麻生総理にとって、これは推測ですが、ベストのシナリオはこの景気対策の有無、是非というものを争点に、小沢民主党と闘うということが国民にとって最もわかりやすい選択であるというお考えがあるんではないかという気がするんですが、重ねての質問になりますが、もし野党が強く反対したときに、それを仮に、解散に持ち込むという選択肢は排除されないと言うお答えであったと理解してよろしいかということ。

もう1つは、先ほどお述べになったような経済の成長戦略、あるいは、社会保障の制度改革を含めた問題がないとですね、やっぱり、当面の補正予算だけでは将来の安心・安全、あるいは、新たな成長分野への移行というはむずかしいと思います。それから選挙ということを考えますと、政党のマニフェストという形で国民に示して信を問うというのが筋道であると思います。報道では、総裁直属のマニフェスト策定機関を作って検討すると伝えられておりますけれども、これはいつ頃スタートされるおつもりでしょうか」


麻生総理「今の質問は、一部重なるという前提で質問されておりますんで、こちらの答えも一部重なるところもあろうと存じます。

ただ、今言われましたように、この対策にもし、仮に、丸々賛成されちゃったら。どうすんです?(笑) 対立軸がなくなっちゃったら、影山さん、何を争点に選挙するの?ってことに成りかねませんから、これは実に、選挙というものは、わかりやすく対応を示さなければならんということが、むずかしいとこなんだと思います。

従って、いつの時期を選んで、解散という手を打つかと言えば、期間は9月10日までしか残っていませんから、残り5ヶ月、その間で然るべき時期を考えねばならぬとしかお答えのしようがないんであって、今の問題点は、賛成したから両方で話し合って解散ということを言っておられる方もいらっしゃいます。実にいろんな方がいろんなことを言われてますんで、楽しく伺わさせていただいております。

2つ目の経済対策というものは、これは所謂、中長期的な成長というものを見据えた、所謂、成長戦略の第一歩というものが、所謂、この経済対策というものであります。で、基本的には景気の底割れっていうのを断固防がにゃいかんと。そのために今我々としては、経済対策というものを作らにゃいかんということで、いろいろ党やら政府やらで、今、検討させていただいてるんですが、雇用とか、失業、そういったもの対して、金融対策など、こういった短期的な経済危機というものが、これは今、いちよう、年末年度末を越えたことになってますけれども、これは、所謂、決算を控える5月、6月というものは、もう1回、こういった問題を抱える。これはもう、経営者やってりゃ、みんなご存知のとこなんですが、ここらのとこを考えて、きちんとやって行かねばならんと思っております。

おかげさまで、少なくとも、雇用調整助成金とか、また、経産省によります、所謂、保障・融資というようなものに効果が上がっておりまして、40何万社の方々が対応しておられますんで、6.5人雇用しておられるとよく言われますんで、約300万人ぐらいの方々の、単純計算すれば、そういったことになろうと思いますが。

そういったものがありますが、その次。その先。日本ってのはどうなんだ、というのに対して、私共としては、日本の将来というものを考えていけば、きちんとした、がんばれば、こういった先行きのものがありますということを示すと。全治3年と申し上げましたけれども、そういったことを示さないと、企業経営者としては、今投資をすべきか、今新しく機械を買うべきか、新しくどうすべきかということに関する判断が極めて難しい。

従って、そういう意味では、日本の将来というものは、決して暗くないのだ、と。こういった方法を取れば、ということを知っといていただかないと、なんとなーく、新聞だけ読んでたら、明日は真っ暗みたいな話ししか載ってませんから。

そう言ったことではないんです、と。実は明るいところもあるんです、と。儲かってる会社もあるんです、と、世の中には。儲かってる会社の方々は、決して儲かってるとは言われないもんなんですよ。儲からない方々が永田町に来られるわけですから。儲かってる人たちは来ない。それぐらいに割り切って考えておかないと、政策判断を間違えると。私は政調会長をやった2年半、つくづくそう思ってましたんで。今歩いて、ずーっと調べなければ、自分で歩いて調べない限りは、わからんのです。そこが自分なりにいろいろこの1年間、あちこち歩き回ったおかげで、ずいぶん自由時間もありましたんで、調べさせていただいた結果を申し上げておりますんで、成長の先としては、決してそんなに、影山さん、暗いものではないということを知っていただきたいというのが私の本来の目的です」


NHK 影山「マニフェストについては」


麻生総理「マニフェスト、これはすでにスタートしております。新聞社にわからないようにやるのが大事がところです」


司会「はい、どうぞ」


日経 原田「日本経済新聞の原田です。経済政策について伺います。

明日発表する追加経済対策で、短期の、総理がずっと仰ってた短期はとにかく景気対策であると、この部分については一定のメドが立てられたと思うんですけど、問題は今日発表になった長期のビジョン、それと短期のこの景気対策の間を埋めるのに、今しがた、話しも出ていましたが、ここでも安心・健康社会って出てるんですけど、社会保障と財政のこの問題をどう考えるかってところを伺いたいと思います。

金目があればいいんですけれど、先ほどの話しを伺ってても、やっぱり我々、お金が儲かってない人のことが心配になるので、どうしてもそういう紙面を作ってしまう、と。そういう意味で、骨太2006っていうがございました。社会保障費2200億円ずつ削減するという旗が掲げられて、今年の予算を作るときも、相当ボロボロになっていると、新聞紙上でも書きましたが、今度6月も、もう1回その旗を掲げられるのかどうか、これが1点です。

2点目は、社会保障費が高齢社会の中で増えていくのは、これはやむを得ない。とすれば、歳入を増やすしかなくて、その歳入を増やすのが、活力のある経済を守るには、法人税の実行税率の引き下げと共に、消費税を増税するしかないと言うのが、これまでの自民党の議論だと思います。総理が現職のままで、景気が回復する局面があった場合、総理ご自身が消費税を引き上げるという、実行するという意志がおありかどうか。2つ目はこれです」


麻生総理「2つ目の方から、お答えをさせていただきます。

消費税は、今回の中期プログラムの中で書かせていただいた通りです。従って、景気が回復というのを前提にして、もしその通りになった場合は、消費税は上げさせていただきたい、そう申し上げた通りです。最初の方の質問の件に関しましては、これはすごく大事なところなんですが、基本的に、我々は2200億を毎年5年間で、ずっと1兆何千億、ここまで減らしてきたんですが、私は限度に来ていると前から申し上げておりました。限度に、事実来ていると私自身はそう思っておりますんで、今回それを大幅にやめさせていただくという形になりました。その中でじゃあ、なんで手当をしたのかと言えば、所謂、道路特定財源から600億とかそういった形で、いろいろやってきたのは事実です。で、こういった形で我々はしばらくは繋げるとは思ってますよ。いろんな形で。

ただ、こういったものをずっとやり続けていくためには、財源がいります。その財源というものは、私共は基本的には、高齢者、所謂、高齢化、少子高齢化していく、世界最速で高齢化していく国になりますんで、その中にあっては、やっぱり間接税と言われるものの比率を増やしていく以外に、私は方法はないし、そうしないと若い人に対して、どんどん負担が先送りされていくということになりかねませんので、その意味では、高齢者と言われる方々にも、生活しておられる中から、数%、何%か払っていただく。しかしその分のほとんどを社会保障費にあてる。仮に5%上げると、12兆5千億から13兆ぐらいになろうと思いますが、それは社会保障費にあてるというような形で、その他のものにあてない。そういった形でこの状況をくぐり抜けて行く。向こう2年間はどうするかというところは、今回はいろいろなことをやらせていただきました」


日経 原田「骨太自体は、2006をやめちゃうということでしょうか」


麻生総理「今、2009年をどうするかということを、この段階でこうしますと言えるほど決めてるわけではありません。

ただ、2006年をそのままやるというのは極めてむずかしくなってきたというのははっきりしております。ただ、よく、プライマリーバランスって、かなりいい加減な言葉がありますけど、所謂、基礎財政収支と、基本財政収支という、あのものの立てております旗というものは、いちよう立てておりますんで。

これはボロボロになった旗ではありますけど、今それをやめちゃって、全然あれはもうやめちゃうというつもりはありません。3年間は景気対策、そして中期的には財政再建ということを申し上げておりますんで、中期的には財政再建はきっちりやって行く方向で考えなければ、これは日本という国のお金の信用がなくなりますんで、きちんとさせていただきたいと思っています」


司会「はい、どうぞ」


朝日 宮田「朝日新聞の宮田と申します。せっかく総理に質問できる機会ですんで、今日のお話から離れた質問をさせていただきたいと思います。北朝鮮のミサイルの問題です」


麻生総理「はい」


朝日 宮田「ミサイルが発射された後、総理は一致したメッセージを迅速に出さねばならない、と言う風に言われました。で、日本の求めに応じまして、国連安保理で決議作りという交渉が今進んでいるわけですが、残念なことにですね、中国・ロシアがその決議には反対している。日米は一生懸命説得はされてるようですけども、で、最近の報道を見てますとですね、決議よりも緩やかな議長声明、あるいは、さらに緩やかな、記録にも残らない報道発表という手法も浮上しているやに聞いています。この状況を総理はどうご覧になっているのか。日本政府としてどういう方針で進んでいくつもりなのか。

つまり、一致点にこだわったり、あるいは、迅速にという風にという点にこだわりますとですね、ある程度の妥協は仕方がないのかなあと思うわけで、そういう声も実際政府首脳の中から聞かれるわけですけども、その辺の考えをお聞かせください」


麻生総理「安保理において、今、日本という国は非常任理事国をしております。

ご記憶かと思いますが、前回、このテポドンの騒ぎがありました時には外務大臣をしておりましたが、そのときにも日本は安保理非常任理事国でありました。少なくとも、安保理議会に出席できるメンバーであったが故に、あの時はいろいろな状況で我々としては活躍ができた。たぶん、戦後、日本の中で、安保理を日本がリードしたというのは、たぶん、あれが最初だと思います。結果として、11日間かかって、おかげさまで、あの時は全会一致ということになりました。今回はそれと同じことができるであろうかと言えば、状況は今仰った通りです。

しかし今この段階で、安保理決議をどうするかというのは、目下、交渉中ですから、内容がこうなりますと言えるわけではありません。ただ、アメリカが出してきております提案、他の国が出しております提案は、前回より激しい。こういったようなものが出て来ておりますことも事実なんです。

で、そういったところで、今後どうなっていくかというのを、今の段階から、こちらの手の内晒すなんて、そんな愚かなことはしませんから。

今の段階では、我々は所謂、議長声明とかそういうのじゃなくて、安保理の決議というものをきっちり出すべきだというのが、今我々が申し上げている立場であります。で、これを今後どうやって実を取るのかということにつきましては、これからいろいろな交渉の段階になろうと存じますんで、まだ先のある、時間のかかる話しだと思っていただいて結構だと思います」


朝日 宮田「今週内の決着というのは」


麻生総理「今週内の決着、なかなかむずかしいと思います」


高揚感…落とし穴も? 
tp://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2009/04/r00014949/
大切なのは客観的な事実よりも気持ちの持ちようだ。そんなことを実感した会見だった。内閣支持率は上がったとはいえ、20%台をさまよっている。危険ラインの30%を下回っているにもかかわらず、首相は高揚していた。

この日打ち出した「未来開拓の戦略」は評価していいものだった。目の前の課題に対応することに精一杯だったが、「低炭素革命」「安心、元気な健康長寿社会」などをキーワードに、2020年までに日本が目指す姿を示した。今後の議論のたたき台には十分なり得るだろう。

高揚感を背景に「麻生らしさ」復活を思わせる会見でもあった。中国の女性向けの雑誌をかざし、「これ、誰?言えない年になっちゃった?香里奈って人です」「これ、知らない?ほとんど今の時代に生きておられない方ですね。エビちゃんです」。  私自身は、一国の宰相であることとあゆや香里奈エビちゃんを知っていることに強い相関関係があるとは思わないが、このあたりに、いい意味でも悪い意味でも「麻生らしさ」があることは事実だ。

どんな中期構想を出そうが、選挙に勝たなければ「絵に描いた餅」にすぎないということで、冒頭で衆院解散の時期を質問したが、これがまた例の如く麻生流。現場記者の総理大臣への質問の質が低いことを嘆きながら、「現役の諸君も、あぁ、先輩を見習っただけなんだと思って、残念な気持ちがしました」ときた。  私自身が言い返されたから言うのではない。支持率が少しずつ戻っているのは、目立った失言がないからだと思うだけに、今の程度で高揚していると、落とし穴が待っているようにも思ってしまう。

読売新聞特別編集委員 橋本 五郎



Japan's Prime Minister Taro Aso smiles at a new conference in Tokyo April 9, 2009. Aso said on Thursday the government aims to create 1.4 to 2 million jobs in the next three years as part of a new long-term policy to boost economic growth. REUTERS/Kim Kyung-Hoon(JAPAN POLITICS BUSINESS)


<関連>
20090409@新たな成長に向けて
http://d.hatena.ne.jp/beber/20091128#p1

20090409@百花開天下春
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100418#p2