だいたい32×32で、麻生政権を振り返る。

麻生政権 2008年9月24日から2009年9月16日をドット絵で振り返っています。

20090625@安心、活力、責任力



麻生首相:総選挙「そう遠くない日」 内閣改造改めて否定】
会見で記者の質問に答える麻生太郎首相=東京都千代田区の日本記者クラブで2009年6月25日午後5時34分、三浦博之撮影


【麻生会見】「安心、活力、責任の『安心社会』目指す」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090625/plc0906252041008-n1.htm
麻生太郎首相は25日、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見し、「私が目指す安心社会のキーワードは安心、活力、責任だ。来る総選挙に勝利して、引き続きその実現に責任を持たなければならないと思う」と述べた。会見の詳報は以下の通り。


<就任9カ月>
麻生太郎です。昨年9月24日に首相指名を受けて、以来、9カ月が経ったことになります。今日は私が目指しております安心社会について、ぜひ皆さんにお話をさせていただければと、存じております」

「まぁ、今日、ここで何をお話したところで、この後一番目の質問っていうのは、解散についてですねえ。大体、そういうところだと思っております。そこで、先に申し上げておいた方がよろしいと思います。解散の時期を今日申し上げることはありません。しかし、そう遠くない日だと思います」

「そして、解散総選挙の前に、どうしてもやっておかなければならないことがあります。それが日本の安心社会の道筋を国民の皆さんにお示しをすることだと思っております。私はこの間、かつてない経済危機から、国民の生活を守ることに全力を挙げてきました。後ほど、詳しく申し上げます。期待通りの成果は上がりつつあると存じます。しかし、それだけで、国民の皆さんに安心を持っていただくことはできないと存じます。未来の安心社会の姿とその道筋をお示しすることが必要なんだと思っております。それを今日お話させていただければと思います」

「まず、これまでの9カ月間を振り返ります。私は、就任以来、経済対策、景気対策。この1点に全力を挙げて取り組んできました。経済危機から脱出することこそが、国民の皆様に安心を提供する最大の政策と思うからです」

「100年に1度という国際的な金融経済危機。そして世界同時不況。昨年の9月の15日、リーマン・ブラザーズというアメリカの大証券会社が倒産をしました。いわゆるサブプライムローンの問題が、世界中に蔓延(まんえん)していく始まりで、金融不安が拡大しました。その後、実体経済への影響が深刻化し、今度はGMクライスラーといった世界有数の企業が破綻(はたん)をしました。その結果、日本も、戦後経験したことがない不況に落ち込んでおります。実体経済の底割れの防止が最重要課題となったと思います。この経済から国民生活を守る。そのために、あらゆる対策を取りました。9カ月間の間に予算編成は4度ということであります。かつてない異例なことです。その際には、国民の生活や雇用を守るということに特に重点を置きました。従来の公共事業中心ではなく、国民の暮らしを守る経済対策にしました。できるだけ多くの方々の意見に耳を傾け、迅速に実施する。それが私の基本姿勢です」

「また、今回の金融経済危機は、アメリカ発世界同時のもので、この危機は日本一国で克服できるものではありません。そこで、昨年11月のワシントンでの緊急サミット、および今年4月のロンドンサミットにおいて、私から世界各国が協調して、この危機に立ち向かうべきであることを主張しました。不良債権の処理に、場合によっては公的資本の注入が必要なこと。金融対策だけでなく、思い切った財政出動が必要なこと。IMF国際通貨基金の資金基盤というものを強化するために、1000億ドル、約10兆円の融資をすること。1930年代の大恐慌の教訓というものをふまえて、各国は保護主義には走っていけないことなどであります。これを主張したんですが、その結果、各国とも主張に同意をしていただいて、それぞれの国で対策を取っておられます。こうした懸命な経済対策の取り組みによって、景気に明るい兆しというものが見えはじめつつあります」

定額給付金も全国で支給されており、多くのご家庭にお届けをいたしました。いろいろご批判もいただきましたが、大変、喜んでいただいている声も多く届いております。エコポイントやエコカーへの補助というものも、大きな反響を呼んでおります。先日、大型電気店にうかがいました。そこではエコポイントの対象となった省エネ型の大型テレビや冷蔵庫の売れ行きが、昨年に比べて倍。200%、倍増しているとのことでした。企業の生産の水準など、いくつかの先行指標が反転、上昇に転じております。また、倒産も指数を見ますと減少に転じております。見えやすいところで、一時7000円まで下がっておりました株価、7050円だったと思いますが、1万円近くまで約40%(ママ)上昇しております。この9カ月間の成果です。しかし、まだ景気が回復したとはいえません。失業率も4月に5%になるなど、雇用情勢はまだまだ厳しいものがあります。手をゆるめることなく、引き続き、景気対策、国民の生活を守る取り組みに全力を注ぎたいと思っております」


 <安心社会>
「さて、次に私が目指す安心社会についてお話をしたいと存じます。国民の不安は、短期的な景気だけではありません。多くの国民がさまざまな不安を抱いていると存じます。敗戦後の日本は、目覚ましい経済成長によって、豊かで平等な社会を実現しました。豊かさと安心はわれわれ日本人の誇りでした。しかし、この自信の陰で、ほころびが生じていたんだと存じます。たとえばワーキングプアー、ニート、最近では子供の貧困、医師不足。政府がこれらの問題に十分対応できていなかったことは、率直に認めなければなりません。これが不安と閉塞(へいそく)感を生んでいるんだと存じます。最も良くないことは、これらの問題に対して、目をつむることです。問題から逃げることです。ビジョンと道筋を示し、実現すること。それが政治の役割だと存じます」

「先日、6月15日でしたか、安心社会実現会議の報告書をまとめました。この報告書は日本が目指すべき安心社会の見取り図と道筋を描いたものです。私はこれからの安心社会は、これまでの延長線では実現できないと考えております。これまでの豊かな社会は、基本的にはどのようにして経済成長するか。そしてその成長の果実というものを、どう再配分するか、という考え方で、とらえられてきました。そこでは稼ぐ人ともらう人。簡単には二分論になっていたんだと存じます。これから日本が目指すべき安心社会は、私たち、皆で作り上げていくものです。安心は与えられるものではありません。自ら作り出すもの。安心は、決して至れり尽くせりの受け身の安心社会ではありません。国民1人1人が、役割と責任を分かち合う。そして、家族や地域で、また世代を超えて、ともに支え、信頼する社会を作り上げることだと存じます」

「報告書。お手元に配布してあると存じますが、報告書のポイントは次の通りです。安心と活力の起点は雇用、働くことにあります。働く場がないことや、また、不安定な雇用は暮らしを不安に陥れます。これまでは、低い失業率と終身雇用慣行で、これらの問題は顕在化していませんでした。しかし、近年の失業率の上昇や雇用格差を通じて、安心の基本というものは、実は雇用だということが明らかになったのではないでしょうか」

「そして、もう一つ。安心のために重要なのは教育です。教育の格差は、暮らしの格差を生んでおります。どんな家庭に生まれても、キチンとした教育を受けられるようにする。雇用の安定は教育から始まります。報告書では、安心の領域として従来、主要とされてきた医療、年金介護、子育ての3つの他に、雇用と教育を加えて、五つが重要であると示しております。そして、55ページのところにも書いてありますが、雇用というものが扇の要になるんだと存じます」

「ポイントの2つ目は、全生涯、全世代を通じて切れ目のない安心保障だと思います。日本の社会保障はこれまで、高齢者を中心に組み立てられてきております。年金と介護。しかし、若者や現役世代への保障が不十分だと。暮らしの不安につながるというのが、近年の経験だと思います。他の先進諸国に比べても、日本の若者や子育て世代への公的支出は、他国に、先進国に比べて低いと思います。すなわち、子供から高齢者まで、人生に切れ目のない社会保障が必要だということであります」

「ポイントの3つ目は、政府への信頼回復です。政治や行政に対する不信が、社会保障への不安を生んでおります。国民の皆様が納めた税金が、きちんと国民のために使われているのか、不安なんです。政府は、この不安、不信に答えなければなりません。そのために、国民の負担とその見返りに得ている安心というものを、わかりやすくしなければならないんだと存じます。たとえば、学び、働き、子供を産みはぐくむ、育てるといった人生の各場面で、どのような給付やサービスを受けられるか。それをわかりやすく解説した社会保障ハンドブック。社会保障に関するハンドブックをつくり、国民の皆さんにお配りします。また、国民一人ひとりが必要な支援を、迅速、確実に利用できるよう、安心保障カードをお配りします。以上が、安心社会のポイントです。報告書にもっと詳しく、かつ、その道筋も示してあるので、お読みいただければと存じております」

「もう一つの柱である活力の未来像については、当面は景気対策。中期的には財政再建。中長期的には、改革による経済成長と申し上げ続けてきました。景気対策財政再建。これらを同時に両立させることは困難です。そこで私は時間軸を明確に設定をしました。当面は景気対策に全力を注ぎます。景気が回復した次に財政再建への道筋をつけます。これにつきましては、さる23日に決定した基本方針2009において、新たな財政健全化目標を掲げました。そして、中長期的には経済成長です。4月に新たな成長戦略である『未来開拓戦略』を策定し、低炭素革命など未来につながる投資を進めております」

「以上のように、4月に発表した『未来開拓戦略』と、6月にまとめた安心社会実現会議報告書は、安心社会への地図です。これに沿って安心社会を実現してまいります。23日に決定した基本方針2009は、この考え方に基づいて、具体的な施策、重点施策を盛り込みました。キーワードは安心、活力、責任です。国民の皆さんに、私の政策の全体像を具体的にお示しできたと自負もしております。来る総選挙に勝利して、引き続きその実現に責任を持たなければならないと思っております」

「さて、多くの国民の皆様が日本の政治に不満を持っています。国民の期待に政治が応えていないからだと存じます。私はこのことについて真剣に反省しなければならないと考えております。国民の政治への信頼を回復するためには、魔法も即効薬もありません。国民の不満と要求に対し一つ一つに応え、信頼を回復するしかありません」

「みなさん、しばしば、政治を変えなければならないとおっしゃいます。その通りです。しかしこのような言葉をもてあそんでも、むなしさだけが残りませんか。具体的に何をしたいのか。どのような目標を立て、どのような道筋で実現するのか。それを明らかにしない限り、政治への不信は戻らないと存じます。そして、政権与党はそれを実行し実現しなければなりません。その責任がある。もちろん財源を考えないバラマキや相互に矛盾した政策の羅列は許されません。もはや許されないと存じます。財源もなしにサービスだけを約束する。そのような無責任なことは政権与党は許されないんです」

「私が政権を預からせていただいてから9カ月。賢明な皆様方が、われわれが政策と政治のあり方を今大きく変えつつあることにお気づきの方もおられると存じます。まず私は単純な小さな政府至上主義から決別させていただきました。この9カ月間の間に、かつてない規模の経済対策を取りました。今年度予算の規模は補正を入れますと100兆円を超えました。市場機能だけではうまくいかない場面のあることが、今回の金融経済危機の教訓です。その場合に、政府が前面に出ることを私は躊躇(ちゅうちょ)しません。しかしそれは、決して単なる大きな政府を目指すものではありません。国民の期待に応えるためには政府の守備範囲は広がります。例えば、安心できる社会保障は金融機関の規制監督などです。しかし、政策を実施するときには、なるべく民間の力を借りて、政府は小さい方がよいのです。私は大きな政府か小さな政府かといった単純な選択ではなく、機能する政府、そして簡素にして国民に温かい政府というものを目指します」

「また、これまでの生産者重視の政策から生活者重視の政策へと大きく舵を切りました。経済対策では暮らしを守ることに重点を置きました。かつての経済対策では公共事業は約50%、半分くらいは締めていたと記憶します。それに対して21年度の補正予算では公共事業の比率は2割に満たないと存じます。 16%ぐらい。消費者庁が9月から発足されます。明治以来、日本の行政は生産者支援を中心としてやってきたんです。消費者庁はその発想を逆転させるものでもあります」

「今の政治に求められているもう一つのもの。それは責任だと思います。私は昨年10月30日の記者会見で、経済対策の発表と合わせて、国民の皆様に消費税の引き上げの必要性を訴えました。誰だって増税は嫌なことです。しかし、毎年1兆円規模でふくれあがる社会保障費。少子高齢化の結果ですが、この社会保障費をまかなうために増税は避けては通れないと存じます。これを放置するということは、子供や孫の世代に借金を残すということです。国民に対しても耳の痛いこともいう。それが政治家の責任だと存じます。このため、中期プログラムにおいて3年後、経済状況の好転を前提に税制の抜本改革を行うことを明らかにした。そして法律にも書き込みました。この増税分はすべて社会保障少子化対策に使い、国民の皆様に還元します」

「もちろん負担をお願いするにあたっては、不断の行政改革と無駄の徹底的な排除が大前提です。私と自由民主党は困難から逃げません。国民の皆様に目指すべき社会のビジョンというものをお示しし、具体的に実行してまいります。行政の無駄を徹底的に削減し、公務員の天下りあっせんは止めます。必要なら増税もお願いします」

「今日のお話の最後になりますが、次のことを申し上げたいと存じます。自民党は変わります。変わらねばなりません。私は日本の政治を変えなければならないと思っております。私は国民が日本の政治に不満を持っていること、それを認めなければならないと申し上げました。そして政府・自民党は、その責任から逃れられないことも認めます。自由民主党は長年にわたって日本の政治を担ってきたんです。成功への貢献とともに、失敗に対する責任も認めなければならんと思います。私たち自由民主党は常に満点だったなどというつもりはまったくありません。しかし問題が指摘されるたびに、自由民主党という政党は自らを改革し、課題を克服してきたのが歴史だと思います」

 「今、さらに大きな変革、改革が求められております。自由民主党は変わります。そして私は日本の政治を変えます。日本を守るために変える。それが日本を再び強く、明るい国に変えるためであります。次なる発展に、私、麻生太郎、われわれ自由民主党は責任を持たねばならない。責任を持つ。国民の暮らしを守るのが自民党。日本を守る自民党。それを最後に申し上げて講演を終わらさせていただきます。長時間のご静聴ありがとうございました」


ーー質疑応答ーー

内閣改造
ーーいま言ったプランを実現するため、自民党の役員人事を刷新する考えはあるか

「まず、今これをやらせていただいておる段階で、ただいま現在、2人の閣僚を兼務していただいております。金融担当も入れたら3閣僚ということになろうかとも存じますが、いま現在、私どもは、その人事をただちに変えねばならんと、今この現在、思っているわけではありません。また、こういった計画を実行していくにあたって、それぞれの担当していただいている閣僚の方々には頑張っていただいておると、私なりに評価はいたしております」

ーー自民党役員の方はどうか

自民党役員の方。色々な方が色々なことをこの時期になるとおっしゃるもんなんです。こら、たくさん、新聞記者の方はもちろん、政治家の方も含めて色々おっしゃいますので、丁寧に拝聴させていただいておる。それ以上ちょっと、今の段階でお答えのしようがありません」

ーー解散は「そう遠くない時期」と話した。解散前までに、少なくとも内閣改造は頭にいれて解散時期をにらんでいるのか

「そう明確に考えているわけではありませんが、解散してから内閣改造は普通はないですわなあ」

ーー東国原英夫宮崎県知事が「自民党総裁を自分に押し立てて選挙を戦う覚悟がおありならば、自民党の中に積極的に入っていく」と公言した。一方では橋下徹大阪府知事が今日、中川秀直自民党元幹事長と会談したり、地方から自民党に対する批判が一気に吹き出しているようだが

東国原英夫さんの話と橋下さんの話と同じ次元で考えたことはありません。かなり別人格の方と思っておりますので。両方それぞれお目にかかったことがありますんで。ちょっとかなり違うんじゃないかと思いますが。みんな衆議院議員になる以上、『おれも総理総裁になりたい』と思ってなられるんですから。私は国対委員長になりたいと思って国会議員になられる方は、あまり聞いたことはありませんので。そういった意味では大志を抱かれるのは決して悪いことではないと思います」

「東国原さんの話を聞いて、みんなふざけたと怒っておられる一部記者の方々とか、いろいろいらっしゃいますが、私はそういう気持ちをもっとると、いう気持ちをどう伝えられたか、ちょっと正直、話を聞いたわけではありませんので、言いようがありません」

地方自治に関して言わせていただければ、橋下知事がどう言っておられるか存じませんが、今回の予算編成、補正等々を含めまして、地方自治体は少なくとも、総務相をしておりました2年間、かれこれ5年くらいたつと思いますが、今回の予算編成に関して、今、地方分権を推進しておりますけど、こういったものに関して、少なくとも予算編成に関して不満を聞いたことはありません」

「感謝は今回は初めてされました。大体予算編成が終わるとボロかす言われるもんですが、今回は初めてお礼を知事代表を含めて、何でしたっけ、全国知事会、地方6団体。代表の方々からお礼を言われましたんで。今のご質問ですけど、橋下さんがそう思っておられるか存じませんが、直接この話を伺ったことがありませんので。ただ私は地方が色々な意味で多くのことをやりたいと思っていただいているのは、すごくいいことなんであって、何となく指示待ち人間ばっかりの首長さんばっかりになったら、その地域は残念ながら疲弊します。そういった意味で、やれるやれないは別にして、そういう気持ちを持って色々やろうとする首長さんが出てこられるのは非常にいいことです」

「それに対して、規制があるからそれができないんだと言うなら、規制の改革に応じましょう。予算というものが足りないというんであれば、いろいろさせていただきましたが、今回、このような予算をどのように使われるか、比較的、首長さんの経営感覚の問題だと思いますんで、それは地方の自治体を預かっておられる首長さんの経営、責任にもなろうと存じますんで。いろんな意見が出てくるのは、私自身は正直言って決して悪いことだと思いません。いいことだと思ってます」

ーー人事を今直ちに行うつもりはない」の「ただち」というのは、どれくらいの期間なのか

 「何となく政治部だなあという気がしないでもありませんけど、どれくらいかというと、先ほど『そう遠くない』と申しましたんで。まあ9月の10日までありますんで、それまでの間、そう遠くない日。いろんな表現がありますんで、これから先はしっかり取材してください」

ーー例えば向こう1週間の間の改造は考えられるのか

「今、この場で『改造しない』といえば、すればしたで、また文句言われるし、ね。『する』と言ったら、また『いつか』という話になる。現場の記者の話で、右代表の立場でなされる質問とはとても思えませんけどね」

ーー人事をやるときにはどういう基準を考えるのか

「やるやらないの判断ですか。やるやらないの判断というのは、この1年やられた方、それぞれの成果というものも考えにゃいかんでしょうし、これから自由民主党が今目指しておりますものをきちんとそういう風に体現してやっていこうと、そういう意思が明確、かつ能力がある。いろんなことを勘案して決めさせていただきたいと存じます」

ーー7月28日で会期が閉じるが、それまでに船舶検査特措法案や臓器移植法改正案、公務員制度改革法案などを十分審議した上で必ず成立させると。それまで解散は考えないとなると、7月28日までに解散せずにそのまま会期を閉じることもあるのか

「運営のことなので、正直、国会対策委員長とか、そういう話なんだと存じますが、少なくとも今の段階で、民主党なり野党第1党なりの対応がよく分かんないんです。私には。正直。応じますと言っていざ、委員会や理事会でOKになり、いよいよっていった段階で、天の声が降りてきていきなり『なし』とかいうのは、これまでも何回もありましたんで。この数年の間に」

「従って、今臓器移植法というもの、私はDだったんですよ。あれ結果的にA案で衆院を通りました。今度は参院に送られて、じゃあやるかと思ったら、何か別の案がまた出てきて、いちから審議するといわれると、こりゃどれくらいかかりますかねえ。と正直思っております。また、その他の法律も、向こうさま、向こうさまという表現は正しくないね。野党第1党の対応は正直私どもにはよく分かりません。分からない段階で7月28日まで確実に通していただけるという保証があるかといえば、これまでも必ずといって、そうならなかった例がありますんで、正直申し上げて、ただただ何となく、審議がされないまんまということになると、それは多くの方々の希望とか、全然別なことをつぶすということになると思いますんで、私どもは野党の対応を見た上で検討させていただくとしか答えようがありません」


東京都議選
ーー東京都議選絡みだが。歴代の総理・総裁に比べて非常にコミットしている。結果が出たときは当然、それに見合う責任を感じると思うが

「全然感じません。全然感じません。あの、考え方を勘違いされとりますよ、そりゃ。基本的には、都議選は全党挙げてやると言ったんだから。全党挙げてやるなら総裁が自ら先頭立つのが当然じゃないですか。また、静岡県知事選挙だって全党挙げてやると、役員会で決めてやってんだから、先頭に立って走るのが当然なんであって、私はそれにたって、都議会議員候補のところの事務所を回るというのは、自由民主党総裁としての務めなんであって、都議選の結果とか静岡県知事選の結果が、ただちにコミットした結果がどうのこうの、全然関係ないと思います。地方選挙は地方選挙、国政選挙とは別なもんだと思っとります」

ーーただ、これまでの自民党の総理・総裁が東京都議会議員選挙の候補者をかつてないほど応援しているというか、全候補者…

「全候補者を回った、全候補者を回った総裁はこれまでいないと思いますよ」

ーーそれだけ力を入れている、と都民、国民はみている

「ありがたいと思っています」

ーーそうなると、自民党の都連会長の石原伸晃さんも、何としても比較第1党をとらないといけないと、とれない場合にはかなり深刻な事態になると発言しているが。深刻な事態になると

「私は知事選挙とか地方選挙とか、まあ都議会議員選挙含めて、地方選挙は地方選挙であって、それが国政に影響するとは思ったことはないと、これまでも答えてきたかと思います」

ーー仮に都議選で、比較第1党をとれなかった、さらには自公で過半数を割るような事態が生じたときに、総裁選の前倒しの声が広がる可能性もあるが、そういうときにこれまでなかった「総・総分離」というのもありうると

「あの、仮定の問題として、頭の体操として、あの、政治部の記者として、いろいろ想像をたくましくいろいろやられるのは、そりゃみなさんの趣味の世界なのかと思いますが、私は基本的には先程申し上げた通り、地方選挙の結果が、総裁選前倒し、全然関係ないと思います。また、そういったものが広がってくるという意識も私にはありません」

ーー都議選は衆院選につながる大事な選挙といっているが

「当然です」

ーー都議選での敗北は、総選挙での敗北を予感させるものになりかねない。そういう場合でも全然、責任は感じないと

「私は、東京都議会議員選挙とか地方選挙、今、兵庫県の選挙もやっています。兵庫県も選挙やってんの忘れんでください。兵庫県も選挙やってる、静岡県だけじゃありません、兵庫県、東京都、そして今、静岡県と、3つで選挙やってる。東京都は知事選挙ではありませんけども。そういった選挙というものの結果がただちに影響を与えてどうのこうのということにはならないと、そうお答えをいたしております」


 <解散・総選挙>
ーー解散・総選挙の話で、先程、そう遠くない時期でと言ったが、内閣、政権ははっきり言ってボロボロの状態。不支持が支持率の3倍、比例代表の投票先では自民党民主党の半分、どちらが首相にふさわしいかも、麻生首相は、鳩山代表に水をあけられている。それでも自ら解散権をふるうのか

「私は、昨年の9月、総裁選挙というのを戦って、その総裁選挙で多数の票をいただいて当選をさしていただきました。総裁としてその任務を、いや義務を実行する責任があると、私自身はそう思っております」

ーーどういう結果になろうと、この後どういうことになろうとも、自身があくまで解散をすると

「あの、これも度々お答えしてると思いますんで、重ねてお聞きになるようですんで恐縮ですが、解散は然るべき時期に私が判断をさせていただきます。と、そうお答えしています、今もそれを変えるつもりはありません」

ーー失礼な質問なので止めておこうと思ったが、首相が解散権をふるうことと、自民党の勝敗がリンクしないというか、首相が解散をすると、自民党にとってマイナスになりかねない状況が今出てきていると思う。それでも、解散することにこだわるのか

「私は今の状況で、解散をしない、任期満了直前にして総裁選を前倒しして代える、ということによるマイナスのメリットの方も計算をした上でのご質問かと思いますが、私はそれに比べれば、もう1回、総裁選挙をやって、というような、この時期にするということは自由民主党のイメージとしては、むしろ、そちらのほうがマイナスになると、私自身はそう判断しています」

ーー解散すれば、勝てると

「私自身はもちろん、勝てると。勝たねばならぬと思っております」

ーー先程、国民の多くは日本政治に不満を抱いていて、信頼回復には魔法も即効薬もないと話したが、だとすれば、国民に早く信を問うことこそ、一番の回答になると思われるが、解散の時期はなるべく早くとか

「私は昨年の9月、同様な意識がありましたけれども、え〜っと、アジア欧州会議に行ったときに、欧州のサルコジとかいろいろな、なに、欧州主要国の首相とか大統領とかそういった人たちと会う機会がありました。いずれもその人たちが言ったのは、金融危機、当時はまだ経済危機より金融危機だったと思いますが、金融危機の深刻さを訴えて、今世界第1位のアメリカが大統領選挙が終わって、今から大きく変革をする確率が高いと、そのときに、第1と第2の日本とアメリカのいわゆる首脳が基本的に機能停止しているという状況は、他国に与える影響というものについて、是非配慮してもらいたいといわれたんで、一国の他国の選挙に対して介入すんのは明らかに専権事項というか、越権行為じゃありませんかと、申し上げましたけれども、いろいろな国の人たちからそれを言われますと、当時まだ、金融危機がこれだけ実体経済に大きな影響を与えるであろうということを、私はその10月時点で予想してたわけじゃありませんので、その時点で私としては多くのことを考えて、これは私が日本で新聞を読んだりしてる話より、はるかに他国における実態は、経済状況は厳しいと、そう判断をし、自分なりに情報を集めて、明らかに厳しい状況は日本より激しいと」

「特に金融は日本は10年前の91年のときに、いわゆるアジア金融危機というのを日本は乗り越えてきてますけれども、同じような状況が今、ヨーロッパまたその他の国々で欧米で起きているという実態、今アメリカ、イギリス、ほとんどの国が全部、国有資本を入れたんじゃないですかね。今入れてないのは、アメリカあるかなぁ、イギリスは全部いきましたね、少なくともそういう状況ですから、この状況の中にあっては、これは日本も遠からず影響がでるということは、その時点で、これはわれわれが想像してるより大きいという意識がありましたんで、私は景気対策、経済対策、これに絞らねばならぬと、自分でそう決めてこの9カ月間、経済対策に集中してきた、というのが私どものこれまでの経緯」

「これが、まだ経過としては10、12、1、3月と急激に落ちた経済指標でしたけども、4、5、6月と指標は上がってきておりますんで、それなりの底は打ちつつある。しかしまだ弱いと思います。これをさらに進めていかねばならないと、私自身はそう思っておりますが、任期満了ということになりつつありますので、その状況において、今申し上げたようなことから然るべきときに判断せざるをえないというようにご理解いただければと存じます」

ーー先程、小さな市場主義から決別をしたんだと、一方で政府が全面的に出ることを躊躇(ちゅうちょ)しないと。4年前の小泉郵政解散のときにポスターに大きく「改革を止めるな」とあったが、解散・総選挙のときのポスターに掲げるスローガンはすでに決まっているか

「自分なりに考えていますよ」

ーーどういうふうな言葉を

「今この場で安易に言うほど、それほど安っぽくないんで、はい。自分なりに最終的に考えて判断しますから、選挙のときになってきちんと出させていただきたいと存じます」

ーー都議選が終わると、その結果を受けて党内で首相に対する批判が出てくることが想定される。そんな中でも辞めることなく、逆境下であっても解散権をふるうと

「あの、すべて都議選が負けるという前提で話をされておりますけど、ぞんなつもりで自由民主党は選挙をしてるわけじゃありません」


<何を反省しているのか>
ーー安心社会実現会議の内容を聞いて、首相がどういう国づくりをするのか見えた気がした。逆に言えば、なぜ今ごろなのかなという気がしてならない。100年に1度の危機というときに、このピンチをチャンスに変える。どういう方向に導いていくかということを9カ月もたってから選挙を前にしてバタバタまとめた印象を持たざるを得なかった。国民の政治に対する不満が高まっている。それに対し、期待に十分応えていない自民党麻生首相自身も反省しているという言葉があった。何を反省しているのか。具体的な中身と、それを反省してどう変えていこうとしているのか

「まず最初に、安心社会実現という前に、少なくとも日本は目先の金融危機、経済危機の対応に全力をあげなければならなかった。当然のことだと思います。バタバタ倒れているんですから。雇用がどんどん解雇されているという状況にあって、少なくとも雇用調整助成金を含め、中小企業のマル経融資を含め、そういった中小、小規模企業の雇用、もしくは金融、資金繰り、そういったものに、当然のこととして最初に集中するのは当たり前のことだと思います。それが優先順位の1番なんです。それが市場がそこそこ上向いてくる段階まで来ましたので、次の段階にやっと目が向けられるようになった。それがその背景」

「選挙が近いからバタバタ。選挙はもともと9月までには必ず解散、任期が来るわけですから、それはバタバタというより、これまでそういうことがやりたくてもやれないような経済状況にあったんだと、私自身はそう思っております。したがって、安心社会というものをやっていかないと、目先の倒産は免れたけど、これから先の景気というものを考え、未来への社会というものを考えないと、これまた、先行って、とにかく資金繰りは助かったけど仕事がないと。また将来どうなっていくか分からんというのでは困りますので、そういった意味では日本として未来の成長戦略というものも合わせて出させていただいた。そういったところが私どもの今回話ができあがっていった背景ですから、そういった意味で、バタバタ今、これを作ったというのは正確な表現ではないというような感じはします。もう1点なんでしたっけ」

ーー何を反省しているのか

「私どもの反省すべきところは、やっぱり、今までと同様に、経済改革という名でわれわれはいろんな意味での規制緩和を大幅にやらさせていただきました。そういった中で、銀行というものを見たら、かつての名前で出ていますという銀行は三菱以外、今なくなったんじゃないですかね。ほとんどの大都市銀行は大幅な勢いでUFJとか、なんとか、いろんな名前に変わったんだと思いますが、そういったのは一つの例ですが、規制緩和、ビッグバン、いろいろありましたけども、結果として今、日本の銀行は、世界の欧米先進国の中で、今回の金融危機の中にあって、唯一、政府資本の投入する必要がない銀行に生まれ変わったんですよ。不良資産も全部きちんと対応している。そういった、世界に行って羽ばたく都市銀行というものは、アメリカにもイギリスにもないんだと、私自身はそういう具合に理解をしております。そういった意味では、それなりの改革というものが成功した。私はその点は高く評価されなくちゃおかしいと思います。しかし、同時に…」

ーー質問は政治の不信を高めたのにご自身がどう反省されたかを聞いている

「同時に。ちょっと、前提を言ったんで、悪いことだけ言われても、同時にきちんとした評価もしていただかんと、話は偏りますから。こういったときにはきちんと申しあげなきゃいかんと。テレビじゃないんだから。こうやって話してんだから。テレビだとすぐ切られますからね。あなたのいつものアレで。ねえ。大体数分で切って、どんどん切らなきゃダメでしょ? 切られる必要はないんだから、だから、そういった意味で、話もたまには聞いていただかんといかん。きちんとした成果もありますが、かたわら、いわゆる規制緩和の結果、いろいろなところでほころびが出てきたんだということをずっと私は予算委員会でも申しあげてきました。」

「中福祉中負担というけれども、今、中福祉の部分がほころんできているのではありませんか。そういったところにワーキングプアとか、子供の貧困とか、いろんなところに問題が起きてきているのではないか。そういったところに対して、われわれはきちんと対応してきていなかったのではないか。そういった反省に立って、今回の予算にあたっても、そういった部分の予算というものは子供に対する母子家庭に対する、そういったものをきちんとやっていかねばならんと、そう思って、これまで予算を編成しておりますので、従来の予算ですと、補正予算を例に出して言えば、大体5割が公共事業。今回は公共事業は確か16% ぐらいだったと思いますので、その他のものは今申しあげたような反省の上に立ってそういった部分に手厚く対応させていただいていると思っております」


 <支持率>
ーー各社の世論調査では支持率が20%を切って、10%台も多いが、「支持率について一喜一憂はしない」「左右されない」とコメントするが、国民から見ると一憂ということはちゃんとやってほしいという気持ちがあると思う。どうしてここまで支持率が下がっていると思うか。もう一つは、消費税率を引き上げると言うが、明確に選挙の時にマニフェスト政権公約)に書いて、どれぐらい引き上げるのか

「まず最初の一喜一憂の話ですけれども、支持率はかつてはひと桁でしたから、そう言った意味ではそれから30%ぐらいに上がりましたんで、上がったり下がったりするもんだと、基本的にはそう思っております。だから一喜一憂しないと、そう申し上げております。したがって、今の点の最初の点でいけば、僕はそれがどうして上がったり下がったりするかというのは、それはみなさん方のほうが詳しいんであって、私自身はその対象になっているんですが、少なくとも私の支持率というのは、これは私に対する批判ですから、私自身が謙虚に受け止めなければいかんことなんだと思っております」

「ただ、私が基本的には経済対策、これ一本で9カ月間やってきましたんで、その政策というものが分かっていただけるようになるようにする。支持率、そういったものに対して言わせていただければ、私のやってきた政策がどう理解していただけるかだと思っております。おかげさまで市場が上がってきましたんで、その意味では一つの流れだと思っています。もう一つは何でしたっけ?」


 <消費税>
ーー消費税をマニフェストに書くのか?

 「はい?」

ーー消費税を税率も含めてきちっとマニフェストに書くのか?

「消費税の話につきましては、すでに法律に書いてあります。法律に書いてあるというのを、ご存じかと思いますが、法律にきちんと書いてありますので、われわれは3年後、経済の回復もしくいは好転を確認する。確認を待って、ちょと正確な表現は忘れましたけど、経済が今こうなっているときに税を上げる人はいません。景気がある程度よくなってくるという前提に立って、景気が良くなってきた段階で消費税というものを社会保障の増大というものが今年8000 億、来年は約1兆円ぐらいの社会保障というものの経費が伸びるんだと思います。このままずっと借金、借金で置いておけば、確実に後の世代にはそれが負担として残ります。したがって、給付と負担というものを考えたときには、少なくとも、われわれはあとの世代にそういった借金を積み残していくのではなく、われわれができる範囲できちんと対応すべき。私は基本的にそう思います」



日本記者クラブ会見速記録 麻生太郎 首相「そう遠くない日」の真意は
http://www.jnpc.or.jp/cgi-bin/pb/pdf.php?id=398<PDF>


麻生内閣総理大臣講演「私の目指す安心社会」日本記者クラブにて
http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2009/06/25speech.html