だいたい32×32で、麻生政権を振り返る。

麻生政権 2008年9月24日から2009年9月16日をドット絵で振り返っています。

20090602@細田幹事長から鳩山民主党代表へのお手紙(その1) 「貴殿の発言は常軌を逸している」

 
国会・討論する自民党細田幹事長(2009年07月14日) 衆議院本会議で内閣不信任決議案について討論する自民党細田博之幹事長(手前)。左奥は麻生太郎首相(東京・国会内) 


公開質問状 鳩山民主党新代表殿 自由民主党 幹事長 細田博之
http://www.jimin.jp/jimin/info/jyouhou/min_001.html
5月27日の国家基本政策委員会合同審査会において、貴殿は、平成19年度予算の支出先と、いわゆる?天下り?に言及し、「民主党の調査によれば、4500の天下り団体に2万5000人の天下った方々がいて、そこに国の予算が12兆1000億円流されている。そこのうちの半分が随意契約だ」との発言をされ、また貴党は、かねてより12兆1000億円が、無駄に使われているかのような発言を繰り返されています。

わが党は、貴殿の発言があまりにも常軌を逸しているため、さっそく貴党が衆議院の調査局に作成を依頼した資料を取り寄せ、検証しましたが、その結果、貴殿の発言は、一面の事実のみを持ってそもそもの政策目的や必要性など、すべてを切り捨て、葬り去る暴言であり、国民を誤解させ、欺き、プロパガンダで民主主義を破壊する暴挙であって、看過すべきではないとの結論に至りました。

貴党は、来るべき総選挙で政権交代を主張しておられます。当然、その代表の発言は重く、国民に大きな責任を伴わなければなりません。わが党は、貴殿の発言は、もし民主党が政権を獲得した後には、この12兆1000億円の国家予算は廃止し、関係団体への天下りはすべて廃止することを国民に公約したものであると受け止めます。

12兆1000億円の国家予算を廃止することは、国民生活やわが国経済に大きな混乱と壊滅的な打撃を与えることになります。当然、次の総選挙における貴党とわが党との立場の違いであり、大きな争点となりうるものです。この観点から、貴党に対し、以下の諸点について公開質問をいたします。明確な主張の根拠とあわせ、6月4日(木)17時までにご回答いただきますようお願い申し上げます。

1. 貴殿は、「4500の天下り団体に2万5000人が天下っていて、そこに国の予算が12兆1000億円流されている」と発言されましたが、貴党作成依頼の資料を精査すると、実際に国の支出があるのは4504法人のうち、1606法人であり、そこにいる天下りOBの数は1万4665人となっています。
貴殿の発言は、国民を欺くため、意図的に数字を大きく膨らませたものなのでしょうか。見解を明らかに願います。

2. 貴殿の発言は、事情を知らない国民が聞けば、天下り団体に天下っている官庁OBの人件費として国から12兆1000億円が流れているかとの誤解を与えかねません。しかし、現実的に試算すれば、平均給与を年収700万円とした場合、1万4665人の給与総額は1026億円、12兆1000億円の0.8%にすぎません。しかも、これは人件費がすべて国費で賄われていると仮定した場合の数字です。

つまり、残る12兆円は政策目的をもった支出であるという事実が、今回、貴党作成依頼の資料によって明らかになったわけですが、この事実について、見解をお示しください。

3. 12兆1000億円の内訳(わが党が支出の性格や支出先等に応じて分類したもの)は、

  • 財政融資資金貸付 4.2兆円
  • 国公・私立大学等 1.2兆円
  • 防衛関係 1.5兆円
  • 独立行政法人 3.7兆円
  • その他 1.5兆円

となります。以下、この内容について伺います。

  1. 「財政融資資金貸付」とは、国民生活金融公庫(零細企業・自営業等の資金繰り1.8兆円)、中小企業金融公庫(小規模企業の資金繰り0.6兆円)、国際協力銀行(途上国支援0.4兆円)、日本政策投資銀行(企業の資金繰り0.4兆円)、日本学生支援機構奨学金など0.4兆円)、農林漁業金融公庫(農林漁業者の経営支援0.2兆円)などへの貸付です。これらの政策目的に対する必要性の有無を含めた貴党の見解、また天下り批判との関係について明らかに願います。
  2. 「国公・私立大学等」とは、私学助成(0.4兆円)、国公立大学の運営費(0.7兆円)などです。これらの政策目的に対する必要性の有無を含めた貴党の見解、また天下り批判との関係について明らかに願います。
  3. 「防衛関係」とは、防衛関係装備等の調達金(1.5兆円)ですが、貴党はこれを「随意契約」として批判していますが、現実問題として、事柄の性質上随意契約とならざるを得ない(防衛機密、ライセンス生産等)支出であるとわが党は考えます。したがって、いたずらに大きい数字をあげつらうのではなく、これは「随意契約で仕方のないもの」と注釈をつけるのが、政党・政治家としての矜持であると考えますが、この点についての貴党の見解を明らかに願います。
  4. 独立行政法人」とは、住宅金融支援機構(住宅取得者の資金支援0.3兆円)、宇宙航空研究開発機構(0.2兆円)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(0.2兆円)、JICA(国際協力機構0.2兆円)日本原子力研究開発機構(0.2兆円)など、そもそも国の政策を実施する機関であった旧公社・公団、事業団等に対する支出である。これらの政策目的に対する必要性の有無を含めた貴党の見解、また天下り批判との関係について明らかに願います。

4. 国家基本政策委員会合同審査会において、貴殿は「半分が随意契約」と指摘されましたが、その内訳(費目等)および金額を明らかに願います。例えば、貴党は財政融資資金貸付も随意契約として集計していますが、日本学生支援機構等への貸付が「随意契約」とは、首をかしげざるを得ません。前回の平成18年度予算の調査も、今回の調査も貴党の集計は、随意契約の金額を大きく見せ、あたかも官僚が勝手放題にふるまっている、との印象を国民に与えるための詐術ではないのでしょうか。見解を明らかに願います。

以上、貴殿の発言について質問させていただきましたが、12兆1000億円は、いずれも重要な政策のための支出であることは明らかです。

一体、貴殿はそもそも、貴党の調査の中身をよく御存じなのでしょうか。

中身の数字を知らずに暴言を吐かれているとしたら財政に対する無知をさらけ出すものであり、政権担当能力なし、と言わざるを得ません。

また、中身を知った上で紛らわしい数字で国民を欺こうというのなら、政治家の資格はないというしかありません。

貴党の明快な回答を重ねてお願い申し上げます。

平成21年6月2日
自由民主党
幹事長 細田 博之


自民党細田幹事長の質問状に回答 戸惑うと反撃
http://news.www.infoseek.co.jp/politics/story/04mainichiF0605m065/
[2009年6月4日]
民主党は4日、自民党細田博之幹事長から鳩山由紀夫代表に届いた公開質問状に対し、回答書を提出した。

細田氏は鳩山氏に、5月27日の党首討論での天下り問題に関する主張の根拠を問うていた。これに対する民主党の回答は「国会の場で大いに論戦を行うべきだ」とするにとどめる一方、細田氏の質問状そのものを「(麻生太郎首相の)代理の方からぶしつけにいただき、戸惑いを禁じ得ない」と反撃し、「貴党の旧態野党ばりの常軌を逸したプロパガンダに驚いている」と批判している。


<関連>
20090527@党首討論 vs鳩山民主党代表
http://d.hatena.ne.jp/beber/20091207#p1

20090714@俺一人だけ(参議院問責決議)
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100204#p1

20090715@ぶらさがり会見「信任を受けた内閣総理大臣として」
http://d.hatena.ne.jp/beber/20091230#p2