だいたい32×32で、麻生政権を振り返る。

麻生政権 2008年9月24日から2009年9月16日をドット絵で振り返っています。

20080911@総裁選:立会演説会


「麻野原茂子」が立会演説会
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp3-20080911-407357.html
自民党は11日、党本部で総裁選の立会演説会を開き、石原伸晃政調会長(51)、小池百合子元防衛相(56)、麻生太郎幹事長(67)、石破茂前防衛相(51)、与謝野馨経済財政担当相(70)の5候補が所見を発表した。

麻生氏は日本経済を「全治3年」と位置付け、当面の景気対策、中期的な財政再建、中長期的な改革による経済成長の3段階で経済立て直しに取り組む意向を表明。自らを「財政出動論者」と称し、景気下支えのため当面は積極的な財政出動を図る方針を示した。

財政再建については「自己目的化する財政再建はしない。経済成長の中で追い求める。目的と手段を混同することはない」と強調した。

これに対し、与謝野氏は「今の不況は需給ギャップ発生による不況ではない。総需要対策はしない」と述べ、公共事業費の大幅増など大規模な財政出動には否定的な考えを示した。同時に「皆年金・皆保険を維持するには消費税負担は避けて通れない道筋だ」と指摘し、消費税率を3年以内に2〜3%引き上げ、2015年までに10%にすべきとの認識を示した。中小企業への法人税軽減や低所得者層の税額控除、還付実施の必要性も指摘した。

石原氏は当面3年間を「集中改革期間」とし、その後に税制の抜本改革の総仕上げとして、消費税率を引き上げて社会保障に充てる考えを表明。石破氏は「将来、消費税増税は直間比率の見直し、累進制の緩和と併せて不可欠だ」と述べた。

小池氏は「小泉構造改革路線を進化発展させる」と明言し「郵政民営化をストップさせるのか」と訴えた。

各候補は11日午前から議員会館を回るなど選挙運動に全力を挙げた。同日夕には、5氏がそろって東京・渋谷で街頭演説した。


所見表明演説(要旨) 平成20年9月11日 自民党本部
http://www.aso-taro.jp/lecture/20080911-2.pdf(PDF)

麻生太郎です。
四度目の、挑戦をしようとしています。

わたしの前途には、日本と、日本国民が登るべき、高らかにそびえる峰が見えています。 峰にかかる、雲も見えています。

国家国民の指導者たるもの、常にその、白雲を望み見て、おのれに鞭打って、急な坂を登ってゆくものでなくてはなりません。 しかも、国家国民の指導者たらんとするもの、足元と、はるかな峰とを、共に見る目を、もたんとするものでなくてはなりません。 急な坂にかかってこそ、むしろ心に余裕を、表情にほほえみを絶やさず、これを楽しむことすらできる者でなくてはなりません。

わたしはそのため、四たびの挑戦をいたします。 党員、党友の皆様のご支持を、圧倒的なるご支持を、冀(こいねが)うものであります。 わたしは、四たびの挑戦のもつ重みを前に、身、引き締まる思いであります。

しかし、わたしは、逃げません。
先人たちから引き継ぐたいまつを、放すことは、ありません。 わたしは、それをこれから、国民に対し、身をもって証明するのであります。 五尺五寸八分。この身をなげうって、駆け抜けようとしております。

総裁に選んでいただきました、そのあかつき、わたしはやがて、我が党の命運を賭ける戦いに臨みます。

我が国に、混乱に替えて、不動の重心をもたらすもの。それは、どの党であるか。

日本の経済に、真の改革を、責任と実効のある改革をもたらし、国民の暮らしの隅々まで、 温かい血をめぐらすことのできるもの。それは、果たしてどの党であるか。 日本の安全を、一点の曇りもなく保証し、かけがえのない同盟関係を、揺るぎなく強めていく覚悟のある党は、いったい、どの党であるのか。 日本の、新しい世代、若い世代に、希望と夢とを与え、未来を支える確固たるいしずえを、 国家経済、国家社会に与えることのできる力をもった党。――言葉、だけではありません。力を持った党は、どの党であるか。

審判を、最終的な審判を、有権者からいただくその戦いに、わたしは臨みます。

これらの問いに対する答えは、おのずから明らかであります。 民主党では、ありません。あり得よう、はずがありません。 我が自由民主党こそが、日本の軸をよりいっそう太く、頑丈に、固めるのであります。 我が自由民主党と、志を同じうする公明党との、信頼と、実績に裏打ちされた連合のみが、 その軸を、はるか未来へと、ひたすらにまっすぐ伸ばし、かの高い峰にかかる白雲を目指すのであります。

わたしは、日本国民からまさしくその審判を、最終審判をいただかんとして、ここに立つものであります。 皆様のご支持――圧倒的なるご支持を、いただきたく存じます。

過ぐる12年、4000日になんなんとする期間、わたしは大臣として、内閣の一翼を担い、党にあっては、要(かなめ)の職について、国家経営の任に当たりました。 官主導から、民主導へ。経済の成り立ちを抜本的に変えるべく、規制の撤廃と、改革を実行してきました。経済の再建こそは、わたしが身命を賭した課題です。

外務大臣を務めた際には、日本の外交に、一本の太い筋を通しました。世界中の、どこの誰が見ようとも、決して見間違えることのない、明確な路線を敷きました。 4000日を通じ、経済企画庁長官、あるいは経済財政政策担当大臣として、経済の再建に、 総務大臣としては内政全般、なかんずく、規制の改革と地方分権の推進に、そして外務大臣としては外交に。 携わった任務こそ違ったにせよ、わたしはいつもひとつのこと、ただひとつのことを、一心に目掛けて参りました。 それは、何よりもこのわたし自身が、日本と日本人に、一瞬たりとも信頼を失わなかったことであります。 わたしの信ずるところ、国家国民を率いるリーダーたるもの、まさしくこの点において、いささかの迷い、疑い、留保を、持ってはなりません。

日本を率いる指導者とは、日本と日本人を、深く信じる者でなければなりません。 日本と日本人に、誇りを失わぬ者の、別名でもあります。 だからこそ、わたしは改革を、未来に向けての改革を、続けていこうと、敢然決意するものです。いかねばならぬと、信ずるのです。 日本国を、今よりもっと一層誇るに足る国とし、諸外国からさらなる尊敬と、信頼を勝ち得る国とする。そしてそれを、次の世代に引き継ぐという、ただそのことだけを、わたしは目掛けて参ろうとするのです。

日本は、強い国でなくてはなりません。強い国とは、たじろぐことなく難局に立ち向かい、危機をむしろバネとして、一段の飛躍を遂げる国です。 日本は、明るい国でなくては、日本ではありません。明るい国とは、元気な国であります。 元気な国とは、子供からお年寄りまで、国民の一人ひとりが、未来に希望をつなぐことのできる国です。

日本経済。全治3年。こう、わたしは申しました。 三段構えで臨みます。 目先は、景気対策。中期的には、財政再建、そして中長期的には、改革による経済成長の追求です。

まず第一段。ふらつく経済の足取りに、あらゆる手段を講じて支えを与えます。 財政も、効果を計算しつくしたうえ、使います。使わねば、一国の指導者として、無責任のそしりを免れないでありましょう。 ただし、行くあてのない道路は敷かず、つなぐ先のない、橋はかけない。 わたくしは昨年、こう述べて総裁選に臨みました。再び、同じことを繰り返しましょう。

わたしを、財政出動論者である、したがって、「オールド・ケインジアン」だと、呼ぶ向きがおありです。 呼びたくば、呼べ、であります。 わたしがおよそ一切の興味をもたぬのは、この種のレッテル貼りだからです。 わたしごとき浅学菲才に、自分の名をかぶされたのでは、黄泉(よみ)の大経済学者にとって、迷惑千万に違いありません。 ただし、ジョン・メイナード・ケインズとわたしとには、確かに大きな共通点がある。 ケインズはイギリスを愛し、イギリスの難局に立ち向かい、まさしく身命を賭しました。 この一点において、わたしはケインズと、志、覚悟を共にするものです。

第二段。財政の再建です。 財政に規律が必要なこと、経営に、規律が必要なごとくです。 しかし経営においてと同様、国家財政においても、事柄は複眼をもって眺めねば、本質を見誤るのです。 企業経営において、コスト削減だけでは、会社は立ち直りません。 売り上げの増加を目指し、新商品開発のための研究や、前向きの投資をあわせて実施してこそ、初めて会社は立ち直るのです。私は、それを会社経営者として、実践してきました。 国家の経営において常に心がけるべきは、あくまでも成長を目指さねばならぬという、その一事であります。

成長の中、自ずと増えていく税収によって、負債を返済すべきであるという、この原則です。 止まったものとして見るのでなく、動きにおいて見るのです。経済は生き物です。

それゆえわたしは、「財政再建を自己目的とする財政再建」は、いたしません。 日本経済の成長の中で、財政再建を追い求めます。 プライマリーバランスの達成という課題も、同じです。そのこと自体が、目的なのではありません。 日本経済に、成長の条件を整えてやること。そのことこそが、目的なのです。わたしに限って、目的と、そのための手段を、混同することはありません。

第三段。改革による成長の追求です。 ナノテクノロジーソーラーパネルなど新技術、新業態が次々と現れ、それが新たな市場をつくって雇用を生み出す、明るい循環を築き上げていくことであります。 中長期的には、このことに、最も意を砕かねばなりません。 生産性を上げていくカギが、ここにあるからです。 必要なことは、ヒト、モノ、カネ、技術の有効なる配分です。 金融を、中小・零細企業に回し、経営者に前向きな投資をさせることです。 創意と、工夫を阻む、規制の類を、徹底して取り払ってやることです。

一に、景気の下支え、二に、成長を促す財政の再建、三に、改革を通じた成長戦略の追求。 これが、王道であります。わたしの、追い求めていこうとする道筋です。 目鼻をつけるのに、必要な期間。それを、三年と申し上げています。 それゆえに言う、「日本経済全治三年」です。

外交と防衛について、わたしはいま、多くを申し述べません。 外務大臣として働いた人たちのうち、わたしほど、外交について多くを述べた者は、かつてただの一人もおりません。 わたしが心を込めて述べ、語った我が国の外交路線は、つとに、一冊の本となっています。 ですから、原則のみを短く述べます。

一。日米同盟を一層堅固なものとし、強化します。
二。北朝鮮に向かっては、内に深い怒りを秘めつつ、国民の憤り、被害者家族の悲しみを、 わたし自身、我が物として共有しながら、拉致、核、ミサイルの解決を求め続けていきます。
三。自信を持った外交を進めます。

今日この瞬間、はるかなアフリカで、一千人に達しようかという日本人の若者が、青年海外 協力隊として働いております。そのうちの半数以上、六百人近くは、女性です。 胸を張り、明るく働き続けている彼女らの顔が、日本の顔です。善をなさんとして、骨身を惜しまぬ彼ら、彼女らこそは、我が外交の誇りです。

再び申し上げます。
わたしには、用意があります。覚悟ができています。 わたくしを省みない、覚悟です。 日本と、日本国民の、安寧を追い求める、決意です。
わたしには、自信があります。 日本と、日本国民がもつ、歴史に裏打ちされた奥深い叡智。危機を好機に転ずる、不屈の能力に対する、信頼であり、自信です。

今くらい、難局に臨んで負けない指導力を、政治が必要としているときは、ありません。 危機に真正面から向き合う、沈着なる指導力。おのれの退路一切を断って、国民の先頭を 走る脚力。信ずるところを堂々と説き、内外の難関を突破する、気迫に満ちた覚悟の力。

麻生太郎、これを振るわんとして、一身に鞭打ってまいります。経験の一切を、つぎ込んで参る所存です。

敬愛する、自由民主党の党員、党友の皆様。わたしへのご支持を、圧倒的なるご支持を、ぜひとも賜りますよう。心よりお願いを申し上げ、所信の表明を終わります。


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