だいたい32×32で、麻生政権を振り返る。

麻生政権 2008年9月24日から2009年9月16日をドット絵で振り返っています。

20090618@ルーラーとかわいそうな海賊とお守り



第171国会 参議院 外交防衛委員会
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_list.cgi?SESSION=25933&SAVED_RID=1&MODE=1&DTOTAL=1&DMY=26940
谷岡郁子君 
おはようございます。民主党谷岡郁子でございます。今日は、総理をお迎えして質問させていただくことを大変に光栄に思っております。

あまたの閣法がこの国会にも提出される中で、この海賊法というのは大変重要な法案であると思います。したがいまして、今日は麻生総理をお迎えしての質疑をさせていただくということでございます。

そこで、この海賊法のポイントでございますけれども、こういう理解でよろしゅうございますでしょうか。これは、公海上の海賊、そして我が国を含めての商船を襲ったり人質にしたりするようなこの海賊行為というものが今特にソマリア近海で増えているというようなことにもかんがみ、また、その結果、安保理の決議も出るという状況の中で、我が国もそこへの対処を行おうということであり、目的としては、国際的な協力及び我が国の財産、人命というものを守るというための措置であるということ。そして、基本的にこれは国土省の管轄である海上保安庁の仕事とするということ。三つ目に、海上保安庁では無理だということになりますと、海上自衛隊がこれに当たることもあるということを防衛大臣が御判断なさるということ。そして、四つ目には、警察行動、そこに伴う場合によっては武力行使があり得るということであって、それに対する規定を行うこと。

麻生総理、このように私は考えておるわけで、理解しておるわけですが、それでよろしいでしょうか。


内閣総理大臣麻生太郎君) 
まず、これは谷岡先生、これは御存じのように、これは陸上でいえば強盗ですから、海賊というのは。海の上だから海賊というのであって、陸の上だったらあれは強盗というんだと、基本的にはそう思っております。

したがって、国連の海洋法条約というものにおきましては、御存じのように、もうすべての国に最大限に可能な範囲で海賊行為の抑止に協力するという義務を課しておりますのはもう御存じのとおりです。そして、公海などにおいて行われるいわゆる強盗、海賊行為については、これは海賊船舶の、その海賊の船がどこの国籍に属しているか、これは関係なく、いずれの国も管轄権、自分の国の管轄権というものを行使することが認められておりますのがいわゆる国連海洋法条約ということになっております。

また、今ソマリアの例を出ておりますけれども、これはもう近年、この数年間、アフリカの角と言われておりますあのソマリアのところで、まあ内情が極めて混乱していることもありまして、あの辺りに海賊というのがかなり多発しておりますので、そういった意味では、年間約二千隻からの船があそこを通過して日本の物資を運んでおります、輸出、輸入含めまして。そういった意味では、この地域を通過いたします日本国籍の船はもちろん、日本人の乗っております他国の船もありますので、そういった意味ではこの保護の観点から極めて大事な問題であって、そういった意味では、この地域の安全というものはこれは基本的には極めて重要なんですが、海賊は何もここだけに限っておりませんので、いろんなところで海賊が出て、これまでもアジアで行われたこともありますので、これはいつでも発生し得るものだと思っております。

そういったような状況から、この法案というのは、特定の海域、このソマリアという海域だけを特定しているのではなくて海賊対処というもの全般に考えておりますし、処罰又は海賊行為への対応というものは効果的にこれはやらねばならぬというのが恒久法を法案として提出することにした背景であります。それが今御質問に対する答弁なんだと思っておりますが。

自衛隊のお話が出ましたけれども、これは第一義的にはこれは海上警備でありますので、これはもう海上保安庁が海賊対処に当たることとした上で、今御質問のありましたように、特別な必要がある場合に限り自衛隊の対処が必要だということになるとした場合には、そういったことをできるようにしておかねばならぬと思っております。


谷岡郁子君 
大変長い御答弁でございましたけれども、結局、私が言ったことで間違いなかったという理解でよろしいかと思います。

それで、私ども民主党はこの間、衆院での質疑、そしてまた参院での質疑を通じて一貫してこの海賊法案を修正したいということを申し上げ、そしてまた努力をしてまいりました。それはなぜかといいますと、基本的に民主党が海賊法案賛成したいということを考えておったからでございます。元々、この法案というものは、我が党の長島議員が最初に問題提議をした、そのところから始まっておると思います。ですから、私どもも、海賊に対処すること、世界の海を安全にすること、これは海洋国の我が国としての務めであるというふうに思っております。

しかるに、政府から出てきた法案というのは大変ねじ曲がったものだというふうに私どもは感じております。そして、これ、たまたまなんですけれども、漢字は不得意でも英語はお得意の麻生総理でございますから、麻生総理、法律というのはルールの一種だと、多分賛成していただけると思います。そこで、ルール、これをルーラーという言葉にしましたときに、これどういう意味かということ、御存じですよね。


内閣総理大臣麻生太郎君) この絵のことを意味しておられるんですか。

谷岡郁子君 
はい。


内閣総理大臣麻生太郎君) 
それを、ねじ曲げるという意味でこの絵を使っておられるの。


谷岡郁子君 
ルーラー。


内閣総理大臣麻生太郎君) 
ルーラー、はい、定規。


谷岡郁子君 
定規ですね。


内閣総理大臣麻生太郎君) 
はい。


谷岡郁子君 
さすがでございます。英語はお得意だということがよく分かりました。

ルーラーというのは物差しでございます。ルーラー、物差し、定規、これがなぜルーラーと言われるか。これはルールというもの、これは何センチというその単位というものを決めていく、そして真っすぐに測っていく、その判断基準となるということだろうと思います。

私は、すべからくすべての法律というものは、その国で行われること、政策としてなされること、これに対するルールを設定する、その定規そのものが法律であろうかと思います。この法律が真っすぐであって、真っすぐ人々の行動の基準になるということでなければ必ずそれはおかしなことになってしまう、また、現場がそのしわ寄せを受けると、そういうことであろうというふうに思います。

そこで、私ども民主党がなぜ修正したかったか。これは、このねじ曲がった定規にも見える法案というものを真っすぐにしたいと思ったからであります。そのことにつきまして、我が党の修正のポイントを挙げながら、なぜそのように考えるのか、それについて今日は総理としての決断をしていただけないかということをお願い申し上げたいわけであります。

まず、この法案について、少し私どもの理解として説明をさせていただきます。

この法案では、海上保安庁が出れないときには防衛大臣がその判断をするということになっております。海上保安庁の手に余るかどうかは、本来その所轄大臣である国土省大臣がお決めになることではないかと思うんですね。隣の課の人が、君の課ではできないんだからうちの課でやるよというようなことを決めるというのは、本来違う、曲がっていると私どもには見えるわけです。これを変えていただけないでしょうか、総理。


内閣総理大臣麻生太郎君) 
これは、防衛大臣は、特別の必要がある場合には、閣議決定を得た上で、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海賊対処行動を取ることを命ずることができる旨定めております。また、防衛大臣は、この承認を受けようとするときに当たりましては、関係行政機関の長、いわゆる海上保安庁を含めまして、そういった関係行政機関の長と協議した上で、海賊対処行動の必要性などを対処要項の中で明記するとしておるんだと思いますが。

したがって、自衛隊による海賊対処行動の必要性というものにつきましては、国土交通省やその中にあります海上保安庁を含めた政府全体で適切に判断するものだと私どもは考えております、政府全体で判断するんだと考えておりますが。


谷岡郁子君 
ここを読んでみますと、防衛大臣は、海賊行為に対処するため特別の必要がある場合はと、内閣総理大臣の承認を得てと確かに書いてあります。しかし、所轄官庁は国土省なんです。国土省が本当にこの仕事が自らの手でできるのかできないか判断できるのは、国土大臣だと私は思うわけです。なぜ、よそのその内実をよく知らない人が、防衛大臣はという形でそれを申し出ることになるのか。ここはやはり普通の常識として理解できないわけであります。

その点についていかがお考えになりますでしょうか。これを、防衛大臣はを国土大臣はに、ここで決断をしていただきますと、私どもは今日の時点でこれを賛成に回ることの一つの可能性が出てくる。もちろんこれが一番重要な部分ではないんですけれども、いかがでしょうか。これは総理大臣の決断だと思います。


内閣総理大臣麻生太郎君) 
これは、今御答弁を申し上げましたとおりでして、これは国土交通省海上保安庁を含めました政府全体で適切に判断するものだと、私どもは基本的にそう思っておりますので、防衛庁がとか国土交通省がというより、基本的に政府全体で決めるものだと思っております。


谷岡郁子君 
民主党はほかにも修正のポイントを幾つか出しておりまして、例えばこの場合には、本部を設置して合同の部隊をつくって、そこでやるようにしてはどうかということを提案いたしました。しかし、それは屋上屋を重ねるようなものであって、かえって現場までの指令が長くなるということで柔軟性を持たないかもしれない、また時間が長く掛かるかもしれない、それは命にかかわるかもしれない、この御議論の中でなるほどそうかなというふうに思いました。

また、私どもは、ソマリアの状況と、この内紛を原因として食べられなくなった人々が海賊行為に走っている、その状況というもの、そして周辺諸国海上保安能力といったもの。例えばジブチ、イエメン。地図を出してください。(資料提示)ジブチですとかイエメンでありますとか、またオマーンであるとか、そういう国々の能力、これを高めるということの手だてというようなものも必要である、こういうことを法案に書き込んでほしいというふうに申し上げました。そうしましたら、いや、違う、これはその他の問題で、海賊対処直接ではないから今後考えていくということだったので、ああそうかなと思ったわけでございます。

ところで、このソマリアなんですけれども、本当に悲惨な状況でございます。ソマリアの現在の平均寿命は四十四歳、そして子供たちの識字率、大人も含めてですが、三八%程度でございます。そして、一九九一年からずっと内乱状態で政府がない状態、自分たちを守ってくれる警察もない。ところが、外国の船がやってきて、放射能ですとか水俣病の原因になりました水銀ですとか、そういうものを諸外国、ヨーロッパの船が次々に彼らの海に落としていく。そのために健康問題も起こっている。また、日本や台湾の漁船がやってきて、トロール船で根こそぎ彼らの海の資源を奪っていく。その中で、食べられない人たちが怒りの中で実は海賊行為を始めたというような状況がございます。この根本問題というのをおいておいて、例えばこの海賊対処というものを、軍艦を出したといたしましても、これは単なるモグラたたきではないのかということでこの間私どもは考えてまいりましたし、これに対する対応というものを包括的につくることが大事なのではないかということを申し上げてまいりました。

ところが、それに対して、なかなか確たる政府の方針というものが出てこないだけで、この海賊対処の自衛隊を出すということだけが走っていってしまっている、現に法律を作る前から既に自衛隊が出てしまっている、こういう状況ですね。一体政府は何を考えておられるんだろうかと。本当に、ソマリア問題を始めとして、海賊を根本的になくすことにちゃんと力を注がれるおつもりがあるのかどうか、総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。


内閣総理大臣麻生太郎君) 
今言われましたように、国連の報告書などを見れば明らかでありますように、この背景として、有害物資の不当投棄とか、何ですかね、漁獲を収奪していくとか、いろいろな話があったということが、指摘がある面も確かですよ。しかし、同時にそれは、人質を、船舶を襲って誘拐して人質とする話がそれによって認められるという話にはなりませんよ、背景がそうであったとしても。だから、人を誘拐するのは認められるということにはならぬのは当然です。しかも、我々は、その誘拐される側の立場の国民がそこに、あそこに二千隻の船が通っておるという現実を考えたときに、そういった乗っ取りであるとかいったものから政府が船を守ろうとするのはこれは当然なんだと思っておりますので、周辺、襲われないように強化をするというのはこれまた当然なんだと思っております。

一方、御存じのように、ここは国が三つに今分かれておりまして、北西部のところが一番安定しておりますけれども、一番南のところが一番安定していない。そこで、モガディシュがそこにあるんですが、首都がそこにあるんですが、その首都のあります部分が真っ二つに分かれておって、首都が北と南とに分かれて、またそこだけが戦闘がすごい激しくなっておるというような状況であって、北西部のところはかなり安定してきたと思いますが、角の部分がその次、三つぐらいに段階分かれていると思いますが。
 いずれにしても、昨年の夏でしたか、ジブチ合意というのができておると思いますが、このジブチ合意ができた以降の話につきましては、暫定連邦政府というようなものを中心に和平に向けての動きが出始めたところでありまして、ここらに対してどのような支援をしていくかということは、これは最初に、この法案を出す前に、外務省のODAやら何やらでどれくらいのことができるのか。また、これを資金を投入したからといって、政府としてそのお金が人道的に使われ得るような組織としてそれができ上がっているのかといえば、そのような状況にはないほど状況は極めてひどいことになっておると、私どもはそのように理解をしております。

そういった意味では、今積極的に支援をするべくいろいろ国連機関も出ていっておりますけれども、人道支援の部分ですらなかなか難しいという状況になっておるというのが今ソマリアの中における現状だと思いますので、その隣のエチオピアやらジブチやら対岸のイエメンやら、こういったところにおきましても同じような状況というようなことにならないように、あらかじめ我々としてはしかるべき支援をするということに関しましてはそれなりに対応しているのであって、当面、我々の財産、生命が襲われる確率が極めて高いという状況をまずは対応するというのが当然だと思っております。


谷岡郁子君 
私、冒頭に申し上げましたように、民主党は海賊対処が必要ないだろうと言ったことは一度もありませんし、そういう議論はほとんどしておらないと思います。ですから、それに対して、海上保安庁なり海上自衛隊を出してはいけないなどと申し上げているのではありません。

ただ、それだけを重点的にやっていても、この問題はいつまでたっても収まらないだろうということをずっと指摘し続けているわけでありますし、また委員会の審議の中でも、再々にわたって、これは一体いつごろ終わるのでしょうか、海上自衛隊をいったん出してしまったらこれは何年になるんでしょうか、同僚の米長議員が、十年で終わると思いますか、十年だったら帰ってこられると思いますかということを問いました。それに対しても、そうなったらいいなみたいなお答えが金子大臣からなされました。あの太平洋戦争ですら四年強で終わっております。十年間にわたって日本から一万二千キロ離れたソマリアの海へ海上自衛隊がずっと行き続けることになるかもしれないような、そういう状況なんですよ、総理。

そして、今年度の補正予算によりますと百八十四億円の予算が掛けられております。それに対して、ソマリア周辺地域に対して、これは外務大臣が何度もお答えになりましたけれども、二年間で約六十七億円。つまり、一年間ベースにしますと、海上自衛隊を送る費用の六分の一しかこの問題の根本解決には日本政府は掛けていないということなんです。それでよろしいんでしょうか、総理。


国務大臣金子一義君) 
谷岡委員、私、これまでの答弁で、十年間掛かってそうなったら、そこで終了したらいいなという話を、お答えを申し上げたことはございません。どの程度時間が掛かるのかということについては、この行われている現象というのが終結したとき、国民経済に与える影響というものがなくなったときが終了する時期でありまして、年数というものについて言及したわけではありません。

ただ、長期間自衛隊を派遣するということにも当然なり得るわけでありますから、具体的な防衛大臣が対処要項を作る上で適切な時期を区切って、そしてその都度国会に報告をしてもらうという仕組みを入れて国会との関与を強めておるという答弁をしたところであります。

それから、ちなみに、さっきこの法案、国際協力かという御発言がありますけれども、この法案は決して国際協力という分野ではありません。むしろ、国連海洋法条約によりまして、各国が最大限それぞれの持っている国の能力を発揮して海賊行為を抑止するということでありますから、むしろ国際協力というよりも、犯罪であります海賊行為を世界各国協力して抑制するという行為であります。


谷岡郁子君 
五月二十八日、私自身が期間に関して質問いたしましたときに、長期に及ぶことも当然予想されますと金子大臣はお答えになっております。そして、これはテレビを見ていらっしゃる方々は、国会のホームページで議事録を見ていただければちゃんと検証できることですのでそうしていただきたいというふうに思うんですが、六月四日、米長議員は、十年以内に解決すると思いますか、それとも分からないですかとおっしゃったら、この答弁、長々となってもどうですかと思いますので、むにゃむにゃむにゃとおっしゃいまして、そしてはっきり答えられなかった。それに対して、米長議員は分からないということですねということに対して、何も答弁なさらなかった。我々はそのように了解しております。

私の今日の最大のポイントというのは、だからこそ、マラッカ海峡でも海上保安庁の助けを借りて海賊が激減するまでには五年間も掛かった。あのアジアのマラッカ海峡の辺りには、インドネシアですとかマレーシアですとか対応できるような国々が既にございます。でも、政府もないようなアフリカの国々だったらもっと時間が掛かるだろうと。ならば、マラッカ海峡が五年だったら十年掛かるかもしれないというのは、これは普通の判断ではないかと思われるわけです。

だからこそ、出すなと言っているわけではありません。そうではなくて、自衛隊が十年にもわたって出ていく可能性があるならば、私たちはそれは国会承認を必要とするということを申し上げております。これ、最大のポイントなんです。先ほどの、国土大臣がなのか、防衛大臣はなのか、よろしいです。でも、最後まで譲れない一点として、今日は、この審議をする、この法案の審議の最後の日でございます。私どもは、事前承認、国会の承認を得て海上自衛隊を出したい。戦後初めてソマリアの海で銃撃戦に巻き込まれて、実際に海上自衛隊の方々が場合によっては命にかかわることをなさなければならないかもしれないと、そのときに国会の承認を何とか持てないかということをこの間ずっと私たちはお願いし続けてきました。それに対して駄目だとおっしゃる。

これは法律問題ではありません。過去においても幾つもの法案について、内閣から出されてきたときには、事前承認はなし、国会承認なし、でも、国会の審議を通じて最終的には承認が入りました。なぜか。より広範な国民の支持と理解を得るために必要であるという政治的な判断がなされて、その結果、国会の承認というものが法律に入りました。

私は、総理にその政治決断を求めたいのであります。どうかこの場で国会の承認付きの法律にするということを言っていただきますようにお願いいたします。そうすれば、民主党はこの法案に賛成できるということもあろうと思います。


内閣総理大臣麻生太郎君) 
この海賊行為の対処というのは基本的に警察活動というのがまず大前提ですから、海上警備行動と同様に、これは国会の事前承認に関する規定は設けなかったと、これはもう御存じのとおりです。

他方、本法案において、これは、内閣総理大臣が海賊対処行動というものを承認したときに当たりましては、海賊対処行動の必要性、またその区域、期間などを定めた対処要項の内容というものを、また海賊対処行動が終了したときには、その結果を当然のこととして国会に報告することといたしております。これは、海賊対処行動が、その性格の問題から見ましても自衛隊の派遣期間というものが長くなることが想定をされておりますので、自衛隊をより的確に文民統制の下できちんと運用することを求められることからこれを設けたものだと、私はそのように理解をしております。

したがいまして、国会への説明責任というものは十分に果たすことができると考えておりますので、現在の法案というものはそれなりにきちんとしたものだと、私自身はそう理解をいたしております。


谷岡郁子君 
政府が判断する、報告する、でも口出しはさせない、つまり、今総理がおっしゃっていることはそういうことなんですね。でも、国会の承認というのは国民の承認であります。私たちは国民の代表として来ております。そして、国会の承認なしに自衛隊の人々が向こうで大変危険な状況に遭遇する、命の問題に遭遇するということを送り出すということは、この国の形として私はふさわしくないのではないかというふうに思っております。

それは当然国会の承認を得てやると。それならば、自衛隊の人たちも安心して、国民の理解と支持を得て自分たちは行動をしているんだということを思うことができます。その士気、安心感と、堂々と行かせるということを総理はお認めにならないんでしょうか。政治家としてそうしていただけないんでしょうか。

浜田防衛大臣は、この間の質疑の中で何度も、一般的にはと断りながら、海賊問題に対してだろうと何であろうと、一般的にはということ付きですけれども、この法案についてはおっしゃらなかったけれども、自衛隊が海外へ出るときには必ず事前の国会承認を持つということをもう決めてしまった方がいいということを発言なさっているんです。防衛大臣は、所轄の大臣として、自衛隊を送り出すに当たって、やはり国民に疑義があるままで送り出したくないとお考えになっていると思うんです。ですから、事前承認をお認めいただきたいということをお願い申し上げているわけであります。

どうか事前承認をお認めいただけないでしょうか。総理、もう一度お願いいたします。


内閣総理大臣麻生太郎君) 
この法案の最初から出ているとおり、これは基本的には、今回のいわゆる出動というものは海賊行為、行動に対する対処ですから、これは基本的には警察行動、海の上の強盗と同じと最初に申し上げました。それで、対応が海上保安庁で手に余るような状況になったときに、海上であろうと何であろうと、警察活動というものの対応としてそれを補完する意味で、海上自衛隊がそれを補完する意味でありますので、一義的には警察活動というのが大前提でこの法案ができ上がっておるという点が一番大事なところだと思っております。


谷岡郁子君 
必要であろうが警察行動であろうが何であろうが、海上自衛隊が海外へ行く、そしてたくさんの武器を積んでいく。海賊との銃撃戦に巻き込まれるかもしれない、救出活動へ行った先で銃撃戦になるかもしれない。そのときに、当然正当防衛として撃つでしょう。戦後初めて、この平和を続けてきた国民が軍事的組織によってひょっとすると命を奪うということをするかもしれないんですよ。これが警察行動だとか何だとかという、そういう法律的な仕分の問題じゃないでしょう。これは政治の問題でしょう。この国の行く末の問題であり、この国の信念の問題であろうと思います。憲法前文でうたわれた平和主義の問題なんです。だからこそ、やむを得ないという形の中では国会事前承認が必要だということを我が党は申し上げているわけであります。

飛行機に初めて乗って旅をする子供がいたとします。パイロットも飛行機会社も、お守りなんか必要ないと言うでありましょう、お守りなんかなくても飛行機はちゃんと飛ぶんだと。だけど、祖母の気持ちとして、母の気持ちとして、子供にお守りを持たせたい、そして彼らの無事を祈りたいと。国会の事前承認は、国民の意思として、あなた方の無事を祈りたい、そしてだれも傷つけないことを祈りたいという思いであります。そのお守りをなぜ自衛隊の若者たちに持たせていただけないのかが私にはどうしても分からないわけであります。どうかお願いでございます、事前承認を認めていただきたい。

総理、もう一度お願いできませんか。


内閣総理大臣麻生太郎君) 
重ねて申し上げますけれども、これは戦争に行くわけでありません。戦闘に巻き込まれる可能性がなきにしもあらずだと思いますが、はなから戦争と定義されたかのごとき話をされるとこれはいかがなものかと、今のお話を伺っていてそう思いますが、少なくとも警察活動の補完という意味が基本的な立場でありますので、先ほど御答弁申し上げたとおりということになろうと存じます。


谷岡郁子君 
警察活動なら元々海上保安庁にやっていただければいいんですよ。そして、その能力があること、ほかの国々が出している、そういう船は何ら海上保安庁のものとも変わらないし、もっと能力のない船もいっぱいいるということも私どもは分かっております。そのことはずっとこの間、審議をしてまいりました。今日は時間がないのでしていないだけの話でございます。でも、海上自衛隊をお出しになるんです。出ているんです、現在。

総理、私は政治家としての決断を総理に求めました。昨日、我が鳩山代表は、判断をしない、そしてぶれる、間違うという麻生総理だというふうにおっしゃいましたけれども、やはりここは判断をしていただく、そういう場所だと思います。そもそも前任者から選挙のためだけにおぜん立てされて総理になられた方が、ずっと解散しないでここまで来て、そして解散について判断できずにここまで来たわけじゃないですか。

そして、このような大きな問題、海上自衛隊ソマリアの海へ出すような問題は、本来、国民の信を問うてやるべき問題だと私は思います。それをなさらないで勝手に自衛隊を、今法律もできない前からソマリアへ送っていらっしゃる。そして、十年掛かるかもしれないような行動について、国民の支持である事前承認が要らないとおっしゃる。それ、やっぱり違うと思うんですよ。

この一点だけができれば民主党は賛成すると申し上げているんです。まるで民主党に賛成させないために事前承認しないように、私どもにはそれしか理解ができないわけです。どうかその点を明らかにしていただきたいと思います。


内閣総理大臣麻生太郎君) 
これ、質問かね。

いろいろ私に対する御批判含めて質問というとお答えのしようがないんですが、基本的には、今我々としては、そこに襲われている船がある、人質になった国民もいる、人質になった他国の船に乗っていたとはいえ日本の人もその中にいた、そういったようなことを幾つか言われておりますけれども、そういう点を勘案したときに、基本的には我々としては、日本の生命、財産というものを守るというのは、これは海賊というものに対してそれに対応するのは当然なんだと、私はまず第一義的にそう思います。その点に関しては全く問題ないんだと思っておりますので、その点は一致しているんだと思います。

私どもは、その警察行動を補完する意味で海上自衛隊が警察活動の補完として出ていくんであって、これは戦争を目的としているわけでもありませんし、そういった意味では警察活動の補完として出ていっている場合において、事前に海上自衛隊が海外に行くということだけをもって今は戦争に行くかのごとき話に取られかねないような話には、私どもとしてはいかがなものかというのがずっと一貫して申し上げてきたところです。


谷岡郁子君 
戦争を始めようと思って始まるということは余りないんです。第一次世界大戦は皇太子の暗殺という一つの事件から始まりました。第二次世界大戦、日本が戦争に巻き込まれていったのも、いろいろな見方がありますけれども、それは決して戦争を始めようとしたのではなかったような、いさかい、そして戦闘行為、先ほど総理がおっしゃった戦闘行為のようなものの中から大きな戦争というものは常に始まってまいりました。

ですから、私どもはそのことを恐れているわけですし、国会がこの問題について関与し続けることができるように、国会が場合によっては兵を引くということの必要な決断ができるようにということを申し上げておるわけでございます。それをお分かりいただけないあなたは、私はやはり総理にふさわしくないと思います。そしてその判断は、次の選挙で必ず国民がしていただけるものと信じております。

質問を終わります。


<関連>
20090208@海賊は強盗
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100423#p1