だいたい32×32で、麻生政権を振り返る。

麻生政権 2008年9月24日から2009年9月16日をドット絵で振り返っています。

20090430@次世代リーダーに送る私の応援歌


訪中演説で麻生首相、日中連携を呼び掛け EPAの可能性にも言及
http://www.afpbb.com/article/politics/2598348/4095127
【4月30日 AFP】麻生太郎(Taro Aso)首相は30日、中国・北京市内で行われた「日中次世代ビジネスリーダーとの集い」で、国際的な環境問題や経済問題に直面する中で、日中の連携を呼びかけた。

話題が多岐に及んだ演説の中で、麻生首相は日中間の自由貿易の可能性に触れ、「両国の経済連携協定EPA))の可能性まで議論してもよいのではないか」と述べた。また、軍縮や核の不拡散、平和維持活動、海賊対策、シーレーン防衛といった「平和構築分野における日中協力の可能性も積極的に考えていくことが重要だ」とも語り、「時には摩擦が生じたこともある」両国の連携こそが求められていると強調した。

麻生首相はこの後、胡錦涛(Hu Jintao)国家主席と会談し、「100年に1度の国際的な経済危機」を克服するための対策の協調などについて協議し、2日間の訪中日程を締めくくった。(c)AFP


日中次世代ビジネスリーダーとの集い
http://www.peoplechina.com.cn/zhongrijiaoliu/2009-05/04/content_193640.htm
日本の麻生太郎首相が29日に専用機で北京に到着し、2日間の中国訪問が始まった。今回の中国への公式訪問は、去年9月に麻生氏が首相に就任して以来を始めてのことだ。

30日の午前11時10分、麻生首相北京市の長富宮ホテルで、「日中次世代ビジネスリーダーとの集い」に参加し、省エネ問題や高齢化問題、国際金融危機などについて発言した。


麻生首相の講演(全文)

本日、ここには、日中関係の未来を担う、若手リーダーの方々が、たくさんお集まりです。皆さんの前でお話できることを楽しみにして参りました。

今回は、中国政府のご招待を受け、北京を訪問しております。昨年来、胡錦涛国家主席温家宝総理との間で、今回を含め、それぞれ4回会談を行うこととなり、緊密に意思疎通を図れていることは、喜ばしい限りです。

もし青年と呼ばれたいならば、自分の理想の現実化に悩むべきであり、決して安易な妥協に流されるべきではない。

若い世代の皆さんを前にして、これは今から30数年前、私が日本青年会議所会頭として述べた言葉を、ふと思い出しました。

いつの時代も、若い世代は、前の世代の経験を活かし前進します。私は、皆さんが、より開かれた、創造的な感性と考え方をもっと活躍されていくことを信じて疑いません。

本日は、日中両国の次世代のリーダーの皆さんに対し、応援歌を歌いたい、そういう想いで話をさせていただきます。

現在、われわれは百年に一度と言われる世界経済、もしくは世界金融危機に直面しています。この危機はこれまでの経済学の教科書では確実な解決方法が見つけられない、極めて深刻なものだと思っています。これまで起きたことのないことが起きているのですから。

たとえば、貸出の金利がゼロ、またはほぼゼロでも、経営者は金を借りて設備投資をしない、という前提で書かれた経済学の本はありません。つまり、現在起きている経済現象を説明できる経済学の本はないということです。しかし、今回の危機を教訓として、この困難を乗り越えた先にはより強い経済とガバナンスの接点の構築ができるというチャンスに直面している、とわれわれは前向きにとらえていかなければならないと思っています。この危機に関し、世界第二、第三の経済大国であり、世界経済に大きな影響力を持つ日中両国が足並みをそろえるということは極めて重要だと思っています。

具体的には、金融市場の対策として、流動性の確保、金融機関への資本注入、不良債権の処理を行います。また、大規模な財政支出を行い景気を刺激し、1929年の世界恐慌を学び、断固として保護主義に反対します。これらの政策の実施が必要です。その意味で中国が昨年以降、約4兆元規模の経済対策を実施しようとしていることをわれわれは高く評価します。日本もこれまで真水で総額12兆円、利用規模で75兆円、3日前には新たに真水で15兆円、利用規模で57兆円の経済対策を打ち出し、実施に取り掛かりつつあります。

次に、経済危機を克服した後、アジアの経済をいかに成長させるか、いかなる社会を創造していくかという問題に触れていきます。アジアは世界の中で最も潜在力を持ち、21世紀の開かれた経済の成長センターで、その潜在力を十分に生かせる環境を整える必要があります。そのためにはアジアの経済をリードする日中両国は協力することが大前提となると思います。まずアジアの地域協力、対話の枠組みを力強く進める必要があると思います。

例を3つ挙げます。

第一の例は、東アジア域内における通貨危機を防止するための二国間通貨スワップ取極のネットワークである、「チェンマイ・イニシアティブ」というものがあります。この枠組みは、地域の金融システムの安定化に大きく貢献してきました。今後、この力を更に高めるために、この枠組みのマルチ化を早急に実現したいと考えます。

第二の例は、広域インフラ整備を進め、人と物の流れを加速することです。これは、経済、社会に大きな影響を与えます。たとえば、現在、ベトナムホーチミンからインドのチェンナイまで、マラッカ海峡を経由して、海路で2週間かかります。これをホーチミンからアンダマン海までの、ベトナムカンボジア、タイの3カ国を通る陸路を整備し、通関などの国境通過にかかる時間を短縮すれば、8日で運ぶことが可能となります。

第三の例は、日中韓サミットです。昨年12 月に、福岡で始めて独立して開催された3カ国のサミットは、歴史的な会議でした。日中韓を合わせた経済規模は、英独仏を合わせたものよりも大きく、三国間の協力の行方は、世界も注目しています。本年、中国で開催される会議を成功させ、三国間の協力を更に推し進める考えです。

日中両国が持続的な経済成長を実現する上で、今後、両国の社会が共通して直面する課題も無視できません。環境・省エネ問題はその最たるものです。

先日、私は、2020年への日本の成長ビジョンとして、低炭素革命の推進を新たな成長戦略の柱の一つとすべきと表明しました。

低炭素革命は、新たな技術と国民の社会のシステムの変革からなります。そのために、日本は、太陽光発電、電気自動車、省エネ家電などを普及させる取組を開始しました。

この取り組みへの鍵は、新たな需要を政策的に起こすという勢い、政治的意思、メッセージです。

太陽光発電については、設置するにあたりそれぞれ各家庭の屋根に張るソーラーパネルに設備が必要となり、その設備に対する補助を各家庭に出します。また、各家庭で作られた電力を電力会社に買ってもらいます。太陽光パネルで作られた電気は通常の買い取り価格の倍の値段で買い取る「買取制度」を実施します。日本で最も多い小中学校でも太陽光パネルを設置するなど、政策を決めています。

電気自動車などのエコカーについては、自動車取得税、重量税を免除します。また、新たにエコカーを購入した場合は10万円、13年以上使用した車を買い換える場合は25万円を支援します。中国でも 2020年までを総合国力向上のための戦略的チャンスの時期と位置づけ、科学的発展に基づく成長戦略が進められています。そこでも環境への配慮は最も重要な要素です。

私は今日、日中協力プロジェクトの一環として、「首都鋼鉄」を見学しました。そこでは環境解決やエネルギー利用の効率化に取り組み、それは鉄鋼製作で見事に両立されています。中国は世界一の粗鋼生産国で、日本は世界最高水準の省エネ技術、環境技術を保持しています。総合すると、日中両国はさらに飛躍できると確信しています。

また少子高齢化について、中国は一人っ子政策を進めているので、間違いなく少子高齢化問題が起きます。新しい社会を構築する上で日中両国とも避けて通れないものです。2015年には中国で労働人口は横ばい、高齢者数は2億人に達しました。日本は2013年に人口の4人に1人が65歳以上となると推定されています。われわれはこの現状の中で、間違いなく活力ある、健康な高齢化社会を実現させなければなりません。そのためには高齢者が社会で活躍できる医療や介護のシステムを整備することは不可欠で、そのための取り組みを日本では始めています。今後、日中両国は少子高齢化対策においても大いに協力できると思います。

私はここまで、日中両国が、持続的に繁栄していく上での課題について述べてきました。しかし、日中両国を取り巻く国際環境が平和であってこそ、はじめて、そうした考えが意味を持つことを忘れてはなりません。

日本は、戦後、平和国家としての歩みを堅持し、平和的手段により世界の繁栄と安定に貢献してきました。イギリスBBC放送の世論調査では、世界で日本がカナダと並び、最も好影響を与えている国として、日本は、これからも平和国家として歩み続けることを表明します。

中国は、近年、急速な発展を遂げました。私は、中国の発展は、国際社会にチャンスをもたらし、それは、日本にとっても好機であると考えます。しかし、一部には、中国の経済発展が、将来の軍事大国化につながるのではないかと不安視する向きがあるのも事実です。私たちは、中国が近年、「平和的発展」という戦略を標榜し、恒久の平和と共同の繁栄をもたらす世界の構築に貢献していく決意であると承知しています。そして、中国が、そのような決意にふさわしい行動をとっていくことにより、地域や世界に不安や懸念を生じさせないことを期待しています。

今後とも、日中両国が、軍事大国にはならず、また、互いに脅威となることなく、平和的な発展に向けて協力してゆく。それこそが日中両国が国際的に期待されていることだと確信しています。

日中関係の将来を担う若手リーダーたる皆さん。本日は、将来の日中両国、アジア、そして世界をより良きものにするため、私が考えている視点を述べました。しかし、21世紀は皆さんが活躍する時代です。来たるべき時代に備え、日中両国と若手リーダーで何ができるか、何をすべきかについて皆さん自身で考えていただきたいと思います。

かつて高名な経済学者であるシュンペーターは総合的破壊という言葉でイノベーションの重要性を指摘しました。私は皆さんにぜひステレオタイプの考えにとらわれず、あらゆる可能性を追求して欲しいと考えています。

東アジア地域は世界全体の貿易の4分の1を占め、日中両国はその約半分を占めています。このような両国の数ある経済連携の可能性、場合によっては日中EPAの可能性まで議論してもよいのではないでしょうか。

また、私たちが将来にわたって平和と繁栄を協議していくために軍縮、不拡散、PKOシーレーンの安全保障など平和構築の分野での日中協力の可能性について積極的に考えていくことが重要ではないかと思います。そのような考えから私はダイナミックな構想を日中の明日を担う世代が模索し、継続的に議論するための場として、日中次世代リーダー対話を立ち上げてはどうかということを温家宝総理に提案し、ご賛同いただきました。

日中両国ともそれぞれの国益を踏まえた外交を展開します。また、両国にはそれぞれの歴史、文化、伝統があるため、時には摩擦が生じることもあり、関係が密なゆえに今後も様々な話題や課題、問題が出てくることもあると思います。しかし、私は日中関係の将来に極めて楽観的です。将来にわたり日中の共益を実現することが両国の発展と平和を後押しし、アジアや世界の平和の反映につながると確信しているからです。

日中両国は地理的にも歴史的にも永遠の隣人であり、戦略的互恵関係を築くことを選びました。これが日中共益を実現する上で正しい道であるというのが私の信念です。

若い世代の皆さんが、ビジネスをはじめとするあらゆる分野において、今まで以上に率直に対話を積み重ねられ、独創的なアイデアをたくさん提起させることを期待します。そして、日中両国、ひいては国際社会の明るい未来を築いていかれることを強く確信しています。

日中年轻人,加油!(日中の若い人よ、頑張れ!)


日中次世代ビジネスリーダーとの集い 麻生内閣総理大臣スピーチ 『日中次世代リーダーに送る私の応援歌』
http://www.mofa.go.jp/MOFAJ/press/enzetsu/21/easo_0430.html


中国訪問(第2日目)
http://www.kantei.go.jp/jp/asophoto/2009/04/30china.html


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20090429@北京に到着
http://d.hatena.ne.jp/beber/20100306#p2

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